きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「桐一葉」 金曜俳句への投句一覧(10月26日号掲載=9月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です

選句結果と選評は『週刊金曜日』10月26日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【桐一葉】
中天の風くねらせて一葉落つ
桐一葉人の命を預かりし
桐一葉反物のまま旧めけり
落ち際の存在感や桐一葉
帰郷したその日この目に桐一葉
深き森時のとまるや一葉かな
桐一葉散って暴徒を解き放つ
豊臣の没落前の一葉かな
捨てるには勿体なげな桐一葉
微かな音立てて転びぬ桐一葉
桐一葉石の仏を斜交ひに
桐一葉落ちて見つかるかくれんぼ
片桐と言ふ名に回帰する一葉
参道もアスファルトなり桐一葉
桐一葉太閤さんは花札に
図書館に複写を待てば一葉落つ
桐一葉落ちて混同し易かり
桐一葉なかなか来ない御用聞き
塗り直す漆喰壁や桐一葉
桐一葉畑で見える明日の古都
箸二膳もらひて帰る一葉落つ
沖縄(しま)に住む故郷(くに)の記憶や桐一葉
岩魚ひく渓の閑さ一葉かな
桐一葉ゆつたり落ちて日短かく
晴れぬまま帰る道筋桐一葉
桐一葉幼き顔の行商婦
桐一葉なんのこつちや丸裸
たそかれのにほひ濃くなる桐一葉
青空にカサリと落とす桐一葉
桐一葉三点鐘をかぞへけり
新しき掃き目に措くや桐一葉
幾枚の葉より離れし一葉なり
無縁寺の晩鐘に落つ桐一葉
歴史的一葉と添い寝する覚悟
苔池にすぐに沈まぬ桐一葉
桐一葉落ちてと願う葉もみどり
桐一葉恋に後押しなど要らぬ
庫裏の屋根雨に洗われ桐一葉
落ちる筈無き一葉土まみれかな
桐一葉早くと誘う惜しむ人
桐一葉ふうわり落ちて動かざる
衛星の軌跡たぐれば桐一葉
桐一葉市制となりし村の上
桐一葉少し乾きて転がれり
桐一葉呼び込み太鼓間延びして
桐一葉拾ひて仰ぐ朝かな
生きて來し歳数へるや桐一葉
桐一葉落ちてほのかや夜の闇
骨密度さわらぬ神や桐一葉
桐一葉をとこ女と埋もれけり
鐘撞堂手摺の朽ちて一葉落つ
桐一葉濡髪堂は寂れけり
桐一葉踏みしだかるる厚さかな
峠道落つるをきそう枯葉かな
桐一葉風のあはひに落ちにけり
桐一葉日差しの中を栗鼠走る
陽だまりに桐一葉落ちまた一葉
桐一葉祭りのあとの通学路
桐一葉よべの雨粒二つ三つ
桐一葉動くのみなる美術館
あの男どこか変なり桐一葉
てのひらに嘘ひとつある一葉かな
一葉踏みまた一葉踏む甃
桐一葉影を落として時を待つ
パンケーキほどよき色に桐一葉
桐一葉落ちて日脚が短かくて