きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「寒見舞、寒中見舞」 金曜俳句への投句一覧(1月25日号掲載=昨年12月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』1月25日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【寒見舞、寒中見舞】
生垣にぬつと顔出す寒見舞
我よりも若き校長寒見舞
寒見舞父は息災かと書きぬ
母亡くし喪中の友に寒見舞
続きには顔をみせよと寒見舞
あを海の前で降車す寒見舞
高杉の辞世読んだと寒見舞
寒見舞不意に霰に打たれけり
旅先にメールで届く寒見舞
ただいまは手元不如意や寒見舞
留学の遺児のパリから寒見舞
寒見舞受けし介護をしみじみと
老い先はどうのこうのと寒見舞
寒中のハガキ見舞やこれがいい
揚げ餅に異国の塩や寒見舞
寒見舞失語の君の声ききに
右肩の上りし癖字寒見舞
寒見舞言葉探しで汗をかき
スリッパを豪華に寒中見舞いかな
寒中の見舞の酒や酩酊す
寒見舞出歩く我を見習へと
級友も親亡くしたる寒見舞
逝く人のありあり留む寒見舞
初漁の風の寒中見舞かな
富士拝む町に移り来寒見舞
寒見舞横書きにして外つ国へ
言ひ逃れ綴るばかりの寒見舞
死ぬること忘れ今年も寒見舞
耳ざわり寒中見舞四季の外
東北の友の安否や寒見舞
富士ぐらい飲むと言い張る寒見舞
せつせつと葉書は白し寒見舞
自愛せよ師の一言の寒見舞
受話器置くあとの静かさ寒見舞
ヘルパーのぐるぐる回る寒見舞
つぶやきに寒中見舞つぶやきぬ
下手な字の我の寒中見舞かな
寒見舞の一声もらふ里帰り
白き箱恣意的なれば寒見舞い
秒針のゆるりと動き寒見舞
白き墓偶に見掛ける寒見舞い
懐かしき焚火霜焼寒見舞
陸海空こえて寒中見舞来る
筆跡の故人に似たる寒見舞
石巻の荒地を傷む寒見舞
びしびしと言葉斬り込む寒見舞
閉居して無沙汰を詫びる寒見舞
寒見舞鯛焼き冷めて増す甘さ
寒中の見舞や後期高齢者
団塊の同志の遺児の寒見舞
筆達者パソコンとなり寒見舞
細君の名前で届く寒見舞
反骨の背の丸みや寒見舞
まだ見たきものあるからと寒見舞
落選は己が不徳と寒見舞
寒見舞傘寿の姉に一句添へ
寒見舞服喪の喪の字誤れり
寒見舞出す人もなし大根煮る
田舎から文旦(ぼんたん)届く寒見舞
年末に死んだら出して寒見舞
励ましの心うれしき寒見舞
金銀の鶴折り重ね寒見舞
枕辺のうすくらがりや寒見舞
藁苞を両手に提げて寒見舞
藁苞をはみ出してゐる寒見舞
寒見舞帰路におほきな三角形
パソコンで手配終へたる寒見舞
寒見舞傘寿の姉へ古希我の
吾の先に歳ふる友へ寒見舞
雪の上に雪温かき寒見舞
充電が途切れぬ様に寒見舞い
身障を頭に入れての寒見舞
菓子箱に詰めし玉子や寒見舞
寒見舞胡座のままの翁かな
茹でたての蟹温かく寒見舞
一筋の流れを越ゆる寒見舞
静けきは友の妻の字寒見舞
寒見舞ポストに落し旅終へる
幾重にも言の葉つつみ寒見舞
氷点下続く町より寒見舞
寒見舞傘寿の姉のバースデー
そのうちが十年経てり寒見舞
軽口に替へる近況寒見舞
寒見舞美しと口にす今朝の富士
御母堂の逝去知るや寒見舞
シャープペンシルの残数寒見舞い
印刷の文字を連ねる寒見舞
横丁の風につまづく寒見舞
生前の口癖添えて寒見舞
ぬるま湯に皿を沈めて寒見舞
ハワイよりフラの絵葉書寒見舞
寒見舞グアム旅行の話など
お待たせの昼酒少し寒見舞
棚牡丹をありがとうとの寒見舞