きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「春の風邪」 金曜俳句への投句一覧(3月22日号掲載=2月末締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』3月22日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

(当季雑詠は募集しておりませんが、ここにまとめて掲載します。「春の風邪」と「春の風」を混同している句もあわせて掲載します)

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【春の風邪】
春の風邪時々さわる畳の目
マグカップ回るレンジや春の風邪
四股踏みて腰しなやかに春の風邪
二の並ぶ消費期限や春の風邪
頼りなき雲型定規春の風邪
たこ八郎本名清作春の風邪
春の風邪逃げられるなら逃げてくれ
春の風邪昼のしじまのありがたく
春の風邪そろそろ消えてくれないか
失恋や春引く風邪の癒えぬまま
春の風邪月の砂漠を一人行く
寝てもまだ眠くて春の風邪らしく
春の風邪棚引く雲は空の膜
畳まるる古書店ありぬ春の風邪
参考書問題集と春の風邪
春の風邪生きてる証と嘯きて
鳥ごゑに目覚めて春の風邪心地
春の風邪天馬舐めたる吾の頬
春の風邪讃岐うどんの列にをり
誘われて外に出にけり春の風
春の風邪川にあふむくオフェーリア
水槽の水を見てゐる春の風邪
春の風邪窓辺で本を読み耽る
妣の手が額ふれゆく春の風邪
先生も休みだってさ春の風邪
体力の脆さを知るや春の風邪
酒熱く冬の名残りの春の風邪
春の風邪好きな卵焼きが嫌ひ
道造の詩に微熱あり春の風邪
春の風邪独尊居士のへたりたり
大仏のくしやんときたり春の風邪
また来ると言ふ子をさとす春の風邪
天金にはみ出す栞春の風邪
会ふ人に手の触れぬ距離春の風邪
春の風邪人間だけが咳をする
春の風邪釘煮届いて直ぐ治る
春の風邪ゆっくりお湯が水になる
片思ひかしら春の風邪かしら
翳りゆくヴェネチアガラス春の風邪
桃色の傘の内なる春の風邪
いつ来たのいつ迄いるの春の風邪
春の風邪霍乱などと誰の言ふ
診る人も鼻すすりをる春の風邪
断はりし予約の数や春の風邪
連れ合ひに薄きまなぶた春の風邪
まひるまを子等のこゑ過ぐ春の風邪
定年までカウントダウン春の風邪
三度目の試着室より春の風邪
甲斐駒や天竜わたる春の風
不覚なる入試断念春の風邪
冷やっこい春風セーターとおり抜け
春の風邪妻の名前を呼んだだけ
春の風邪平日の昼の外の音
春風邪や猫の肉球は柔らか
出張の首都の土産の春の風邪
寝るだけの処方三日目春の風邪
産声をのせて吹き来る春の風
春の風邪飛行機雲はなぜできる
春の風邪湯たんぽ代わりに犬を呼ぶ
雨音のやがて細まり春の風邪
問診にテニスの話春の風邪
いつまでもコート離せぬ春の風邪
春の風邪上向く蛇口漏れてをり
春の風邪塞ぎの虫とともに寝る
春風邪や白いマスクの人は誰
ひえひえと鼻をよぎりし春の風邪
腥い夢の中なり春の風邪
目に涙赤鬼青鬼春の風邪
陽の中に花粉も飛んで春の風邪
あの角で貰つたと思ふ春の風邪
鳥の巣のごとき頭や春の風邪
春の風邪言葉少なに電話切る
春の風邪うつかり妻の夢を見る
春の風邪小さき貝殻欲しといふ
ハンガーは父の肩幅春の風邪
春の風邪家人黙らせ丸一日
春の風邪隕石猛るごと落つる
春の風邪コーンスープに息をかけ
春の風邪同窓会の日の迫る
春の風邪スローライフに甘んじて
春の風邪耳の大きな女医者
バカボンのパパの二男の春の風邪
春の風邪タートルセーター照れて着る
辻褄の合はぬ話や春の風邪
あたためて料理お終ひ春の風邪
老妻の紅茶のうまし春の風邪
欠勤の理由無難な春の風邪
春の風邪猫に頭上を跨がれし
雪のよう白きちり紙や春の風邪
春風邪や青がよく減るボールペン
老いの恋笑はすなよと春の風邪
風花の落ちくる青空春の風
起きてなほ臥所ぬくぬく春の風邪
春の風邪移してしまひたき今宵
ぐいと寄る並走電車春の風邪
春の風邪生命保険見直そう
朗読は草笛光子春の風邪
立ち話引きとめられて春の風邪
繭に入るごとくに春の風邪をひく
はやり風邪見舞できずに田舎道
春の風邪営業職に言葉なし
春の風邪自家薬籠はゆづれない
静まれる白磁の肌や春の風邪
春の風邪帯重さうにほどかるる
ダリの絵の時計の如き春の風邪
春の風邪ブロッケン現象つづきをり
屋根雪のぽとんぽとんと春の風邪
頬撫でる生温かきもの春の風
聲咳に接して春の風邪もらふ
春の風邪一万字までカウントす
春の風邪ぶ厚き本を読み終へぬ
春の風邪愛のチョコにて治さむと
春の風邪移りにけるないたづらに
灯台の白さに春の風邪を引く
人生の中の数日春の風邪
春の風邪フェードアウトが長過ぎる
抱き枕はイルカのかたち春の風邪
ラジオ聴く曲は陽水春の風邪
花柄の手縫いのマスク春の風邪
味噌煮込み饂飩は春の風邪と共
春の風邪夜の仕事の人らしき

(不明)
懐石と変わりし麺包(パン)を抱く春朝(あさ)