金曜俳句への投句一覧(12月末締切、兼題「湯たんぽ」)
2011年1月20日11:15PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です
選句結果と選評は『週刊金曜日』1月28日号に掲載します。
掲載が遅くなったことを申し訳なく思います。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【湯たんぽ】
湯たんぽや木戸鳴らす風去年の夢
湯たんぽと三毛猫並ぶ商店街
使わなくなった湯たんぽ母は捨てず
払暁の湯たんぽぬるき目覚めかな
一人寝の湯たんぽ胸の脇にあり
湯たんぽや真夜のラジオのピアノ曲
湯婆抜く病児の寝息たしかめて
湯たんぽに足寄せ合って黙る夜
押入れの湯たんぽ出すや寒の入り
落第の夢をまた見し湯婆探る
湯たんぽの口にあふるる朝日かな
湯たんぽに波浪警報聞く夜かな
湯たんぽや昭和に生きし母の逝く
湯たんぽの火傷の痕で母おもう
顔洗う湯たんぽの湯分け合ひて
湯たんぽの口より朝の始まれり
湯たんぽの歴史開拓記念館
湯たんぽに還れぬ海のありにけり
引っ越しの荷に湯たんぽの見つけたり
湯たんぽを知らない嫁がやって来た
腑に落ちぬ人と共寝や湯婆抱く
湯たんぽが無口だなんておかしいよ
湯たんぽをサンダーバードに運ばせて
全自動歩く湯たんぽ新発売
湯たんぽよお前はいいな白金カイロ
湯たんぽを猫は浮気と見るらしい
何はさて湯たんぽを抱き三国志
冷めるとはわかっていても湯たんぽと
レトロだねでも現実よ湯たんぽ
湯たんぽに湯注ぐ母の指の皹
老婆心たつぷり詰まる湯婆かな
湯たんぽや中勘助の銀の匙
湯婆やふひに木目の恐ろしき
人肌の湯たんぽ暮の宿にあり
湯たんぽに原始の海の波ひそか
ゆたんぽを二つ並べて湯を注ぐ
ゆたんぽの温もり遠き目覚めかな
湯たんぽが足から脇に越す寒さ
湯たんぽの重みがくれし安堵感
湯たんぽに母の温もり添えありぬ
湯たんぽの熱きをくるむ流し台
温もりは湯たんぽと猫ラジオ聞く
湯たんぽの呟きを聞く三畳間
湯たんぽの彼方より来る濤頭
湯婆と抱きまくらの間合ひかな
湯婆の彼方に犬の記憶かな
絶景や湯たんぽまでの身の丈も
湯たんぽの向かう岸なる夜の國
湯たんぽで足温める添い寝かな
湯たんぽを抱えて上がる子供部屋
手作りの袋がぬくし湯たんぽ
豆知識袋に並ぶ湯婆買ふ
湯たんぽや程よき距離を恋しても
猫にまたたび吾に湯婆と言ふべきか
潜入の湯婆に慣れし独りかな
湯婆に湯たぎる思ひをなつかしみ
湯婆やラジオにて聞く歌合戦
湯婆をくるみて今日の果てにけり
湯たんぽの復活はしゃぐわが孫ら