きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

ローザ・ルクセンブルクと『中央線の呪い』

中央線沿線の古書店で購入したローザ・ルクセンブルクの著作

中央線沿線の古書店で購入したローザ・ルクセンブルクの著作

 毎月第4週の発行号に掲載している「佐藤優の歴史人物対談」が好評を博しています。これまでに、マルクス、エンゲルス、ムッソリーニ、ラッサールを取り上げました。登場人物の著作などからふんだんに引用して「対談」に説得力を持たせるとともに、関心を持った読者が参考文献をひもとけるようになっているのが魅力になっています。 

 6月に取り上げるのは、ローザ・ルクセンブルク(Rosa Luxemburg、1871~1919)です。彼女は、ロシア領ポーランド生まれの革命家、経済学者。〈1918年ドイツ革命の勃発にあたってドイツ共産党を創設して、革命の推進に努力したが、19年の1月蜂起の渦中でドイツの反革命将兵の手によって、リープクネヒトらとともに虐殺された〉(『岩波経済学小辞典 第2版』、1987年)人物です。

 佐藤さんとの打ち合わせで取り上げる人が確定したあと、編集者(私)が行なうのが参考文献集めです。当然のことながら佐藤さんはすでに文献を所蔵、閲読していますが、編集者も(ある程度は)読んでおく必要があるため、引用で使うことになりそうな書籍を佐藤さんからうかがって購入するのです。

 古書を求めるのに便利なのが、東京都古書籍商業協同組合インターネット事業部が運営している「日本の古本屋」(http://www.kosho.or.jp/servlet/top)。全国古書籍商組合連合会の傘下約2300店の参加を目指しているとのことで、実際に、全国の古書店の書籍が検索できます。Amazonなど他のサイトも使って書籍を探してゆきます。

『ローザ・ルクセンブルク選集』(全4冊、現代思潮社、1969-70年)はとても安価(2000円、送料別)で見つかりました。探すコツとして、「ルクセンブルグ」や「ローザ、ルクセンブルク」など、少し違う表記で検索すると、掘り出し物が見つかることがあります。『経済学入門』『ローザルクセンブルクの手紙』(いずれも岩波文庫)は各500円でした。

 迷ったのが、ローザの主著である『資本蓄積論』(岩波文庫全3冊)。いずれのサイトでもそれなりに結構な値段がついています。高くても買うしかないか、と思いはじめていたとき、ふらりと立ち寄った中央線沿いの古書店で、『資本蓄積論』3冊を見つけました。『資本蓄積再論』『獄中からの手紙』(いずれも岩波文庫)もあり、5冊を1950円で入手できました。安い、さすが”中央線”です。

中央線沿線の文化を解説した『中央線の呪い』

中央線沿線の文化を解説した『中央線の呪い』

 主な鉄道の沿線沿いには、その沿線独特の文化があり、〈呑み屋、旨い物屋、古本屋、猫、インド服、パンク、ヒッピー、エコロジー…ヘンテコなものが集中する中央線〉については、『中央線の呪い』(三善里沙子著、扶桑社文庫、1999年)が詳述しています。戦前の岩波文庫が充実している古書店が存在しているなんて! 中央線の奥深さをまたしても感じた出来事でした。