兼題「サンドレス」 金曜俳句への投句一覧(8月31日号掲載=7月末締切)
2012年8月8日7:32PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です
選句結果と選評は『週刊金曜日』8月31日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【サンドレス】
暑くとも老女に縁なくサンドレス
我が庭のごと森を行くサンドレス
退院を待つやベッドのサンドレス
白服に負けじと雲の白さかな
サンドレスBCGの痕のかすか
ねぎらひの言葉一つや麻の服
茶色めきサンドレスだけ脱ぎ捨てろ
サンドレスゴーギャンの絵の色にせり
サンドレス肌の剥け方ごらうじろ
やわらかく陽射揺らいでサンドレス
ぞんざいに過ごしたものよ夏服や
サンドレス怕くて他人のふりをする
追い越して振り返って見るサンドレス
風抜けるサマードレスや山に住む
サンドレス従姉妹姉妹をおそろひに
サンドレス人の視線を透かしけり
湿原に風の梳きたるあつぱつぱ
サンドレス凧のかたちに干してあり
サンドレス子供と大人の中に居る
夏服やおのが背筋のしづかなり
サンドレス潮の香連れてコテージへ
高原に夏來るらしサンドレス
変ねェと夫いふ妻のサンドレス
新郎のアロハ新婦のサンドレス
奔放な女の背中サンドレス
顛末は鎖骨に尋ねサンドレス
サンドレス着けて闇夜へ消えてゆく
サンドレス背中の黒子倍々に
大輪の花柄貰ふサンドレス
着ぐるみに見詰められたるサンドレス
繰り返す流行ぴたりサンドレス
見方に差娘のサンドレス父と母
職人の手業ひそやかサンドレス
マネキンの胸平らかにサンドレス
くっきりと且つ曖昧やサンドレス
サンドレスあらぬ噂の華やかさ
陽の中へいで行く娘サンドレス
サンドレス背に黒子の二つ見ゆ
海の砂床へこぼるるサンドレス
要りもせぬ物もろて来るあつぱつぱ
サンドレス若やぐ母のかひなかな
海色の切手を買ひにサンドレス
肩紐を結ぶ指先サンドレス
サンドレス誰かれとなく褒めらるる
白服や荷風気取りで浅草へ
肌色が二色以上やサンドレス
サンドレスふはり丸めて帰りけり
麻服や長老と声かけられて
サンドレスぬつと出でたる腕長し
海外で挙式言ふ子やサンドレス
サンドレス去りゆく夏を惜しみけり
もうパンツ見えてゐるサンドレスの子
ゆるるごと香る花柄サンドレス
竹槍を握りし人のサンドレス
サンドレス肩を出そうか隠そうか
いま生れし高原の風サンドレス
サンドレス「中七女」似合ひたり
せまりくる胸元眩しサンドレス
童心は生傷絶えぬ半ズボン
肩紐のまだ長過ぎるサンドレス
なで肩に和毛ふるへてサンドレス
サンドレス炭鉱節の輪の中に
あっぱっぱ首にタオルがきまりかな
黒髪で着こなしをりぬサンドレス
安売りの店に列なすあつぱつぱ
肘伸びて桂馬打ち込むサンドレス
絵本読む用意の母のサンドレス
サンドレス島のかけらの白きこと
童女はじらい気にすサンドレス
サンドレスいつかの夢のやうに垂る
飽きた曲また好きになるサンドレス
夭逝の忌めぐり來てサンドレス
サンドレスはづかしさうなお辞儀かな
サンドレスあふるる魅力熟女かな
サンドレス「うつくしすぎる」このわたし
サンドレス母娘の英語会話かな
空の蒼映る店先サンドレス
それとなき夜風に吹かるサンドレス
旧制の恩師のアッパッパ姿
サンドレス買へば雨降りばかりなり
夏服の吸ひこまれゆく茶房かな
あっぱっぱ母はこんなに肥へてたか