JAL破綻で、わしも飛行機を考えた
2010年1月21日12:59PM|カテゴリー:マカロニほうれん総研|Hirai
と椎名誠風に始めてみました。椎名さんなら飛行機のトイレはうんこをするのに集中できないのだ、とか言うんでしょうか。
さて、私はしばしば北海道や沖縄にいくこともあり、定期的に飛行機を使います。予定がわかっていて早めにチケットをとることが可能ならば、マイレッジを溜めている全日空(ANA)を選びます。そうではない場合はスカイマークに乗る場合が多い。
理由は無論、安いから。それにつきます。それ以外はスカイマークはマイナスの要素だらけです。スカイマークは、日本航空(JAL)と対照的に低コスト路線です。中古の機体が多く、地上職員や乗務員も私服半分なので、高級感はまったくありません。発着ゲートも荷物検査場から遠くに追いやられて歩かなければならない場合が多く、さらにはバスを使って機体に乗り込まなければならない場合もある。おまけに離着陸が遅れることもたびたび。マイレッジも溜められない。
それでも安いから乗る。
さらにさらに、スカイマークはANA、JAL、エアドゥと違って紙コップ一杯の飲み物もでない。
でも、この一杯で運賃が数千円高くなるのならば、自分で飲み物を買えばいい話でもある。沖縄行ったら、オリオンビールを飲み、北海道行ったらサッポロクラシックを飲めばいいのです。私はANAに乗っていても、ビールを飲んでアイマスクして寝て、飲み物をもらわないこともしばしばです。
安全で安ければ最低限、乗り物として合格点でしょう。助かってます。
一方の1月19日に会社更生法の適用を申請したJAL。
私はこちらも一応マイレッジカードを持ってはいるのですが、なぜか以前から乗る気がしない。元ナショナルフラッグでいつからANAと立場が逆転したのかよくわかりませんが、石原慎太郎氏に高額の政治献金をしている糸山英太郎氏が大株主であるなどして、なぜか乗りたくない気分にさせるのです。無論、上場会社であるJALも株主をどうしようもないのでしょうが。
でも、そんなモヤモヤ感は私に限ったことではなかったようです。たとえば一昨年の夏でしょうか。私はうかつにも、ANAでおさえたチケットが二つとも羽田→札幌行きだったという大失態をおかしたことがありました。復路の新千歳空港のANAのカウンターでそれに気づき青ざめましたね。そこで、しょうがないのでANAでチケットをとろうとしたら、満席ですとカウンターで言われたのです。
じゃあスカイマークさん、エアドゥさん(注)と行きましたが、チケットはありませんでした。こりゃあ、困ったなと思い、JALを見るとなんと空席ありと表示されている。がつんと空席なのでです。ここで迷ったのですが、念のため、長年愛用しているウィルコム(モバイル界のJALか? 私的整理で経営再建中ですが)でANAのサイトにアクセスしたら、なんと当日のチケットが空席であるのです。JALと同じような金額ですし、ネットで便を予約してから、またカウンターにいきチェックインしました。チケットのキャンセル料に加えて33000円くらいとられたんで痛かった。それで命拾いしましたが、カウンターで断られてネットでは予約できるっておかしくないですかね。これって裏技なのでしょうかね。
つまりです。私は、そのときにJALはそうとうヤバイな、と思ったわけです。JALガンバレとはあまり思いませんが、JALで働いている人は取材したこともありますし、がんばってほしいですね。
ちなみに北海道限定路線のエアドゥという会社は、ベアドゥというクマのキャラがいてなんとなく親しみをもっていて、こちらもたまに使います(見事に航空会社のイメージ戦略に乗って軽々とテイクオフしていますが)。このエアドゥでの人気路線は、提携しているANAとの共同運航便のようですね。エアドゥの料金でANAに乗れるからでしょう。
たとえば、1月30日羽田発札幌行きANA4715便は1月20日に購入した場合、定価33600円、割引(特割7)で25500円です。
しかしエアドゥで購入すると定価26000円、割引(Doバリュー10)で13300円と大幅に金額が違います。
両者の違いは、ANAで購入しないとANAカードのマイルポイントがつかないということだけだろう。1万円の差ならばマイル分より圧倒的に元が取れるのだが、マイルでポイントを貯めたいというジェットセッター志向の人にはそのあたりの計算は度外視なのでしょうね。
そんなこともあり、私はANAで予約する際にはたいがい共同運航便は外すことが多い。でもさっきあらためてANAの時刻表をみたら、18便中10便が共同運航便になっていて驚きました。この分析をどなたかしてください。
こんな『日経トレンディ』のポイントカード特集のようなことばかりを書いておりますが、飛行機に乗るときにはいつも気まずい気持ちを抱いています。数年前にフランスの農民運動家、ジョゼ・ボヴェが来日したときに成田・三里塚を同行取材したことがあって、三里塚の農家には絶対飛行機に乗らずに海外も船でいくという方がいたからです(注2)。空港反対闘争をしているのだから、当然なリクツなわけです。私は反対闘争の当事者ではなくさらにそれを実践することは難しいのですが、ただ飛行機に乗るときに、このことやらフードマイレージやら思い出してしまうのでした。
(注1)以前、会社評論家の奥村宏さんと佐高信・編集委員が『トヨタの正体』(金曜日刊)で対談した際に、奥村さんが、会社にさんづけするのは日本だけでしょう、米国で会社にミスターとつける人はいませんよとと企業文化を批判していましたが、私も日本人的ということなのでしょう。
(注2)ジョゼ・ボヴェについてははwikiでもみてください。農民同盟のリンクもありますし、概略が載っています。2007年にはフランス大統領選にも出馬していますね。ボヴェについて面白かったのは立教大学経済学部教授のアンドリュー・デウィットさんに通訳を御願いしてインタビューした際のことです。いろいろと話したのですが、ボヴェは僻地に行った場合には、コカ・コーラを飲んでいると言っていたことです。コカ・コーラは世界共通の成分なので、現地で飲む水よりも安全というのがその理由でした。わお。このエピソードの何が面白いのかといえば、コカコーラはグローバリゼーションの象徴のような多国籍企業ですが、ボヴェはアンチグローバリゼーションの運動家のシンボル的存在だからです。しかもボヴェたちはフランスのマクドナルドを米国に反発して破壊したことで有名になった人物なのです。わおわお。ボヴェのこの合理性や図太さに、好感を持ったことを思い出します。