兼題「子規忌・糸瓜忌」__金曜俳句への投句一覧(9月27日号掲載=8月末締切)
2013年9月4日6:14PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。
選句結果と選評は『週刊金曜日』9月27日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。
【子規忌・糸瓜忌】
羽根ひとつ零れてきたる子規忌かな
横顔の人よく見える獺祭忌
糸瓜忌や風葬となる道の虫
糸瓜忌や縁台将棋遠き過去
僕らから子規忌は遠し死は近し
糸瓜忌や深眠りして青の中
パソコンの横書き句読む子規忌かな
うつうつと教壇の人獺祭忌
風吹きてふと旅立ちぬ糸瓜の忌
子規の忌や薬師寺の次法隆寺
虚子も見し月天心に獺祭忌
脱臼して子規忌一日呆然と
新聞の余白に一句子規忌かな
糸瓜忌や「ぞなもし」の語尾曲りたる
糸瓜忌や迷へば遠き根岸まで
自画像の太き輪郭子規忌かな
鶏頭も見かけずなりぬ子規忌来る
糸瓜忌や風呂で自家製化粧見ゆ
糸瓜忌や街輝かす通り雨
伊予電に乗りたくなりし子規忌かな
糸瓜忌や一升瓶の家庭薬
鶏頭の髄まで紅き子規忌かな
糸瓜忌やもの壊すにもかかる金
へちま忌や暑さの残る露路の奥
調べ魔のI・S・Yやう子規かいな
子規の忌や夕刊重し雨催ひ
野のボール子らの歓声子規忌来る
糸瓜忌の我の進路に詩を示す
小さきもの愛でる暮しよ獺祭忌
へちま忌や横しか知らず子規の顔
糸瓜忌や糸瓜を知らぬ都会っ子
糸瓜忌や子規堂前の砂利の白
子規の忌の海見えて山見ゆる町
不自由にもあるてふ自由子規の忌よ
またまた行きたくなる松山子規忌
同じ名の地酒に酔ひたる獺祭忌
子規忌から雄飛したきを緩除楽章
往還に一雨ありて子規忌かな
糸瓜忌や大きく動く喉仏
糸瓜忌や明治遥かに草野球
柿柿と言はんでよろし子規忌来る
糸瓜忌や微妙な進化系統図
はがきへの手書き嬉しき子規忌かな
ぬけぬけときれいに晴れし獺祭忌
子規忌なり痰一斗てふ語の記憶
糸瓜忌や細き手首に巻く輪ゴム
食パンを厚切りにして獺祭忌
球音の碧空にある子規忌かな
糸瓜忌やごしごし擦る背の広く
恋の句を詠んで過ごせし子規忌かな
朝粥を行平で炊く子規忌かな
糸瓜忌や一筆箋の走り書き
食い意地を生きる証しに獺禁忌
糸瓜忌や久々に墨摺って詠む
むくむくと白雲の湧く子規忌かな
軟球の白より白し子規忌かな
野球(のぼーる)も俳句も盛んに子規忌かな
糸瓜忌のリレー講座の子規と虚子
坂の上に雲ひとつなき子規忌かな
俳人や子規忌ともなりや畏まり
子規忌かな羽二重団子家苞に
部屋からの庭は眩しき子規忌かな
へちま忌や明治は遠くになりにけり
糸瓜忌や枕二つに一人寝る
大食いの真似をしている子規忌かな
屑籠に反故のあふるる子規忌かな
果物の山と積まれて獺祭忌
朝晩の丸薬並べ獺祭忌
糸瓜忌やただ馬齢のみ重ねたり
獺祭忌妖しき姿態去れぞかし
糸瓜忌やのど飴一つ口の中
へうへうと子規忌の空の日章旗
俯せの写真セピアに子規忌かな
子規忌とか糸瓜忌などに戸惑ひぬ
芋坂の団子を口に獺祭忌
糸瓜忌や双子姉妹も年寄れる
糸瓜忌の縁側にある柱かな
書斎にはLEDの子規忌かな
今更の乳液買うて子規忌かな
飛び越えてゆく子規の忌の潦
全身排句人かな獺祭忌
子規庵に座し糸瓜忌のより近き
詰め物がふてぶてしきまで子規忌かな
子規の忌やハンカチ握る歯科の椅子
辞書字引き部屋に散らかる子規忌かな
朝の雲ケータイで撮る子規忌かな
子規忌日なり俳句も短歌も捨てられず
句歌生る糸瓜は裂けて子規忌かな
子規名句柿が代表する大和
糸瓜忌や方六尺を旅の風
子規忌の夜野球ボールの大映し
糸瓜忌や干した束子の馴染む肌