旧商工ファンドの本誌買い占め疑惑
2003年8月29日9:00AM|カテゴリー:マカロニほうれん総研|Hirai
SFCGという会社をご存知だろうか。かつて商工ファンドと呼ばれていた中小企業を相手にする商工ローンの大手である。
大手商社出身の同社社長、大島健伸氏は法律と書類を熟知したプロフェッショナルだという。
その大島イズムにより、SFCGは事前に法的にしっかりした書類などを作成し、債権回収の手間を最小限に抑える。それによって、融資残高を上げていき確実な債権回収の金融ビジネスを展開している。試しに金融の株価欄を見れば、金融が青色吐息の最中、ぶっちぎりで1万3000円台を維持している。
言うまでもなく、SFCGの金融ビジネスはもちろん、合法である。合法でなければ、株主から資金を集めることができない。
白紙委任状+公正証書+連帯保証人をうまく組み合わせて使う。
法律に関するプロとアマチュアの認識の格差をうまくついたビジネスである。
そのSFCGについて、本誌8月22日号で報告している。取材・執筆したのはオヤジ系週刊誌でも活躍しているW記者だ。
そして、この8月22日号が発売になる金曜日の朝。
業務部に一本の電話が入ったという。
「企業の勉強会で使いたいんですが、どこに売っているんですか」。
業務のYはいくつか書店を教えたそうだ。すると、書店開店後、都内各所の書店から次々と追加注文電話が入ったそうだ。20店近くで次々と本誌が買い占められているという。
たとえば20冊納入している書店があると、3人の常連客が買った残りの17冊をごそっと買っていくという感じだ。さらに追加で入れると、さらに時間を置いてごそっと買っていくという。
特に、SFCGからほど近い日本橋の丸善からはすぐに本誌は姿を消したという…・・。
これはまさか……。
ちなみにW記者は、一連の取材の過程でSFCGの広報や顧問弁護士から「記事を売ってくれないもんかね」と頼まれたという。好青年のW記者は、さわかに、しかし、きっぱりと断ったと私に語る。
くるああ、金曜日をなめるなっての!
そんな裏話もいろいろあるが、警鐘を鳴らしたいのはSFCGの合法ビジネスである。
昔はよく「おじいちゃんの遺言で連帯保証人にだけはなるな」って言われたが、今は「白紙委任状と公正証書にはわからん人はサインはするな」と言っておきたい。
私も青木雄二さんの『ナニワ金融道』や『カネと非情の法律講座』を繰り返し読みこんでいなければ、この問題を取り扱うこともなかっただろう(『金曜日』に入って、その憧れの青木雄二さんに会えたときはマジでうれしかったっす)。
「失敗した日栄と成功した商工ファンドの違いとは?」については気が向けば次回に。
(平井康嗣)