阪急トラベルサポートの横暴(2)
2009年4月16日5:28PM|カテゴリー:シジフォスの希望|Kataoka
シジフォスの希望(30)
本誌の取材に応じたことで事実上の解雇処分(3月18日)を受けた塩田卓嗣さんら組合側に委任され、私が阪急トラベルサポート東京支店との団体交渉に出席したのは4月2日夜のことである。東京・港区のある貸し会議室。長いテーブルが中央に固めて並べられ、向き合う形で両サイドに10人ほどが座れる。組合側11人はそこで会社側を待った。私の出席については労働組合法第6条(注)に基づき、事前に組合側から会社側に通知してあったが、会社は文書で「認められない」などと回答していた。
交渉の場に現れたのは東京支店の田中和男支店長ら4人。席に着くなり、自己紹介するでも名刺交換するでもなく、いきなり「週刊金曜日の出席は認められない。退席を!」などと声を発した無礼な男がいた。「あなたは誰ですか?」と私が問うても、まともに答えもしない。これが会社側代理人の伊藤隆史弁護士であった。以下、やりとりの要旨。
私:「(自己紹介後)こちらは労組法6条に基づいて交渉権限を委任され、出席している。認められないというあなたがたの法的な根拠を明らかにするべきでしょう」
伊藤:「労使慣行に反している」
私:「そんな法的根拠があるのか」
伊藤:「ある。慣行がルールだ。あなた(片岡)は関係ない」
組合側:「関係ないとは何か!委任しているから出席しているんじゃないか!」
私:「あなたは弁護士でしょ。慣行ではなく、労組法6条を拒否できる法的根拠があるなら出したらどうかと言っている」
伊藤:「とにかく退席を!でないと、交渉はできない」(これを繰り返す)
組合側:「それは団交を拒否するということか」
伊藤:「……」(会社側を促して席を立つ)
組合側:「団交拒否だ!不当労働行為ではないか!」
この間、わずか数分。団交拒否を主導した無礼なこの男に対して、私は翌日(4月3日)に「抗議文および質問書」を出したが、回答拒否。さらに4月7日付で「抗議文および質問書」を出したが、再び回答なし。この男の所属する弁護士事務所は、太田・石井法律事務所(東京都千代田区)で、経営法曹界では有名なところらしい。調べてみると、なんと「みずほフィナンシャルグループ」のコンプライアンス(法令順守)ホットラインを担当している。悪い冗談のようだが、企業側と一体になって労働組合つぶしの法的サポートをする経営法曹界側の弁護士のやり口に対し、「コンプライアンスの徹底」を求めること自体が無理なのか。〈さらにつづく〉
(注)労働組合法第6条 労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。
(2009年4月16日・片岡伸行)