きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「障子洗ふ(障子貼る)」 金曜俳句への投句一覧(10月26日号掲載=9月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です

選句結果と選評は『週刊金曜日』10月26日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【障子洗ふ(障子貼る)】
こり性とあき性まじる障子貼
大晦(おおつごもり)川に総出の障子洗ひ
子の立ちて手の届くまで障子貼る
Tシャツをきつぱり替えて障子貼る
黒潮の匂ふ鼻先障子貼る
障子洗ふ此の世といふ名の仮住まひ
父母がそこに居るやう障子貼る
遥かなる山脈澄みて障子貼る
水鳥のなかなか飛ばぬ障子貼る
障子貼さて眼耳鼻舌身意(ぜつしんに)
指で突く障子の穴を洗ふのか
ひと昔くず屋の縁で障子貼る
破る楽障子洗ふつけ払い
障子貼るお隣さんも障子貼る
試験受け心の障子も貼り替る
貼り替へる障子の桟や凝りし技
カーテンの膨らむ風に障子貼る
嘘をつくやうに貼りたる障子かな
耳朶に風を感じて障子貼る
奥の間の妻のくりごと障子貼る
影写し障子洗ふ子が一人
障子貼る京間の敷居ささくれて
厚塗は閉経のあと障子洗ふ
障子洗ふ塵に古きと新しき
三連休家族の留守に障子張る
障子貼る和室は隅の一間だけ
障子張り三歳の孫眺めをり
障子貼る母といちいち目が合うて
清め塩障子貼る日身に掛ける
覗き穴ふやして洗ふ障子かな
障子貼る妻にしかられ青畳
障子貼る手に吹きかかる吾子の息
法然も親鸞も来よ障子貼る
障子貼るたちまち翳る浅間山
障子貼る明治の家の真新し
祖父残す洋書の書斎障子貼る
存分に破かせ障子洗ひけり
障子貼る朝な夕なの老二人
障子貼る出番は破る時だって
葉を洩るる陽を背に障子洗ひをり
浴室に洗ふ障子を覗かるる
ずぶぬれて犬ころが来る障子洗
障子貼終えて明るき苫家かな
破れなば障子を貼れり当たり前
障子貼る明日婚礼の旧家かな
障子洗ほどよきほどに流しけり
障子洗ふ顔は洗っても直せない
剃刀の切れよく障子貼り了へぬ
一つまた齢ふへをり障子貼る
駒下駄の近づく音や障子貼る
障子貼る丸き窓には丸く貼る
障子洗ふ川面にうかぶ去年の滓
知らぬ間に路地に夕日や障子貼る
障子洗ふ日のあるうちに終へるなり
快感の穴開く障子洗ひけり
父と子に障子を洗ふ浅瀬あり
谷水に障子担ぎて洗ひたる
この破れはあの時のこと障子貼る
富士仰ぐ庭四坪や障子貼り
障子貼り母と私は入れ替る
軍用機頭上に高く障子貼る
障子貼るあいつのことはほつておく
障子貼り一家総出の日々いずこ
円周率十まで数へ障子貼る
十戸なき山の門徒や障子貼る
孫たちの帰った後に障子貼る
口に貼れ障子貼る日よく言われ
障子洗ふ脛にあたるやはやうぐひ
障子貼り猫長長と日溜りに
祭日を障子貼にて終りけり
木の香少し糊の香たっぷり障子貼る
障子貼り下から上と教へつつ
南から障子貼り変えよと来たり
障子貼る不意の一発子のこぶし
貼り変へし障子の白さ児もひかへ
日焼けした切り貼り障子洗ひおり
孫ありて障子洗ふ日遠ざかる
流れゆく時の疾さや障子貼る
野菜畑障子洗ふ人見えず
障子洗ふ生涯父の声知らず
障子貼り了へて明るき四畳半
破られた約束はもう障子貼る
貼り終えし障子の光やわらかき
障子洗ふ端に嘗ての妻の文字
障子洗ふ井戸水温く風さやか
障子貼るおかみの項に髪解れ
少年の洗ふ障子を持て余し
障子貼る書斎はただの納戸かな
障子貼る姿なつかし割烹着
小川にて障子洗ふや親子連れ