金曜俳句の投句一覧(8月末締切、兼題「コスモス」)
2010年9月6日9:41PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です
選句結果と選評は『週刊金曜日』9月24日号に掲載します。
【コスモス】
コスモスの揺れて地雷の埋もれをり
群れて生くコスモスめだか鰯雲
コスモスの逆ふことなく風と揺れ
コスモスの四五本束ね渡さるる
コスモスに憧れおりし廿代
コスモスを駆け抜けて行く変声期
煙はく汽車を遠くに秋桜
この町の河童伝説秋桜
故郷へ続く旧道秋桜
コスモスの丘に胸から上の君
空の下みなそれぞれの秋桜
コスモスのお迎え嬉し家路かな
コスモスや名付けし母の秋桜忌
コスモスの光のなかに立ちつくす
コスモスは哲学理学天文学
コスモスの咲く丘をゆく乳母車
湯治場の暮れ残りたる秋ざくら
コスモスの真中の道を嫁ぎしも
コスモスや昭和の色の遠くなり
秋桜やもの思ふ娘の風情かな
コスモスや写真の母のおさげ髪
駆け抜ける子にコスモスのなびきたる
コスモスに囲まれ足を踏み出せず
コスモスが地球の秘密送信し
われを囲む山羊のまなざし秋桜
コスモスや理屈ばかりの手紙捨つ
コスモスのまだ蕾なり整列す
頤に風きてをりぬ秋桜
コスモスの花に届かぬ兄妹
コスモスと富士少し入れ写生の子
コスモスやしゃがんで呑めば貌(かお)見えず
コスモスを揺らして行きし路線バス
そよ風にゆれる秋桜わがこころ
吹かれてももつれもせずに秋桜
コスモスを抜けて小川の激しかり
駆けてくる君に纏ひし秋桜
コスモスが寄ってたかって知らん顔
コスモスや踏切さきの尼の寺
空高くコスモスとこころ溶けていく
民宿はコスモスどさり大壺に
野の花のやうにコスモス夢に咲き
コスモスや花ざかりに生まれたと母の声
児らの声いろいろ色の秋櫻
豊作やせいたかコスモスすくすくと
コスモスの眩しきまでにひとりかな
群れ集う人コスモスも多すぎる
ひと風にコスモスの影乱れけり
コスモスや工場跡に赤煉瓦
夕張の炭住跡の秋桜
コスモスの揺らひでみせる強さかな
コスモスと四畳半には犬一匹
コスモスのやうに吹かれて神隠し
コスモスの地平線より軍楽隊
この夜の秋桜淋しくはないか
コスモスや生れつひての浪漫派
コスモスや同化圧力日本人
コスモスや古希を迎えた日にもまた咲く
秋桜の咲くまで待ってと介護かな
咲き誇るコスモスを抜け風過ぎる
咲き乱れコスモスの花愉しそう
コスモスやオレンジ色の風渡る