金曜俳句の投句一覧(3月末締切)
2010年4月14日6:14PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧
(選句結果と選評は『週刊金曜日』4月23日号に掲載します。『週刊金曜日』の購入方法はこちら)
【兼題】花見、入学
満開の桜の下の妬心かな
花見どき酔いにまかせ踊るなり
講堂に新入生の匂ひ満つ
柿畑をうごめく汗や花つぼみ
夕櫻江戸の名所の飛鳥山
大き子の隣の吾子や入学す
登校の子等呼びあいて風光る
老親と今年も観られた桜かな
花蓆パンと叩きて畳まるる
露店よりそれたところの花の夜
車椅子桜仰いで老親と
桜狩巣鴨参りをメインとす
手を入れて欝つかみだす桜狩
花筵雀下見に来てをりぬ
桜東風ユータンしやすき空であり
若夫婦花見する気もひまもなし
饒舌な桜の下にゐてをりぬ
花冷えは祝杯の障害にもならず
花の香や生きめぐり来て幾度ぞ
声明(しょうみょう)のふつふつ夜の桜かな
介護バスゆっくり巡る花見池
入学の子ひとりたちまち発光す
花曇り衿をそばたて蕎麦すする
一年生喜こびだけを持ってをり
桜月夜もひとつ向うのポストまで
花筵まるで大海原のやう
夕の雨あがるのを待ち花見かな
観桜のときに杉風あふぎもし
花びらは食ひ残したる花の宴
就職難新たな春に桜咲け
だんだんと鼻重くなる花見かな
酔いしれて 桜にもたれて 花見かな
五分咲の桜に呼ばれてついて行く
花見酒水面に映るわが妹子
求めぬと友なき吾子の入学す
お花見や今日は発泡酒じゃないよ
過ちを花見に託つメールぞ来
上野山人満ち櫻未だ三分
海の幸ざくと串刺す花見茶屋
定年に彼岸の桜慰める
春の花寒い冬ほど美しい
好きでない色も似合ひぬ花衣
満開の桜に万の眼かな
夜櫻を待つ間繋ぎの迎へ酒
ゆきちがふとき清らかな花見舟
さつと降りさつと晴れたる花見かな
我残し花見もせずに猫逝きぬ
九十九里花見に踊る大漁節
世の常か 名物桜 老いもくる
あはき影曳き花人となりにけり
花見時予報の天気はずれそう
繚乱の蝦夷の花見の未だ遠し
入学のその唇に触れてみたい
その奥に青春が霞む花吹雪
降格で酔えもせぬのに花見酒
ウルトラマンになり損ね入学子
めざします子規か虚子か廃(俳)人か
入学子見送人を振向かず
花見頃雨の匂ひの濃くなりし
故郷の桜は負けぬと九段坂
もう一度数へ直して花見かな
桜散る海猟の顔を見に行こか
桜よりダンゴ喜こぶ孫二人
新入の留学生の国訛り
子どもよりママが華やぐ入学式
孫たちの入学に幸祈るなり
桜狩もうゆふぐれをまとひけり
限界の名を負ふ村の花見冷え
入学子校門近く馳せ出しぬ
一時の花にぎやかに一杯の酒
花見茶屋木椅子長椅子パイプ椅子
君がためなんて訳なく入学す
寒さ過ぎ花見で飲む酒またうまし
観桜の山もういちど惜しみけり
憂国の背広姿の花見かな
名所へと西へ東へ花見かな
三年の青春開く新入生
親子ほど年の差ありぬ新入生
花筵去年の酒の染みを踏む
まあまあと不安もちつつ門くぐる
お花見に犬にも一席設けます
焦げ過ぎや入学の日の玉子焼
「ザワザワ」は一年生の歓喜の歌
教育は人類共通に春よ来い
愛で終えて芥と消えし桜花かな
花見酒思はぬ人の尻尾かな
老兵の手向けの歌や花見酒
少子化と言はれ国宝入学児
御所染の半襟に替へいざ花見
新入生手を直角に黄の帽子
南総の光にたくす入学児
車より七輪十個花見茶屋
入学の甥に手渡す料理本
花見酒をどる女を男止む
なか空より死者落ちてくる花見かな
孫たちの入学の眼つぶらなり
入学日親の身支度手間どりて
とにもかくにもかうなつてみて花見かな
花人を三井寺駅がどっと吐き
侘助も桜色いろ枝変わり
芽吹く春君の未来よ舞い上がれ
八十路来ていくたび賞ずる花の香を
花見きて幸わせそうな愚痴を聞き
二三人名前覚えし一年生
小さきもの花片を追ひ歩き初む
葉桜の下に流るる花景色
老い二人分校跡の花床几
花見時ごちそうならび草餅も
願書より大人びてをり一回生
花の日はひとりで歩くわれのすがた
店番の一人となりて花を見し
おのが入学を孫に託して胸躍る
携帯の壁紙吾子の一年生
禁酒ではなくて下戸です花見人
山桜 緑の中に 花弁散らん
大き目の制服並ぶ新入生
若き人入学するわれも行きたし
東名で夕映え富士に桜吹く
飛び入りをすぐ仲間とし花見かな
花筏海のまるみに引かれをり
借り物のやうな親子や入学す
深呼吸入学式へ出立す
日の丸に抱かれて少女入学す
入学の子の肩つかむとき厚し
目で合図離れる席の花見かな
再見と成田見送る寒桜
花見とて見上ぐるときの独りかな
犬山や下るにまかす花見舟
ご近所に思はぬ美人花の宴
花見酒つばきは立ちて呑むのみ可
桜道小さき背中(せな)のランドセル
十五の春 望まざるとも 我が道行かん
朝三分昼五分咲きの花見かな
町内の花見にハイカー招き入れ
今年こそ根尾のさとへと花見せむ
海幸に山幸隣る花見かな
心音が教室包む新入生
四五人のまた増えてきて花見船
散り際の桜に似たし五十坂
付添ひに制限のありお入学
美少年のうなじにニアミス花宵闇
家中の時計合わせて入学す
ひとひらの花びら浮かべ花見酒
未来あり入学式のゆめきぼう
入学のモニター画面の式始む
鍬杖に遠山の花眺めけり