佐藤優氏による猪瀬直樹氏へのインタビュー依頼について
2014年4月24日6:55PM|カテゴリー:風に吹かれて|伊田浩之
『週刊金曜日』誌上(2013年1月18日「本物のニセモノがやってきた」)で、作家の佐藤優氏は猪瀬直樹都知事(当時)の尖閣政策を強く批判しました。猪瀬氏が無自覚のまま日中戦争の引き金を引きかねないとの危機意識からでした。
その佐藤優氏から、猪瀬直樹氏の今回の辞任と略式起訴の経緯について疑問があるため編集部からインタビューを申し入れてほしいとの依頼があり、4月7日付でインタビューを申し込みました。
4月14日付で、猪瀬氏の代理人名で返答がありました。佐藤氏と回答を検討したところ、不誠実な回答であると判断。「公開質問状」を出すとともに、一連の経緯についても公開していくことにしました。
まず、最初の「インタビュー依頼書」を公開します。
(なお、元の文書にある猪瀬事務所の住所と小誌編集部の電話番号、編集者のメールアドレスは省きました。また、読みやすいように改行を入れてあります)
週刊金曜日編集部
伊田浩之
///////////
2014年4月7日
前東京都知事
猪瀬直樹様
東京都千代田区神田神保町2-23
アセンド神保町3階
週刊金曜日編集部
伊田浩之
インタビュー依頼書
前略 猪瀬直樹さんへのインタビューを作家の佐藤優さんが希望されていますので、ご連絡を差し上げます。インタビュー内容は小誌で掲載させていただきます。
あなたの公式ホームページによると、3月28日の記者会見の冒頭であなたは次のように発言しています。〈昨年の都議会の答弁や記者会見では、自分の認識に正直に答えたつもりでしたが、記憶があいまいなまま十分に事実を確認せずにお答えをして、皆様に不信感を持たれてしまいました。今回、あらためて時間をかけて事実の経緯を確認していくなかで、自分の認識に正確でなかった点があると理解するに至りました〉
佐藤優さんのインタビュー希望理由をお伝えします。
記者会見でのあなたの発言が事実であれば、あなたは記者会見や都議会などの場で国民に嘘をついていたことになります。あなたはノンフィクション作家です。ノンフィクション作家の前提は真実を書くことですが、あなたが公的な場で虚偽説明をしていたとすれば、あなたのこれまで書かれたノンフィクション作品すべてが、本当に事実のみによって書かれているかどうかが問われることになります。
一方、虚偽説明ではない場合はどうでしょうか。真実の主張を貫き通すと検察に公判請求される恐れがあり、証拠不十分で不起訴となっても検察審査会に申し立てがなされる可能性があるなど、この問題で長期間わずらわされることを避けるために、事実と異なる供述をし罪を被ったとすれば、法秩序を愚弄することになります。
いずれにせよ看過することはできません。
佐藤優さんは、あなたが選考委員の一人を務めた大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しています。今後の佐藤優さんの人生としてもあなたの立ち居振る舞いについてはきちんと説明を求めずにはいられないと考えています。
つきましてはインタビューの可否につきまして、この依頼書が届きましてから1週間以内にご返信をいただけますようお願いいたします。「言った言わない」の水掛け論を避け、正確を期すために内容証明郵便を使うことをお許し下さい。