きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

気胸になりまして

気胸バッグ。チューブの先には結局なにがついているのかわからなかったが、針的なものが刺さっているらしかった。これをポシェット(死語?)のようにぶらさげて24時間1週間生活。これじゃあ電車にも乗れませんね。うっとおしかったです。

気胸バッグ。チューブの先には結局なにがついているのかわからなかったが、針的なものが刺さっているらしかった。これをポシェット(死語?)のようにぶらさげて24時間1週間生活。これじゃあ電車にも乗れませんね。うっとおしかったです。

実は、2月に気胸とやらになっていました。

気胸というのは、肺に穴が空く症状で、胸に空気が溜まって、痛くなったり苦しくなったりします。もちろん空気は早く出さなければ、肺がへたるので、針的なものを刺して空気を抜いたりします。自然に肺に穴が空くものを自然気胸といいます。肺気腫になって! との心配のメールを療養中にいただきましたが、もちろん違います。こちらがびびりました。

2月初めのことです。あまりに咳が出て、肺がありそうな個所が冷たいので(寒い日にマラソンをして肺が冷える感じが日常的に続いた)、自己診断により喘息の可能性ありと判断。三河島の住宅地に突如存在する隠れ家的店で知人と焼肉を食べていても、全然美味に感じず、このままではまずいと判断。

翌2月7日に、出版健保の内科に行き、喘息の薬をもらいました。

 

出版健保とは出版業がつくっている健康保険組合で、東京・お茶の水と会社に近いロケーション。筋向かいに日本雑誌協会の事務所が入るビルがある。なおかつ、通常医療費の窓口負担は3割なのですが、出版健保の組合員がここの診療所で治療を受けると健保が負担してくれるので1・5割の負担ですむとリーズナブル。

 

薬を処方してもらったものの、咳がとまらないので2月10日月曜日、仕事が一段落したころをみはからい、再び出版健保に行きました。もっと強い薬をくださいと頼むと一応、レントゲンと肺活量を測るということになりました。

しかし、肺活量を測ると吸えないし吐けないしで、3,4回やりなおしましたが、むせて数字はとれず。最後は一番いい数字をデータにしておこうとなり、それから別室でレントゲンを撮影しました。

フィルムができあがるのを待っていると、持ってきた技士の方が「これは咳が出るよ。気胸だよ」と言います。

「なに!」と反応するほど知識もなく、「はあ、そうですか」とよくわからないまま、内科の医師の元へデータとレントゲン写真を持っていきました。すると「これはすぐに処置しないと。気胸ですね。肺が3分の2に潰されています」と、やにわに日大やら東京医科歯科のER(救命救急)に看護士の方が電話をかけはじめました。

「とりあえず会社に戻らないといけないのですが」と言う私に、「だめですよー。すぐ病院に行ってください。ここでは処置できませんから」と厳しい指導が入り、私は手にレントゲン写真と紹介状を持って東京医科歯科大学のERに歩いて向かいました。

 

ER室に入ると、レントゲン写真を見た医師が「入れてから撮った方がいいな」と上半身裸になった私を麻酔し、メスで右胸をおそらく2,3センチメートルほど切開して、気胸ドレーンという針のようなものを3段階くらいでぐいぐい押し込みました。そりゃ痛かったです。杭を胸に打たれるドラキュラや矢に射抜かれた落ち武者の気持ちが想像つくほどでした。腕や足ならまだしも内臓刺されたら死に直結するなとはじめて直感しました。寒気で身体がぶるぶるふるえましたが、「歩けますか」と促され、自力で処置ベットを下り、MRIやレントゲン撮影をする場所に向かいました。

処置後には医師が書類を書いているらしくベッドの上で暇なもんですから、病院の外に出て会社に戻れないことや夜の飲み会をキャンセルするために関係各方面に電話をし、治療費を支払い痛みにうなりながらタクって帰りました。

 

その夜は自宅でWEBでよさ気な病院を検索し、それから2週間は市川の化研病院に通いながら自宅安静をしました。担当の小中千守副院長は『日刊スポーツ』で「肺がんにならないために」という連載の監修をしている人物。とぼけた感じですが、ベテランなので処置が上手だと感心しました。私が嫌がる手術や入院を避け、冗談をいいながらこちらの裏をかいて素早く処置をしていました。肺がんの名医として知られているらしいですね。

どの医者とはいいませんが、ERで入院せず、痛み止めをもらわなかったことを告げると「これだからなERは。命助けりゃいいと思ってる」と反応している人がいました。私にはこの医師の反応がとても新鮮だったというか、医療界における救急の医師の位置づけや肉声を垣間みた気がしました。

さらに、病気予防には内科医の問診が重要だということもあらためて感じました。早めに診察を受け、病気を発見して処置すれば病気の悪化も防げ、ひいては医療費の抑制にもつながるでしょう。受診控えを促す悪制度(窓口負担が高いなど)は、患者、病院、政府のためにも改善すべきではないでしょうか。

 

さて、処置後1週間でドレーンを抜き、その1週間後には抜糸し、いまでは元気に働いています。ようやく風呂にも浸かれるになりました。

しかし、気胸は再発率50%強だそうですから、まだまだ気を抜けません。

が、復帰後ただちに2週連続で特集を担当しました(させられた?)。編集長はいつも笑顔な人ですが(にやついているだけ?)、けっこうタヌキかもしれません。

 

ようするにブログ更新が少なかった言い訳でした。

バイ!