正義と信念が犠牲者を生む
2003年3月7日9:00AM|カテゴリー:風に吹かれて|伊田浩之
「残酷さが彼らの戦う目的ではなかった。だが、正義と信念こそが、この世でもっとも血を好むものであることを、誰もが理解せずにいられなかったであろう。最高指導者が呼号する正義を実現させるため、彼らの信念が飽食するまで、無数の兵士が生きながら焼かれ、腕や脚を失わなくてはならないのだった。国家の統治者が正義や信念を放棄すれば、兵士たちは、傷口からはみでた内臓を見つめながら恐怖と苦痛のうちに死なずにすむのである。だが、自分が戦場から遠い安全な場所にいるかぎり、権力者たちは、正義と信念とは人命よりはるかに貴重だと主張しつづけるにちがいない」