きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「水飯」 金曜俳句への投句一覧(8月31日号掲載=7月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です

選句結果と選評は『週刊金曜日』8月31日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。配送料は無料です。

【水飯(すいはん)】
水飯の甘さに噎ぶ独りかな
季語で知り昼餉水飯食いにけり
水飯をほどよきほどに食らひけり
水飯や本家に残る釣瓶井戸
水飯や昼のメロドラマの佳境
水飯にふさはしきかな村の水
水飯やレンズ拭ひてなほ曇り
漬物を刻んで京の洗ひ飯
水飯やガラスの器漂へり
水飯を掬へばしゃもじよりこぼる
硬きまま胃に水飯の流れたる
白昼の水飯にある山河かな
水飯や計量カップ割れたる日
水飯や鴉が一つ屋根歩く
洗ひ飯米の輪郭くつきりと
湯気の立つおひつ丸ごと水漬へ
水飯や荘に引きたる山の水
水飯の工事現場のこぼれ水
水飯や振掛けひとつ卓袱台に
リフォームの途中水飯喰うてをり
馳走より喜ぶ夜の洗飯
三世代水飯の具のバラエティー
水飯やさらさら老ゆる三角州
汗の飯みどりのものを添えにけり
水飯や扇型なる朝の雲
水飯やわずかに焦げの香りあり
スプーンで水飯食みし介護3
よく云へば謹厳実直飯饐ゆる
洗いめし庭の胡瓜が添えられる
水飯で試すミネラルウォーター
水飯や父出張の日の夕べ
水飯や妻は娘とグルメ旅
水飯の腹マチュピチュへと響きけり
贅沢に名水つかひ洗飯
水飯や手抜きの昼餉妻の留守
息継ぎをして水飯を啜りけり
食卓に赤子寝かせて洗ひ飯
水飯や食の細きに老いを知る
水飯の作法は知らず昼を越す
水飯を掻つ込み戻るMacかな
顳顬の髪掻き上げて洗ひ飯
ブランチの水飯私は透明に
水飯やまだまだ続く山仕事
水飯や勝手に生きた祖母の影
水飯や疲れて妻の臥す夕べ
水飯や逝きしひとのみ憶はるる
氷さへ入れて水飯美味くする
水飯の箸に生まるる暮色かな
茶漬だけ私の水飯固定化し
ひや飯をおまへださいと洗い飯
水飯をかき込む十五の太い眉
水飯は色よき塗りの輪島にて
水飯や大事と言ふは冷やすこと
丑三つに五位のかきこむ洗い飯
水飯といふ明るさの座敷かな
水飯は寂しき庭に撒かれけり
水飯に減増の梅昼餉かな
水飯をかきこむ五位の咽仏
鎌研ぎて水飯啜る青春よ
水飯を三杯食つてなむあみだ
肝をつき窘められて洗ひ飯
水飯にカナダのペットボトルかな
水飯や日の落ち切らぬ夕の膳
水飯の米粒ながしにごぼれいて
水飯やツァラトゥストラ拾ひ読む
水飯や暗き台所に風通る
水飯の食べ方に知る戦中派
水飯をむしろ腹減る為に食べ
うまき水得て格別の洗飯
水飯のにおいの先に祖母ありて
水飯や箸の長さを気に掛けて
遅く起き水飯だけが腹満たす
くさめして水飯食し終わりけり
水飯にゲランドの塩など振りぬ
水飯やラジオ体操始まれり
水飯に考の白磁のゆたかなり
水飯や泣き疲れとも少し似て
水飯やグルメ旅行の妻の留守

【その他】
振り向いてわれ一人なり雲の峰
三伏も一服したか通り雨
猛暑をば迎え撃ってや土用灸
空蝉のつかみ残して朝木立
身を焦がす定めの闇の誘蛾灯