きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

5分でわかる闇金融~「追い貸し」前編

本誌では2月21日号、2月28日号、3月7日号と3週連続で「ヤミ金・サラ金」の特集をした。サラ金問題をとりあげるのは久しぶりである。そして、2月21日号が発売された翌週の24日月曜日の午後、読者から質問の電話がかかってきた。
「追い貸しってなんなんですかねえ。もっと詳しく教えてください」
「追い貸し」とは「サラ金基本のキホン」でわずかに触れたヤミ金の一形態である。自分の銀行口座に勝手に金が振り込まれ、利息を払えと言われるかなり荒っぽいヤミ金である。金融問題に詳しいライターは「そんなのほっといて警察に言えばいいんだよ」と笑い、私も同感であった。なぜヤミ金業者(違法金融業者)がこのようなズサンな追い貸しをするのか、さっぱりわからなかった。

だが、先週、「追い貸し」を実際に体験したある女性・ミヤコさん(仮名)に接触することができたので、ここに紹介したい。誌面の都合上、紹介できなかったエピソードである。

今年の1月のある日、ミヤコさんに1本の電話がかかってきた。
「おまえの口座番号はわかっている。金を振り込んだ」。ヤミ金融である。
ミヤコさんが銀行口座を確認すると、貸し付け金額は1万5000円だが、1週間分の利息5000円はすでに抜かれて1万円だけが振り込まれていた。あらかじめ利息分を天引きするのが、ヤミ金の常套手段だ。

もちろんミヤコさんは「うちは結構です」と断った。だが、電話が鳴りっぱなし。受話器をとるまで鳴り続ける。
そこで電話をとり、「契約も何もしていませんから」と相手に言うと「てめえふざけるな」と逆ギレされる。「無茶苦茶なんてもんじゃありません」とミヤコさん。
しかし、あまりにもしつこい電話だ。金を返そうと相手の言う振込先に1万円を金をふりこむ。振り込み手数料はミヤコさんが負担した。
すると「足りないぞ!」と朝の7時から電話が鳴る。親戚、身内、会社へ電話攻撃。結局、ミヤコさんはうるさいからと利息分の5000円を払ってしまった。
数日後、電話を鳴った。「金を振り込んだぞ!」追い貸しを強要する別のヤミ金からだった……。

ここまで読まれて、いろいろな疑問を持つだろう。それが初めてヤミ金に接する人の疑問だと思う。それは私ももった疑問である。ということで、いくつかの疑問が思い浮かぶ。

(1)なぜヤミ金が口座番号を知っているのか。
(2)なぜ彼女は警察にも連絡せずに、まともに相手をしたのか。
(3)なぜ結局、「利息」を払ってしまったのか。
(4)なぜヤミ金はまたしても電話をかけてくるのか、などなど。

この疑問への答えと推理は後編へ続く。
(平井康嗣)