兼題「小正月」__金曜俳句への投句一覧(1月31日号掲載=2013年12月末締切)
2014年1月14日4:56PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。
選句結果と選評は『週刊金曜日』1月31日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。
【小正月】
郷愁の遠き一点小正月
連山になべて日当たる小正月
青い地球難儀おほくて小正月
小正月その気にさせて二日酔
小正月丹後ちりめん畳みをり
書き初めも高く上がれや小正月
雀らのはやばや来てる小正月
七曲り胸突き八丁小正月
焼け加減気にする孫と小正月
小正月桃山城は真東に
吾れ以外みな稼ぎたる小正月
おふくろの語る戦後や小正月
小正月飛行機雲の崩れいて
地下街を出て潮の香や小正月
蝶結びおぼえず喜寿や小正月
畝に残る菜屑あをあを小正月
出戻りの幅利かしをる小正月
蔵屋敷残る民家や小正月
指文字で「好きだよ」と言う小正月
あやとりをせがむをさなと小正月
北伯母も南の伯母も小正月
招き猫首はゆらりと小正月
海に沿ふローカル線や小正月
小正月親きょうだいの皆健在
小正月ふる里遠き者ばかり
母亡くも小豆ふつふつ小正月
境内に鳩戻りたる小正月
小正月外湯に浸る白い肌
巫女ふたり歩幅おなじに小正月
あかつきを小正月だと思ひけり
予定にはなくて狂ひし小正月
家中のタイマー止まる小正月
献血をしに行くという小正月
小正月門付けなども来なくなり
贅沢の類い様々小正月
鮮やかにキムチを添へて小正月
小正月寒夜に酒酌む留守居かな
小正月貰ひし京の筆下ろす
酒樽に女名の杜氏小正月
畦道の雪踏みかため小正月
日めくりをめくりて気付く小正月
看護師のカルテの整理小正月
庇低き佃煮屋混む小正月
小正月ちいさくなつて暮らします
小正月野良猫に飯てんこ盛り
風俗は人それぞれに小正月
竹の燗御利益ありと小正月
スープカレー団扇つかいつ小正月
奈良町に残る仕来り小正月
日に一句小正月まで十句ほど
昼の湯とのちのビールや小正月
和服着て街をぶらりと小正月
女子集う福祉センター小正月
小正月これからお邪魔いたします
調律の音たしかめて小正月
天井を這ふ臼の湯気小正月
女子会と集う老女や小正月
小正月山も小さく座りをり
小正月世界の半分飢えている
小正月中国意識しすぎたり
体よく洗いて拭いて小正月
咲き残る石蕗の花小正月
小正月厨の電球切れたまま
小正月一寸ひもとく太平記
同期生五人集まる小正月
小正月思いがけなきひと還る
美しき日本の遠き小正月
小正月行かねばならぬこともなく
小正月電話の鳴らず人の来ず
チョコレート二段目発見小正月
ハニー酒の発酵しきり小正月
女正月マトリョーシカの中に闇
小正月山河ふるへる真の顔
小正月亡き母よりの電話待つ
小正月会ひ語る人自然体
小正月紅絹にくるみて仕舞ふ椀
アレンジのおせち持ち寄り小正月
わが許へひと日戻りし小正月
朝風呂の温泉の香や小正月
モンゴルの塩の紅色小正月
大いなる妻の登場小正月
赤ワイン少し揺らして小正月
新聞を隅々まで読む小正月
分割は出来ぬ人生小正月
長々と肩凝り腰痛小正月
旅行社の旗に從ふ小正月
小正月七十三の欲六分
小正月塵の中なる花の束
母となり母住む家へ小正月
今日よりは断舎離せむとて小正月
小正月団子と並ぶ竹の燗
小正月祝うて犬の散歩かな
団子食いほほ赤らめるどんど焼き
煙にも御利益あるぞ小正月
ひだまりの猫と分け会ふ小正月
眉の濃き禰宜早足に小正月
惑星の光が残り小正月
小正月厨に高き笑ひ声
塩糀少しまぶせる小正月
自分にもみんなにも甘く小正月
平凡がよいとの妻と小正月
カリスマを脱ぐひとときや小正月
御不浄に射す陽斜めや小正月
ぜんざいの舌焼く味見小正月
小正月最後の止め善哉食う
三日坊主掛ける五回で小正月
赤き実のこぼれんばかり小正月
前夜より小豆煮てあり小正月
朝食はパンと決めをり小正月
どんど焼き団子食べたらチャンバラだ
女二代小豆茹でをる小正月
小正月小なる決意確かむる
床の間にランドセル置き小正月
小正月鏡にひびのはいる頃
餅に黴ぽちぽちつきて小正月