きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「新樹」__金曜俳句への投句一覧(4月24日号掲載=2015年3月31日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2015年4月24日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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【新樹】
囁ける新樹はにかむ日のひかり
百年の森に射し込む新樹光
雨の日は雨の新樹となりにけり
春の野を被い尽くすや新樹かな
古民家の土間より出て新樹かな
甦る新樹恨めし髪なでる
耳を寄せ息吹感じる新樹かな
サンドイッチ新樹の奥に運ばるる
野狐の背も新樹に染まる獣道
静まらぬ青葉城址の新樹かな
エネルギー吹き上げている新樹かな
マラソンにとり残されし新樹かな
新樹光五年生存率五割
かまびすしきほどに新樹の耀へり
ふるさとの列車に新樹また新樹
持ち帰りコーヒーに熱新樹光
新樹海命ひしめく聲を聴く
新樹生を受けたる使命かな
俯瞰する谷は新樹の群れ遠近
新樹光子の初出社新スーツ
身のうちの愚図封殺や新樹光
雲一つ浮きて蒼蒼新樹映え
自転車で行く往昔の新樹冷
天幕に新樹の影の優しかり
土手なりに新樹みてる老夫婦
濡れをればさらに輝く新樹かな
愛しあふために新樹の下を選る
古道なほ木曽に息づく新樹光
ぼた山の跡とは見えず新樹生う
丸太橋渡りわたりて新樹澄む
あんぱんのポピーシードに新樹光
陵へ続く学舎の新樹かな
雨晴れていよいよ深き新樹海
霊道の開けることも夜の新樹
崩れたる山が新樹の色となる
艶やかに新樹を歩く芸妓かな
神木もいまは新樹となり騒ぐ
楢新樹きみ飲みさしの水をのむ
朝礼の生徒の背に新樹蔭
風吹けば千筋の枝に新樹光
新樹晴予定は予定と悟りきり
新樹なお塀のすき間に伸びており
園庭の子を見守れる新樹かな
反戦のビラ配る子よ新樹光
エネルギー噴き出している新樹光
夜散歩闇に新樹の気配あり
堀割に新樹陰置く芙美子の碑
旅心くすぐる風に新樹の香
新樹の香去年の香より香るかな
新樹光木の間に透ける鳥の声
新樹とは哲学をする私かな
古木でも梢たゆたふ新樹かな
新樹呼ぶ我が庭の色とりどりに
ハイヒール足早に去る新樹かな
ベテランの味を隠して新樹かな
新樹光目覚めの窓に希望沸く
新樹ゆれ歩きながらの電話増え
眼下なる街の灯とどかざる新樹
廃鉱の町に匂わん夜の新樹
鳥たちに朝と新樹と蒼天と
名前無き定期券落つ新樹かな
京都御苑の新樹の中を猫抱いて
衛星のゆるゆるすすむ夜の新樹
友よりの想はぬ電話新樹光
早朝の光の中の新樹かな
雨止みて社のみこむ新樹かな
脇腹に当てる手のあり新樹光
新樹の香匂ふ先にはガールかな
春三月野山を被う新樹かな
身ほとりに無辜の風来る新樹光
姫路城真白き鷺や新樹光
吸い上げし水隅々に新樹かな
緑(あを)の間に碧き空ある新樹かな
新樹良し旧態の我息を吸う
新樹立つ直線コースに挑みたや
新樹てる下に朝市海のもの
旅客機の新樹の国を見る
氏神の老木までも新樹光
素うどんは青春の味新樹光
才あらば新樹のひかり描くべう
一眼レフキャメラのキャップ新樹光
折鶴を励ましてゐる新樹光
子ら叫ぶ新樹の中のボールけり
新樹光影だけ目立つ道路かな
あやかりき新樹の精を深呼吸
雨のあと光とびこむ新樹かな
洞の闇出て新樹の道となり
悲の人に贈る新樹を一揃ひ
ビル風の吹き抜けてゆく新樹かな
新樹みて百名水の生きてをり
自転車の三人乗りや新樹風
新樹の夜空つぽのポスト口ひとつ
自転車のポニーテールや新樹風
牛乳を運ぶ当番朝新樹
お四国の祈りの道や新樹光
先代より鮮やかなりし新樹かな
新樹映え太き絵具の口をあけ
小さけれど確かに盆の新樹かな
応援の楽譜に届く新樹蔭
ハチドリのしづく覚ゆる新樹かな
初めてのマンション住まい新樹光
新樹光ひと歳月を積み重ね
湧き出づるもののひとつに新樹かな
点字打つ窓全開に新樹光
我が胸を被い尽くすや新樹かな
むくむくと起き始めたる新樹かな
街なかに名水の湧く新樹かな
幼子が耳添え笑ふ新樹かな
雲ちぎる風に新樹の光満つ
鳥の巣新樹の緑隠しけり
新樹光赤黒ぐらぐらランドセル
新樹光いぶせき思ひ何処より
前うしろ低き山にも新樹見ゆ
自転車を磨く子供や新樹光
雨ゆるみ新樹の四囲は色溢れ
樹齢古りなほ新樹たり御神木
新樹光信じる明日ありやあり
万札に透かしありたる新樹かな
新樹光金子みすずの詩集繰る
黒々と見えて新樹の光かな
新樹と新緑とが交差する
広大な森が魅せるな新樹ら
裸婦像の胸尖りたる新樹かな
新樹光日にも雨にも色のさえ
廃校の新樹のそばの二宮像
幾度もやり直したる新樹かな
新樹より数歩離れて天仰ぐ
降り止みて光の中の新樹かな
こぬか雨ふくみ新樹の雫せず
新樹の気深呼吸する妻若し