きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「水貝(みずがい)」 金曜俳句への投句一覧(7月27日号掲載=6月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です

選句結果と選評は『週刊金曜日』7月27日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。配送料は無料です。

【水貝(みずがい)】
水貝や浜の女将の浜言葉
水貝の歯応へやよし壱岐の宿
水貝や海見てしがな妻倶して
水貝や定型こんなばらばらに
水貝や白より白きひとの所作
水貝や美味の秘訣をまず尋ね
水貝の水に揺れたる瀬戸の灯よ
友来たり酒と水貝盆に載せ
水貝や塩とほざくる人も食ぶ
水貝を噛めば黒潮迸る
水鮑元の形なく浮き沈み
水貝に前歯使はぬやうにして
水貝や運河の街の古座敷
球形の器に泳ぐ水貝よ
酔眼に水貝の鉢結露する
水貝や一味違う浜の宿
水貝やナポリの店のカルパッチョ
仮住まひ水貝忘る磯の香や
水貝とコラボレーション蝦夷山葵
水貝やまだ確かなり視聴覚
割り箸の見事に割るる水貝よ
水貝や明日は嵐と言ふ夜に
水貝や透明色に着色せよ
どうしてもランチを拒絶水貝と
水貝や梅を砕きし歯なれども
水貝や冷ゆる形の盛りのよさ
水鮑氷に海をもどしつつ
涼やかにわが歳を当て水貝は
水貝の語る昔の海のこと
包丁の波紋水貝すべりゆく
薄まらぬ夜に水貝の澄みきれり
水貝の一箸ごとに波を聴く
水貝や箍の緩みし磯の桶
水貝や酒一合に雨の音
水貝にお子様サイズなかりけり
水貝や潮騒友に夕げかな
水貝やかつての陸地海原に
水貝に青もみじ添え涼を呼び
水貝や雪駄の鼻緒弛びをり
水貝や日本人に生まれこし
いち早く水貝に手を伸ばしけり
こりこりと水貝に訊く海の中
インプラント今年水貝味わいぬ
水貝や国境のなく海続く
水貝や土間に古びし考の靴
水貝や海女の項の貼り薬
水貝や行きは飛行機帰路は船
水貝や漁を迎える犬と子と
衰へし歯に水貝を含みけり
目の保養水貝だけを箸にしろ
水貝を知らぬ男も粋のうち
水貝に海のほてりをさますかな
水貝をつかみそこねて身八口
水貝や帰ってからの旅自慢
水貝や素潜り立入禁止札
水貝に繰言やみぬ同窓会
水貝や湾の奥なる志摩の宿
水貝を睨んで物言う見合いかな
水貝に誘ひだされし女かな
水貝や海と陸とが呼応せり
水貝や鴨居に頭ぶつけまじ
水貝や郷里の醤油恋しき夜
水貝や帰らぬ人のお気に入り
水貝を貝と思ひし唐変木
水貝や磯の香ぞする杉の箸
水貝に触るゝ少女の発熱す
水貝や氷に紛う涼やかさ
水貝や他家には他家の皿茶碗
水貝にむかしの伊豆をかたりはじめ
水貝の箸の逸れたる潜りかな
ビル・エバンス流るる店の水貝よ
水貝をつかみ損ねて大僧正
水貝や山中の宿塩きかす
水貝の咽もとあたり万太郎忌
天体に坐し水貝を食ふ女

【不明】
別嬪にそつと潜りしプールかな