金曜俳句の投句一覧(8月末締切、兼題「天の川」)
2010年9月6日9:48PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です
選句結果と選評は『週刊金曜日』9月24日号に掲載します。
【天の川】
天の川どこにあるのと見上げる子
恋と云はず憧れと云はむ天の川
舷の油のにほひ天の川
銀河より零るるものを掌に
天の川夢の帰郷の橋になる
黒潮へ真直に垂るる天の川
殺めらる牛達もをり天の川
天の川飽かず眺めし林間学校
君恋し逢うに逢われぬ天の川
洪水も無くダムもなき天の川
更けゆけば急流となる天の川
銀色の魚通りぬ天の川
カタカナもひらがなもあり天の川
牛車駆れ今宵一夜ぞ天の川
雑貨屋に灯の点りたる天の川
天の川から流れ来る鎮魂歌
伏(まつろ)はぬ群静かなり天の川
毛筆の短冊吊しし天の川
抱き上げし孫が指さす天の川
初恋とでくわしてゐる天の川
足音と川の音のみ天の川
あの日あの夜眺めけり天の川
柴犬のすっくと立ちて天の川
天の川知らで育ちし若き等よ
銀漢へ馳せる思ひの疾さかな
亡き人はいずこに在りし天の川
天の川消えて久しき空眺め
この星も星屑のうち天の川
天の川名も無き星に我を見る
闇の中河原に転び銀河観る
逝きし人夜空の星と天の川
天の川知らぬ子多しまち育ち
遠距離恋愛懸け橋となれ天の川
天の川その先右は圏外です
銀漢や祖母の袖口固かりし
銀漢の縁に手紙を埋めにゆく
水ありて命の生るる天の川
故郷の廃校舎に降る天の川
戦果てしみじみと見し天の川
天の川ときどき人に近く寝る
岩稜をたずねて逢いし天の川
泳ぎ出す亀の先には天の川
天の川仰ぐ夢見の膝枕
方舟に乗るふたりかな天の川
焼肉の煙吸い込む天の川
風鈴のはるか彼方に天の川
いつだってその他大勢天の川
銀漢や夜汽車は北へまつすぐに
踏みしめて富士の頭上に天の川
御巣鷹や稜線はるか天の川
われの星きっとどこかに天の川
天の川豊かにありし十五日
汝が指の見えぬ銀河をなぞりけり