金曜俳句への投句一覧(12月23日号掲載=11月末締切、兼題「初氷〈はつごおり〉」)
2011年12月16日4:45PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です
選句結果と選評は『週刊金曜日』12月23日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【初氷】
年々に遅れがちなる初氷
出ない水パイプの中の初氷
登校児みな踏みて行く初氷
初氷空が毀れてゆく途中
初氷白き柘原広がりぬ
天上は神の隠れ処初氷
初霜やまさかの連(つ)れは初氷
初氷鯉の朱色の沈みをり
里は雨山は窪地に初氷
雑巾を引けばまあるき初氷
初氷池の目高に声をかけ
悔恨は地に留まりぬ初氷
初雪が初氷に変わる夕間暮
初氷目覚め早きはむら雀
初氷この世まぶしく生きてきし
初氷またぐもう一回またぐ
静かさと光の中の初氷
庭奥の竹刀一本初氷
君嫁して幾歳を経つ初氷
柿の葉もとじ込めいたり初氷
捨てられし田に低き日や初氷
初氷靴下の穴繕いぬ
初氷越えるうっすら脚ひらき
初氷北国の母気がかりに
儚げに朝日に光る初氷
空つぽの犬小屋に生れ初氷
看病の月日を計る初氷
就活の子を送りだす初氷
まさをなる空を泛べて初氷
路地裏に光るものあり初氷
初氷裏面に奈落または愛
あをぞらのひとひらのごと初氷
そつとなで遅かつたねと初氷
けんけんぱしながら割った初氷
院長の回診の日や初氷
登校のこゑよく滑る初氷
初氷縁の果てなる手水かな
初氷関東平野ゆさぶりぬ
ぬかるみをあさく踏みこむ初氷
ナルシスの覗く泉に初氷
初氷落葉封じ張らんとす
藤十郎の恋閉ぢてより初氷
アイゼンをぐいと効かせる初氷
初氷溶け時計にし眺めたい
初氷かたちなきもの愛しけり
初氷三面鏡に目が幾つ
初氷こえるとき手を放さない
朝日にて湖面まばゆい初氷
残菊の姿映せる初氷
踏もうかな踏むのは惜しい初氷
初氷かたちのわかるもの抱く
初氷しみじみ観察時間ない
天に星地に初氷ちりばめて
朝帰り素手あててみる初氷
初氷掬して覗く青い空
やはらかき日差しに消ゆる初氷
初氷紅き一葉凍てつけり
旅衣より来る阿蘇の初氷
はがされて子より授与さる初氷
君送る朝駅舎の初氷
初氷早く起きたと錯覚だ
お日様の舌あたたかし初氷
初氷とけゆく春を思いみる
初氷手水鉢に冬来たり
当歳の仔犬とまどう初氷
ステッキで割つてゆくなり初氷
何となく心の焦り初氷