藤田田研究 ~ 銀座のユダヤ商人から宇宙戦艦マクドナルド号艦長へ
2002年8月9日9:00AM|カテゴリー:マカロニほうれん総研|Hirai
日本最大のハンバーガーショップ・日本マクドナルドが、8月5日からハンバーガーを79円から59円に、チーズバーガーを120円から79円、フランクバーガーを150円から75円に値下げした。
ヨシギュウなどと外食値下げ競争に火をつけたと言われるマクドナルドのデフレ路線復活だ。
今年の2月、2000年2月から始めた平日半額バーガー65円をやめ、土日祝日も含め一律80円にしたばかりだった。
当時の理由は、円相場が1ドル=130円台の円安となり、原料輸入経費が上昇したため、値上げしたということだった。
現在は確かにドル安円高が続いている。マックのハンバーガーの値段は消費者のマーケットと関係なく、為替相場が今回も値下げの理由なのだろうか。それにしても、コスト削減の分は、利潤に回せばよいと思うのだが、そうはできない理由があるのだろう。
薄利多売にしなければならない……。
これでカリスマ経営者・藤田田(ふじたでん)社長は、何を狙っているのだろうか。私は実はあまり狙いはないと見ている。藤田社長に短期的な狙いはあるが、プリンシプル(原則、主義)はない。
そもそも藤田氏は「薄利多売」をバカにしていたはずだ。
(ちなみに筆者は、この人の個性溢れる成功哲学を金科玉条のようにありがたがらない反面、過去の発言についてもマジメに経営者としての品格を問おうと思っているわけではありません。藤田氏の言うとおり、“金儲け”はつまるところ『勝てば官軍』(KKベストセラーズ、96年発行)。倫理を求めるだけムダでしょう)
さて、藤田氏の“迷著”『世界経済を動かす ユダヤの商法』(KKベストセラーズ。72年初版。筆者の手元にある91年版は266版も重ねたトンデモ本!)の「“薄利多売”はバカの商法」にはこ書いてある。
<ユダヤ人はきまってこういう。
「たくさん売って、“薄利”だなんて、フジタのいう大阪商人っていうのはバカじゃないか。うん、きっとバカなんだ」>
<少しでも安く売ろうと考える前に、なぜ、少しでも厚利を得ようと考えないのだろうか>
<メーカーや商社は、利益が薄ければ、いつ倒れるかわからない危険にさらされているのも同然で、まして、薄利競争などは、お互いの首に縄をかけて、ヨーイ、ドン、で引っ張り合うようなもので、愚劣きわまりない商法である>
なるほどおっしゃる通りだが、藤田改めフジタ氏は、考えていることと行動がバラバラになってしまうのだろうか。まるで、ブッシュ大統領のようだ。
そうして1941年12月8日の真珠湾攻撃を意識して94年12月8日、フジタはこの日を「巨大宇宙戦艦マクドナルド号出撃の日」とした。そうして波状的に市場に「奇襲作戦」をしかける「価格破壊強襲作戦」を宣言。「ユダヤの商法」をけっとばし、終わりの見えないデフレ戦争に突っ込んでいったのである(『勝てば官軍』参照)。
フジタ氏は『ユダヤの商法』でこう言っていた。
<金には、氏素性も履歴書もついていない。金に「汚い金」はないのだ>。
そうですか。
カリスマ・フジタの発言を店に貼り出したら、客足が遠のくことは間違いないな、こりゃ。
面白すぎるカリスマ・フジタのそのほかのトンデモ発言は次回以降に紹介します。
(平井康嗣)