◆子宮頸がんワクチンから見える棄民体質◆
2013年7月10日2:59PM|カテゴリー:多角多面(発行人コラム)|北村 肇
〈北村肇の「多角多面」133〉
ワクチンをうつのはやめたほうがいいと、かれこれ25年は言い続けてきた。旧厚生省を取材したとき、慄然とする事実にいくつも直面したからだ。当時はインフルエンザワクチンの問題点を主に追及していたのだが、複数の同省幹部から「ワクチンはすべて危ない」と繰り返し聞かされた。理由は単純。効果より副反応の危険度が高いのだ。いまも改善されたとは到底思えない。
子宮頸がんワクチンについて厚労省はようやく「一時、接種の勧奨を控える」との方針を打ち出した。遅すぎるし甘すぎる。直ちに接種を中止すべきだ。
本誌7月5日号で伊豆百合子さんがリポートしたように、このワクチンの効果はほとんどない。同がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされるとみられている。強い感染力をもつのは約100種ある同ウイルスのうち15種で、仮に感染しても自然にはがれることがほとんど。がんの発症率は0.15%にすぎないとされているのだ。
しかも、現在のワクチンは一部の種類のウイルスにしか効果がない。15種すべてに対応できるわけではないのだ。有効持続期限もはっきりしない。だが、多くの市民は「このワクチンをうてば子宮頸がんにかかることはない」と誤解していたのではないだろうか。早期発見でほとんど完治することも考えれば、ワクチン接種にいかほどの意味があるのか、大いに疑問である。
そのうえ、重篤な副反応とみられる例が続出した。このワクチンはまだ国内の臨床試験結果が出ていない。海外での承認実績をもとにあわただしく英米2社の製品を承認したのだ。安全性の担保がされていなかったと批判されても仕方ないだろう。
ここまできてもまだ、厚労省は「ワクチン接種と副反応の因果関係がはっきりしない」との姿勢だ。福島原発事故と同じだ。どうみたって蓋然性は高いのに「甲状腺がんとの因果関係はわからない」と逃げ回る。百歩譲って、関係性は100%証明されていないとの言い分を認めたとしても、市民の健康被害が出ている以上「まずは疑ってかかる」のが当然だ。
ワクチン政策の背後には、製薬会社と政治家、官僚との癒着があるといわれる。このことに関しては私自身が証拠をもっていないので、論評はできない。ただ、厚労省が市民のいのちを軽視していることだけは指摘できる。参院選では、各党の原発や子宮頸がんワクチンに関する政策がどうなのか、しっかり検証したい。(2013/7/12)