きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

金曜俳句への投句一覧(12月末締切、兼題「年忘(としわすれ)・忘年会」)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です

選句結果と選評は『週刊金曜日』1月28日号に掲載します。
掲載が遅くなったことを申し訳なく思います。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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年忘(としわすれ)・忘年会

三和土にも靴賑わひぬ年忘れ
年忘曇る眼鏡を笑ひ合ひ
楚々と立つひとりふたりや忘年会
銭湯の帰りジュースの年忘れ
年忘れコンサートと夫また不在
むつみ合うようかんと酒忘年会
部外者の零れ入り来る年忘
善人の如く座しをり年忘
団塊の人々離る年忘
湯たんぽのような話で年忘れ
隠し芸見る人を見て年忘れ
窓の灯の膨らんでゐる年忘れ
年忘れ湖畔の宿に闇迫り
めかしゆくほどではあらず年忘
年忘抽斗奥の置き薬
腰痛は持ち越しとなり年忘れ
反省は反省すぐに年忘
忘年会傘寿のマジシャン鳩を出す
年忘れ働きものの母を持ち
花街は迷宮に居て年忘
顔ぶれの遅れし者どち年忘れ
年忘一組半の焼とり屋
遅参せしものに優しき年忘
それとなく病を聞けり年忘
欠席と直し返信年忘れ
あれもこれも刺さる言の葉年わすれ
忘年会手品は酒の肴なり
それぞれの帰り路あり年忘
それぞれの席それらしく年忘れ
年忘して寄り道の花屋かな
年忘れ稚内発最終便
年忘老うつちやりてつつがなし
車座を結んで開く年忘
浄土より一陣の風年わすれ
年忘いくさのあとはこのあたり
アンチョビのピザで締めたる年忘れ
猛暑日も寒さも忘れ忘年会
年忘れ舌を巻いたり鳴らしたり
辛きこと拭い去りたし年忘れ
新顔ありノンアルコール忘年会
国益を唱へる声や年忘
忘年会果てて月面近づけり
メデゥサの意のままになる年忘れ
いつとなく二人欠けたる年忘
海山の幸いつぱいの年忘
年忘明日のことから忘らるる
不景気もノルマも棚へ忘年会
手品師の助手に喝采忘年会
猛暑日が過ぎたと思えば忘年会
大目玉年忘れだね苦笑い
年忘れ澄んだ空気に富士見ゆる
厳寒も星降る夜の年忘れ