きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

金曜俳句への投句一覧(7月22日号掲載=6月末締切、兼題「茄子の花」)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です

選句結果と選評は『週刊金曜日』7月22日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【茄子(なす)の花】
色をすべて実に注ぎ切る茄子の花
讃岐路やひと雨ありし茄子の花
雨上がり涼しげに咲く茄子の花
東雲は静謐の色茄子の花
茄子の花眠り足らざる鬱の朝
太りたる実の傍らに茄子の花
茄子の花ランナーひとり落伍せり
切り返す手のごつさかな茄子の花
あれなあに児の指さす方に茄子の花
雨やんで紫ひかる茄子の花
さきはひはうすくともよし茄子の花
胡瓜は黄茄子は紫わが花園
尖り続けどこまでひとり茄子の花
目の玉の歪みに映る茄子の花
憶い出づ親父の小言茄子の花
つい伏目がちになりたり茄子の花
茄子の花越しに揺れたる軍手かな
手洗いのズボンの裾や茄子の花
花茄子をまだ浮かべいる暮色かな
決断を迫りて茄子の花盛り
モノクロの母の帯締め茄子の花
茄子の花表札滲む文士邸
繕いをじっと眺めて茄子の花
峨眉山にそそと風吹く茄子の花
紫紺へと意地張りとほす茄子の花
白い雲山並はるか茄子の花
茄子の花親の小言の懐かしさ
茄子の花受胎告知に俯きて
段畑は空の階段茄子の花
茄子の花闊歩していく付け睫
アフガンへ帰れば兵士茄子の花
うつむいて寂しき顔や茄子の花
浅漬けや田楽恋し茄子の花
日常はこんなに大事茄子の花
茄子の花葉っぱにのせる小さき手
海に向く落人の塚茄子の花
糠雨の降る軒先に茄子の花
風景の中に塔立つ茄子の花
濡れ縁に光かそけし茄子の花
茄子の花今朝ジョギングの標とす
茄子の花若紫の縁かな
茄子の花地上に降りし星のごと
茄子の花タクラマカン越す求法僧
実のように俯いて咲く茄子の花
寺内のひっそり茄子の花盛ん
幾畝も並びて茄子の花ざかり
茄子の花その奥に実の二つ三つ
市街地の家庭菜園茄子の花
茄子の花居座る農婦に核種降る
旧故逝きかの妹よ茄子の花
少年は涙を溜めて茄子の花
ごみ溜に鶴とはまこと茄子の花
那覇の砂喰らひて開く茄子の花(回文)
蜜蜂がもぐりおりし茄子の花
傘触れて人と行き交う茄子の花
この先は鼻になります茄子の花
茄子の花停電のまちを通り雨
茄子の花咲いて子どもは三人目
貴婦人に今昔ありぬ茄子の花
梅雨空に茄子紫の花灯る
草履の緒締めて半纏茄子の花
蚊トンボの現はれ消ゆる茄子の花
露おける葉うらさやかに茄子の花
議員らは角突き合わせ茄子の花
妹の和装に見とれ茄子の花
わが色に染めむと競ふ茄子の花
茄子の花触るれば露のこぼれけり
校正は寡黙を守り茄子の花