きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

金曜俳句への投句一覧(9月23日号掲載=8月末締切、兼題「野分」)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です

選句結果と選評は『週刊金曜日』9月23日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【野分】
プリンでも作っておこう野分前
庭の土掘り起こす哉野分あと
プリンでも作ってみよう野分かな
木の葉舟孤島へいざなふ野分かな
野分過ぎ源氏繙く灯のうすく
去年より少し早目の野分かな
被災地を残さず襲う野分かな
野分あと真水のような空のこる
野分立ち吉備路の鬼の暴れ舞
原発の建屋眠れぬ野分かな
空青くバケツ転がる野分かな
何もかも海から来たり野分かな
野分だつ瀬戸の大橋たわめさせ
肩寄せる野分の道は頼もしく
父逝きし後の野分の旦かな
野分前死魚携へてゐる家路
空の青野分が僕にくれたもの
野分来る吊るさるるもの無き軒に
しゃんとして野分の声を聞きにけり
しずしずと見せているのは野分かな
電磁波と野分いづれも浅黄色
どうと来てひうひうと去る野分かな
ブルートレイン野分の過ぎし朝の窓
野分終えいつもの暮らし始まりぬ
薄野に幾筋の道野分あと
背中で押す野分の道の遅々として
野の草の叢の傾く野分跡
松田直樹颯爽と行く野分中
一燈に遙かに高く野分雲
今どきの野分次々新手くる
野分吹く真田の出城ありし丘
いつまでもいることがある野分かな
野分来て終業式を吹き飛ばす
デンとすえいつもの儘に野分する
お地蔵の団子飛ばすや野分かな
燕帰る空き巣に余韻野分かな
いつになく儘でいたいとない野分
銭湯へ車で行くや野分の夜
野分ってこの頃育ち過ぎじゃない
宴の後皿割れる音夕野分
野分来るらし雀らの声消えて
猛猛しき野分捕えり予報円
雨風を大地に残し野分晴れ
いつまでも野分というや日が暮れて
咆哮の無きライオンや夜の野分
月星もみがかれゐたる野分あと
補陀落や野分打ち寄す枯木灘
虫たちの身をひそめたる野分かな
文悲し泣いてみようか野分吹く
使はれぬ白のクレヨン野分かな
ホバリング草原丸く野分する
野分立ち雨荒々し窓打ちぬ
野分して我が逆境を奪わんと
野分来る山に四肢持つ者等ゐて
ゆっくりと北へ過ぎ行く野分かな
鍵盤に指遊ばせる野分かな
楠公の城へ野分の吹き上ぐる
父母の墓碑銘浮かぶ野分跡
校庭に万国旗散る野分あと
野分過ぎ夕日にまみれ比翼塚
雨戸打つ音けたたまし野分かな
潦気化つづけをり野分晴
新宿に数多の墓標野分雲
野分してプール木の葉の舟溜り
京風の焼きそばソース野分かな
野分去りもの踏まぬよに走る朝
ジーンズも踊ってしまう野分かな
いつになく猫の擦り寄る野分の夜
着せ更へて塗り替へてゆく野分かな
野分晴鴉ぬかるむ水を浴む
をちこちの灯はまだ消えず野分の夜
根こそぎのデータ削除や野分ゆく
野分雲引き離されてシベリアへ
野分来るテレビは青さ増しながら
野分野に波の形を残しけり
野分とは心の隙間抜けるもの
桐の葉が天に舞い行く野分かな
晴れ着着てかたく褄とる野分かな