金曜俳句への投句一覧(1月27日号掲載=12月末締切、兼題「初電話」)
2012年1月13日4:56PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です
選句結果と選評は『週刊金曜日』1月27日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【初電話】
老いてまだ温故知新や初電話
ひとめぐりしてまた戻る初電話
着信の音色変へるや初電話
初電話折り目正しき声を聞く
待つよりも待たせるものよ初電話
おれおれも気がとがめるや初電話
よろこんで貰ふ一つに初電話
初電話猫の帰宅を告げてをり
初電話寝ぼけ眼で受話器とり
初電話せよと兄からメールかな
旅さきの妻の華やぎ初電話
青々と着信記録初電話
ぎりぎりか初電話になっていた
残さずにごはん食べたと初電話
鼻めがね少しずらして初電話
インテリはいまは死語だよ初電話
ゼンマイの腕時計して初電話
老婆(ばば)が伏すやはり届かぬ初電話
初電話雑煮の匂い伝わって
孫からの糸より流る初電話
初電話画面に笑顔溢れけり
確かめ合う振動のみの初電話
Hallow it’s ババちゃんよと初電話
初電話父は代わってくれません
一年の不義理を詫びて初電話
病院の空の青さを初電話
初電話枕の下に響きけり
初電話家族の匂い伝わって
初電話仕事の話してしまう
あかあかと小部屋灯して初電話
恋告げに帰り来し子に初電話
朝風呂の髪濡れたまま初電話
初電話なお街騒をくぐり行く
初電話マンボウは何かの途中
初電話タイムトンネルくぐり抜け
食卓を鷹揚に立つ初電話
鐘の音も送られて来し初電話
遠き島息子達者の初電話
初電話掛ける母亡き故郷や
時差の子の他人行儀の初電話
悪友のどちらともなく初電話
太平洋一気に越える初電話
初電話うなづく背の丸くなり
雪深し下山するなり初電話
初電話用の無いのが用事です
初電話歩きながらに替わられて
添え書きが気になり掛ける初電話
話したき人がでてこぬ初電話
初電話八重洲に夜行バスを待つ
善き人の電波悪しや初電話
初電話話引きとめ少し悔ひ
子は一人遠く嫁ぎし初電話
旧き友声聞き祝う初電話
間違いと言い出せずおる初電話
除夜の鐘遥かに鳴りて初電話
初電話そっくりな声の息子さん
初電話たまには口でしゃべろうか
いまだ年明けぬ国から初電話
江戸前の粋を伝える初電話
初電話受話器しつかり握りをり
プラレール催促さるる初電話
卑語隠語御愛想小言初電話
おもむろに息深く吸ひ初電話
とにかくに鳴つてくれよと初電話
初電話後ろの声の幸せさ
初電話今何してるウン何も
うんうんと笑窪くつきり初電話
母国とは母のいる国初電話
もしもしのあとにはなやぐ初電話