きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

小沢一郎はなぜ同情されるのか

 

小沢一郎幹事長を支援する会結成大会の様子(5月8日、都内にて)。

小沢一郎幹事長を支援する会結成大会の様子(5月8日、都内にて)。

 

新聞やテレビでアンケートをとると民主党を中心とする連立政権の支持率は下がっている。しかし、実感としてそれほど民主党が嫌われているとは思えない。アンケートに不正があるとは言わないが、実感とのズレがある。

なぜ民主党はそれほど、嫌われていないのか。それは小沢事件の副産物ではないか。民主党にとって小沢事件は逆風ではない。むしろ追い風である。もちろんファクトとして、小沢は不起訴になる見通しにもなった。そもそも昨年の衆院選に際しても小沢事件を今と同じようなタイミングで民主党は抱えていた。それでも民主党は大勝した。小沢事件自体は民主党にとって大きなマイナス材料ではなかった。

事件の結果、評判を下げ、不信感を招いたは検察。そしてマスメディアだ。彼らへの不信感はひじょうに高まり、じわじわと広まっている。ここでいうマスメディアはテレビや新聞だ。雑誌やタブロイドは少々ポジションが違う。

検察のリーク報道で虚実ないまぜの報道を続ける大マスコミへの信頼は低下している。とはいえ、リーク報道の証拠もはっきりはしてない。だが、世間ではそう思われている。肝心なのは評判や印象だ。もちろんリークがあったと考えるのは妥当性はある。ちょっと前は週刊朝日と日刊ゲンダイの評判がよかった。これは検察批判を全面的に押し出していたからだ。検察やメディア不信は、支持率を下げる民主党を贔屓するバネになっていた。しかし、それも沖縄次第かもしれない。額賀が考えた辺野古V字案に乗っかれば、そんな民主党の底が抜けかねない。

●小沢一郎を応援するひとびと

小沢幹事長への同情。その典型的な例のひとつが、5月8日に開かれた「小沢一郎幹事長を応援する会」結成大会だろう。

弁護士の伊東章氏が代表世話人になっている勝手連的な会だ。伊東弁護士は小沢一郎幹事長と小石川高校の同窓生だそうだ。だからと言ってこの会を結成したわけではないとう。平たく言えば、マスメディアが権力を監視する犬、ウォッチドッグではなく、権力の犬となっていることに憤りを感じ、酒飲み話から数人の仲間とこのような勝手連の会をつくったとのこと。

最初はどのような面々がいるのかと思ったが、社会党出身の元豊島区議や、泉谷都議など民主党現職もいる。どちらかといえば左派、リベラル色が強い。その人々が、左派的と批判されることの多い朝日やTBSを批判し、連立を組んでいる社民党まで非難している。そして小沢一郎を応援している。

どなたか失念したが、「小沢さんは言い訳はしない。他人の批判はしない。最初に記者クラブを開放したのは小沢さんだ」と発言していた。民主党ではなく小沢一郎に好意的なのである。

 

 ●大衆レベルでも検察・メディア不信

上記のような活動を支えているものひとつにはオンラインの世界がある。そこでは民主党に批判的な声もあるが、メディアの誤報ではなく虚報を追及する声がみつかる。マスメディア不信という直感を裏付け、自信をもたせ、行動にもつなげていく。

検察リーク報道を実証的に証明しようと試みているのが次のブログである。

ブログ「一市民が斬る」 http://civilopinions.main.jp/

日経と読売の今年1月25日の誤報を追及している。石川議員の手帳があったという報道だ。だが、そのような手帳は実際は発見されていない。翌日に早くも両紙は訂正を出している。

この一件を書いたブロガーの男性から編集部に電話があった。話を聞くと記者経験もない一市民の男性だという。日経新聞本社にまで乗り込んでいる。一市民として誤報追及に関して、ほぼやりつくしたと言ってもいい。

原動力は、<検察リークで虚報を垂れ流すメディア>に対する公憤のようであった。これまで、このような行動は、表に出ることはなかった。だが、自分の行動を公に記録に残すことができるオンラインの世界ではすべてがあからさまになる。行動したことを公に記録に残せる。これが行動しがいがあるということになるのだろうか。

「一市民が斬る」さんのような、メディアリテラシー記事は、オンラインの世界において専業ジャーナリズム以外にも可能になっている。このようなブロガーを日経新聞のようにナメテいると新聞はいずれ痛い目に会うだろう。

●テレビの垂れ流しも監視対象に

新聞だけではない。これからはテレビもいい加減な放送はできなくなっていくだろう。ワイドショーのコメンテーターなどひどいものだ。

これまで誤報批判の矛先は主に新聞だった。今後もテレビと比べたらクオリティが異なるので新聞であろう。新聞はまず、図書館にもあるし、手に入りやすいメディアである。一方、テレビはあらかじめ録画しておかなければ、あっと口を開けている間に放映されて終わり。昔からテレビ批評は苦労した。

しかし、HDDやSDDという記録メディアが低下価格化している現在、いくらでも録画できる。すでに、SONYなどでも1週間地上波を録画できる装置を発売している。さらに視聴者が問題が大きいものはyoutubeやニコニコ動画なでにアップされる。しかし、動画と文字をミックスして批評することは難しいという面倒くさいので、文字が主体であることには大きな変化はないのではないかと見ている。高度な技術であっても人が好まない技術もある。

最近、録画しそこねたものといえば、5月5日にフジテレビの情報番組「知りたがり!」で沖縄基地問題を解説していた森本敏氏の発言だ。森本氏は、軍事評論家らしく非常に詳しく普天間基地問題を解説していた。にもかかわらず、意図的に名護市の住民投票で基地移設に反対が多数派だっということはしっかりとネグっていた。基地容認派が市長を続けていたと解説していたから、ネグッという意図が透けて見える。情報操作である。

マスメディアはますます批判にさらされて生きていく時代になった。