きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

大接近中の火星

 大接近中の火星を見てきました。地球と火星は約2年2カ月ごとに近づくのですが、今回の大接近は約6万年ぶりです。なぜそうなるのかは、さまざまなHPがあるので、そちらに譲ります。(たとえば「Yahoo!きっず」URLhttp://kahaku2003.kids.yahoo.co.jp/mars/index.html

 学生時代の友人と向かった先は、栃木県矢板市の八方ヶ原です。関東地方は時期はずれの猛暑でしたが、宇都宮市付近で霧となりました。観望できるか冷や冷やしながら山頂へ向かうと、ふいに雲の上に出ました。宇都宮市の街の灯が雲の下に隠れて、絶好の条件です。標高が1200メートルあるだけに、セーターを着ても寒いほど。途中からジャンパーまで着込みました。

 上空には、一等星が描く夏の大三角形。天の川の形もくっきりとわかります。友人が手際よく口径20センチの望遠鏡を組み立てます。

 待望の火星は、南の空に一段と明るく輝いています。望遠鏡を合わせると、白く輝く南極冠や表面のしま模様まできれいにくっきりと見えます。しかも、数時間おくと、しま模様の形が変わっているのがわかりました。火星の自転は地球より少し遅いものの、24時間37分で回転していますから当然なのですが、やはり実際に目で見ると、新鮮な驚きがあります。

 駐車場は50台程度の広さですが、金曜夜のためか先客は1台のみ。子どものころから親しんだ二重星団やアンドロメダ大星雲など、ゆっくりと夜空の散歩を楽しむことができました。もちろん、適量のお酒と友人とのよもやま話を楽しみながらです。

 ちなみに火星(英語名Mars)は、ギリシア神話のアレス(Ares)、ローマ神話のマルスにあたります。アレスは、主神ゼウスと正妃ヘラの息子で、その名は「戦争」を意味し、馬のひく戦車にのって血なまぐさい戦場を駆けめぐることになっています。

 確かにこれほど赤く、しかも明るさと見える位置が数年ごとに大きく変わる星はほかにありません。古代の人の想像力の豊かさに感心しながら、もっと夜空を見上げる生活をしなければとあらためて思いました。

 ちなみに火星が地球に最も近づいたのは8月27日ですが、1週間ぐらいずれてもそれほど大きさに変わりはありません。彗星とちがって、火星の軌道は円に近いからです。27日に天気が悪くて火星が見えなかった人は、天気がよい夜にもう一度、挑戦することをお薦めします。