きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

金曜俳句への投句一覧(12月23日号掲載=11月末締切、兼題「毛布」)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です

選句結果と選評は『週刊金曜日』12月23日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【毛布】
完走の主将をくるむ毛布かな
片側のいつも丸まる毛布かな
いつまでも毛布の中の秘密基地
十歳の僕に戻れる毛布かな
家追われ仮屋の毛布あたらしき
包帯のやうに毛布にくるまれし
考える毛布節電年になり
毛布とは夢の奈落の案内人
毛布掛け至福の時と言う夫
朝までに何とか毛布と別れねば
犬ころといっしょに包まれたい毛布
毛布もち後追いするや愛娘
帰りをり毛布ちひさく部屋の隅
毛布四枚広げてみんな笑ひけり
冬日差す毛布に顔を埋めたり
毛布垂れて床の朝日を探りけり
もう外に一歩も出ない毛布かな
伏して寝る毛布の中の青景色
なあ毛布ボロボロな俺抱きしめて
被れ毛布被て醒めてゐる異境かな
毛布借り着陸までのひと眠り
どこまでが私どこまでが毛布
乳含む子の背にまわす厚毛布
境界線見つけてしまう毛布の中
陽の匂い毛布にくるまり午睡かな
毛布干す離れの主はみまかれり
膝を曲げ首まで毛布かき寄せる
毛布など買い揃えれば間遠なり
毛布にて胎内回帰丸くなり
毛布とは私の帰って行くところ
毛布からはみ出してゆく深海魚
瓦礫から毛布はみ出し離陸せり
隣から毛布運ばれきて眠気
初氷毛布引き寄せ仮住まい
ベランダに干し忘れたる毛布かな
寝ね難し異境の宿の毛布かな
転た寝にそっと毛布を掛けられぬ
星しずか毛布のような人といて
毛布かぶり自分の中の小宇宙
毛布より子らの好むは羽根蒲団
眠りけりいつもどこかが毛布出て
八十路過ぎし母の寝言や古毛布
よき夢をと毛布にたのむ今宵かな
節電やより暖かく敷き毛布
毛布買ふ未来が燃えてしまふなら
一枚のベビー毛布に寝る双子
毛布より長生きせよと猫に告ぐ
老女(ばば)干(ほ)すは孫を包んだ古毛布
毛布から抜け出るとそこは朝だった
この国の億の毛布を思ふべし
毛布欲し湖に潜ってゐるやうな
うれしさもさみしさも抱く毛布かな
ふかぶかと毛布に沈む「1Q84」
外界と内界分かつ毛布かな
陽の匂う帰郷の夜の古毛布
そののちの毛布にけだもののにほひ
余裕だす毛布の温もりそっと動く