金曜俳句への投句一覧(4月22日号掲載=3月末締切、兼題「雁風呂」)
2011年5月2日6:39PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です
選句結果と選評は『週刊金曜日』4月22日号に掲載しました。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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「週刊金曜日」で検索してください。配送料は無料です。
【雁風呂】
雁風呂や鳥インフルのニュースあり
雁風呂や闇のそこひにある湿り
今もなお雁風呂もいる昼下がり
雁風呂や太棹ひびく曇り空
雁風呂に今の私を映す今
今は沖ひたすら静か雁供養
雁風呂やリュックザックに本詰めて
雁風呂のように焚けるはずもなく
雁風呂や懐かしき人逝きし人
うすき俺雁風呂の朝しとやかに
なゐの夜の雁風呂しかと熱うせよ
雁風呂の煙はありや八戸に
雁風呂や姿の見えぬこともある
雁風呂のことが一行夜のメール
雁風呂の湯の溢れさう溢れざる
雁供養どんな言葉もむなしくて
雁供養筋雲流るしじまかな
雁風呂の夜や故郷をうち捨てて
雁風呂や板戸隔てて津軽の海
雁風呂や友の消息人伝に
なにはともあれ雁風呂を召しませと
雁供養眼下の海に船出せず
雁風呂の濁りになゐの忍びよる
湯気おちて雁風呂の夜の榾あかり
雁風呂と父に言はるる小樽かな
俎板のくぼみに日差し雁供養
君もまた休みつつ行け雁供養
雁風呂や逢いたい人に手紙書く
雁風呂や死者を数ふるひとの声
温かき心に触れし雁供養
雁風呂の首筋に風やまざりき
雁風呂や漂流木の夥し
雁風呂や山駆けるひとぞくぞくと
雁風呂や亡骸もなく家もなく
暮れてなほ灯らぬ港雁供養
雁風呂や愛の重さに湯の重さ
雁風呂や制御しがたき機械群
雁風呂や恥を忍んで話します
放心の身を湯につけて雁供養
雁風呂や今宵潮目の変わりける
目の前にしのんできたり雁風呂へ
雁風呂の健やかな今慎ましく
海吠えて雁風呂の夜を脅かす
雁風呂や雲間の日差し突堤に
さもあらばあれ雁風呂のぬくさかな
「金曜俳句」では雑詠の募集はしておりませんが、ここにあわせて掲載します。
【その他】
あんみつに蜜たっぷりと花疲れ
アルプスにブリザード見ゆ青き空
夜桜に見え隠れする善と悪
好奇心遠巻きにして恋の猫
名残り雪またねと傘を高く上げ
花冷えや金平糖の起伏噛む
春の月我が影照らす余震かな
乳を急き媚びる鳴き声子馬かな
ブイのごと並んでゆれる五羽の鴨
菜の花や数珠を弄る忌明けかな