きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

自称、新聞ソムリエ

総選挙。第43回衆議院議員選挙。
あなたの冷静と情熱のはざまで投じた一票はいかがでしたか。
私は朝メシと昼メシのはざまで投票しました……。

さ、さて。その投票行動というものは、美人投票でも、株式市場でもございません。
たとえその一票が報われなかったとしてもけっして、あなたの投資はけっして無駄にはなりません。
一票を入れて意思表示することが大事なんです。参加することに意義があるんです。
経済波及効果もあります。
選挙足運び的金銭波及効果は、日本全土で10億円には達した模様です(マカロニ総研調べ)。

なんてのは、やはりタテマエです。
こちとら、わざわざ足を運んで中学校の体育館に行ってんだ。
「××党にイッピョウいれてくださいっ!」なんて、信仰心の厚い友人や会社同僚のうっとしい電話もこの時期受けなきゃなんねえこともあんだ。ガマン料ほしいくらいだ。「コンペートー」なんていまどき1俵どころか一粒も食べてないっての。おまけに仕事があるのに、夜中の3時までテレビの前に釘付けになっちまった。挙げ句にギリギリと歯ぎしりをして、悪い夢見て遅刻しちまった。

……なんて方もさぞや多いことと存じます。
それはともかくお疲れさまでした。でもうかうかしておれません。来年は参議院選挙がございます。自民と民主のマニフェストがどれくらい実施されているかしっかり「監視」しましょう。

ということで、来年は参議院選挙もあるし、忘れないうちに翌月曜日の新聞社説をちょっとみてみたくなりました。なにせ、社説とはこの国の言論を代表しているといってもいいわけですから。

それは私にまかせてください。
なぜなら私は新聞社説ソムリエです。
最近は焼酎のソムリエもいるそうですし、ここは野菜ソムリエことハセガワリエさんのアドバイスにならって(ウソ)、ソムリエを一回限りだけ名乗ることにしました。
すごくニッチでしょう。いや、ニッチという前に、需要もほとんどないでしょう(マカロニ総研調べ)。
では、愛犬のソレユイと愛猫のトモーイと一緒に、東京地方産11月10日モノをテイストしてみたいと思います。

シャトー朝日  政権交代が見えてきた
シャトー読売  自公保政権は継続するが
シャトー毎日  二大政党制の時代が来た
シャトー産経  重み増した民主の責務 政権公約の実行に監視を
シャトー日経  信任得た小泉政権は政権公約を実行せよ
シャトー東京  二大政党へ厳しい目を

それでは私の思想信条とは別に一言二言。
うーん、バランスのよい味わいは、シャトー日経とシャトー東京でしょうか。
シャトー日経はくせもなく飲みやすい。
シャトー東京はストレートなアタックがあります。焼酎でいうなら「下町のナポレオン」こと“いいちこ”というか、変わらぬ味がほっとさせます(所詮、この程度の酒飲みか、おれは!)。
最近のシャトー朝日は、今年くらいから品種改良をしたらしくミンシュ糖が強く出過ぎています。
シャトー毎日は世論の反応をチラチラみながら、思い切った味が主張できず中途半端。
シャトー読売は元祖改憲派。民主党の憲法観について<「創憲」にとどまった>と書いてあります。「自分らに都合のいいことを言わせようとして、勝手なこというんじゃねえ」と私の反感を買いました。
シャトー産経は民主党を名指しするいやらしさ、そして「監視」という言葉を堂々と使うセンス、おまけに「断行すべきイラク派遣」「憲法改正」を訴えている。この大舞台で見事に“憂国の士”を演じきったあたりさすがであるが、いつも通りシャトー読売以上に違和感を感じる味わいであり、迷うことなくNG。

でも今回マカロニ総研が問題提起をしたいのは、あえてシャトー朝日ですね。

朝日が今年7月に<有事法制は民主党案を土台に>という社説をぶちあげて、その政治的スタンスを露呈し、同紙のコアな読者から不信の投書が直撃(そういう投書でも掲載するところが、さすが“紳士”)、一方で本誌からも2ページも使って批判を浴びたことは、記憶には新し……くはないですね。
だけども、その流れ、つまり民主党支持→自民党からの政権交代という流れというか願望は強固であり、それはわれわれに見える姿としては朝日だけではない二大政党制という形になった。
結局、メディアが大きな流れを作り出していくのだなとつくづく感じた。
自民党からの政権交代を目指すという点においてだけは百歩譲って支持できる。だけど、そのために、有事法案やイラク特措法などに賛成するのはお角違いだ。

しかしもちろん、このまま民主党が政権交代できるほど伸びる保障など何もない。票が伸びたと言われているけれど、「共産や社民の票を食っただけ」との指摘がやはり納得行きますね。
佐高信さんも言っていた。カレーライスかライスカレーかの違いの二大政党であると。
なるほど、吉野屋の牛丼と牛皿定食の違いか。くーっ佐高さんほどうまくひねり出せない。
これはもう新聞社説ソムリエはむりだから、新聞紙ソムリエに命をかけてなるかな。

そういえば、フリスク(原産国ベルギー)のCM知っています?
白いケースに小さなハッカ系の粒が50個くらい入っているお菓子のCMだ。

そのCMは、ボディビルダーの男性が本を逆さまに読んでいる。フリスクを一粒食べると本を正しく持ち直す、というもの(読書編)。
このCMだけでは意味が今ひとつわからなかったし、面白さがわからなかったんですが、もう一つのCMを見てようやく合点がいきました。

小説家風の女性が、タイプライターでポツポツと作品を書いている。失敗作の紙を丸めて後に投げる。だけどカゴには入らない。そこで、フリスクを食べる。すると、タイプライターでバシバシ打って、作品完成! とはなるわけではなく、紙クズを投げるとカゴにうまく入るようになる(作家編)。

つまり、基本的にダメな人であることには変わりはないんだけど、すこーしだけマシになりますよってユーモアだったんですね。そこの力の抜け具合がやるねっ、と感心したんです。
(すぐにピンと来た人には、長々とぼくの成長記録を読んでいただいてアリガトウございました)。

あ、おれも書き始める前にフリスク食べてたっ。

……お疲れっしたっ!
(平井康嗣)