きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

NHKと本多編集委員

 本誌編集委員の本多勝一氏にかんするニュースがインターネット上で話題になった。いささか旧聞に属するが、先月下旬のことだ。ニュースとは、「本多さんが受信料を支払っている」とNHKのスタッフが虚偽の説明をして集金しようとしていたというもの。

 本誌6月23日号で詳報したから本誌の読者はよくご存じだと思う。インターネットでは、『毎日新聞』のニュースサイトが同23日午前3時すぎに記事を載せ(新聞も同日朝刊に掲載)、各種のニュースサイトや掲示板、ブログなどに広がっていったようだ。(ちなみに、私が確認した範囲では『琉球新報』「日本テレビ」「テレビ朝日」なども報道した)

 NHKさいたま放送局のスタッフが訪問先の男性を殴って負傷させた疑いで逮捕された事件が同時期にあったことから、インターネット上ではNHKの体質に対する批判が目立った。その一方で、「不審に思った視聴者が本多さんに連絡を取り、事実でないことが分かった」(『毎日』)との報道を引用しながら、この視聴者を誹謗(ひぼう)中傷するかのような書き込みも散見された。たとえば、「本多勝一に連絡がとれる視聴者とは誰なんでしょう」などと、この視聴者が特別な人であると匂わせる手法だ。

 うーん、これは意図的な攻撃なのだろうか、それとも単に思いが及ばないだけなのだろうか。本誌6月23日号にも経緯を載せたが、この視聴者は編集部に電子メールで問い合わせ、それを担当編集者が本多編集委員に取り次いだだけのこと。字数制限が厳しい新聞記事がそこまで詳しく書かないのは当然だろう。

 本多編集委員のコメント、「私は受信料を支払わないとは言っていない。NHKが本当の公共放送であれば払う」(同紙)を揶揄(やゆ)する書き込みも結構あった。本多編集委員が指摘する「本当の公共放送」でない理由は、たとえば《受信料を払っても、NHKの経営や番組編成に対して一切の権限が存在しない》(『職業としてのジャーナリスト』、朝日文庫)ことなんだけどね。

 NHK集金スタッフの嘘を話の糸口としたNHK問題の本誌連載(「貧困なる精神」)はまだまだ続く。本多編集委員の主張を正しく理解するためにも、本多編集委員を誹謗中傷する方々にこそ読んでいただければうれしく思う。