きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「春浅し」 金曜俳句への投句一覧(2月22日号掲載=1月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2月22日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

(当季雑詠は募集しておりませんが、ここにまとめて掲載します)

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【春浅し】
春浅しマスク外せぬ受験生
春浅し登校しない子がひとり
春浅し商家の塀の高きこと
娘等のちぎれ行く声春浅し
人よりも牛多き村春浅し
春浅し進路説明会に行く
一列に鴎並び居り春浅し
春浅しまだお休みと大根葉
春浅し人を拒みて風見鶏
春浅き伝言板に賢治の詩
春浅し道路工事の鎚の音
浅春の銭湯帰り里かへり
春浅しいまだ朽ちずや無人駅
春浅し御神輿担ぎ海の中
新らしきプランターあり春浅し
水仙の蕾も固く春浅し
春浅し王子像まだ貴石の目
弔ひとして浅春の数珠鳴らす
自らの足元見れば春浅し
春浅し影も見せずに昼行灯
パチンコにむらがるナマポ春浅し
春浅し巨大倉庫に窓疎ら
春浅し冬芽の木立不動なり
春浅し母屋に黒の寝台車
春浅し川にむかひて国技館
ぶどう棚去年のままにて春浅し
乗り換えは向かいのホーム春浅し
春浅し武甲嶺削る風の音
制服に猫の毛つけて春浅し
「やきいも」の声に振り向き春浅し
春浅し朧という名子の友に
春浅しアイヌ刺繍のアドレス帳
春浅し窓の外にある水光り
春浅し虎おとなしき檻の中
春浅き島を呑み込む雲の影
甥骨折したとの報せ春浅し
春浅き脂肪燃焼プログラム
山道に新任医師や春浅し
徹夜して浅き春とは沈思する
春浅し祇園白川石畳
春浅し丹念にみる外れ籤
春浅し植木鉢まだ眠ってる
春浅し入江に鴨の浮かびをり
春浅し廃業通知届き来ぬ
洟や上総の海の春浅し
春浅しトルソの如きふくら脛
春浅き魚見の山ゆ海遙か
伝言の付箋はピンク春浅し
春浅しふるさとの名をニュータウン
ひたひたと灸の効き目や春浅し
春浅しまだまだ眠い植木鉢
春浅し水やはらかく一葉浮く
春浅し油断大敵の首筋
音程をはづすハミング春浅し
本棚に凸凹の間春浅し
色探す春浅き日の滑走路
立ち読みの知合ゐも居て春浅し
春浅し練乳があとひと絞り
春浅し褌一つ海に入る
石段の数遊びして春浅し
春浅し畑で口説くストーブリーグ
春浅しモデルハウスの来客簿
回天の目算ずれて春浅し
春浅く若やぐ声の弾きでる
セシウムの市民農園春浅し
春浅し日にち薬の効き始む
ここ迄と本の天折る春浅し
賜りし古希の生命や春浅し
春浅しをんなの亀は夢現
錬成の神輿担ぐや春浅し
春浅し白き鯛焼買ひにけり
春浅し富士雪線は四合目
春浅き音はきだしてレジスター
春浅し氷に足上げ通学児
春浅しゆるく抜きをり二人連れ
春浅し新自由主義道のどか
政界のひずみは深し春浅し
春浅し傷口浅きうちに発つ
性毛は陽の輝き浅き春
浅春や疑問符の文来て嬉し
春浅し座らぬ椅子に花を置く
春浅し途切れ途切れの夢続く
春浅し我は夢から覚められぬ
春浅しいまだ眠りし白雪姫
震災の遠き故郷春浅し
春浅し町角に日の廻りたる
春浅し温泉駅の足湯かな
実質は六十の支持春浅し
晩年は読書三昧春浅し
しばらくは機上の虜春浅し
春浅し何植えたっけこの鉢は
春浅し楽爪を切る父のをり
春浅しうぐいすの子ら鳴き習う
春浅し袋麺には割れた屑
浅春のコットン一〇〇%かな
よく軋む尾骶骨なり春浅し
春浅し耳毛が一本伸びました
大鳥居大和三山春浅し
浅春やそろそろ嫁になろかいな
春浅し死刑囚の手記薄きかな
キャラメルの箱はからつぽ春浅し
花街の日曜に立ち浅き春
春浅し拍子木の音夜警哉
栃麺棒振るな春など未だ浅し
虚しさをふうと吹きたり春浅し
古里に母の色あり春浅し
春浅し水底にまた動くもの
春浅き砂より出でし骨白し
鉄塔の四肢に囲まれ春浅し
春浅し匙の小さき純喫茶
常念の雪の山脈春浅し
野を渡る風の寒さや春浅し
春浅し絵具はいつも好きな色
廃校に宿る木霊や春浅し
尻嗅いで犬の挨拶春浅し
春浅し薄き影ひく散歩かな
春浅しシャープペンシル芯替える
春浅し壊すビルより埃立つ
最北の駅の待ち合ひ春浅し
春浅き珈琲店の店主かな
春浅し歴史書に出ぬ住む城址
春浅しタイヤの鎖かちあひて
行き違ひ列車遅れて春浅し
春浅し木の間に入りぬ千切れ雲
キーボード旅程埋めるや春浅し
春浅し今日は違うよ雪化粧
春浅く妻うとましく関節炎
春浅し頭上を駆ける栗鼠の恋
我の意を春の浅さに溶け込ませ
春浅し南天食べる雀哉
春浅しマトリョーシカを解放す
原発の再稼動有り春浅し
春浅し目覚めの直後は尿意だけ
春浅し酒樽にのる杜氏札
春浅し震災口にせぬ友よ