きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「シャワー」__金曜俳句への投句一覧(7月31日号掲載=2015年6月30日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2015年7月31日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

『週刊金曜日』の購入方法はこちらです

amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。

予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。

【シャワー】
子にかけるシャワーに虹のたちにけり
錆を吐く団地のシャワー皆が老ふ
メコン川眺むホテルの水シャワー
シャワーヘッドいつも横向くかたおもひ
シャワーして考へもせず或る決意
流しては不可解になるシャワーかな
新たなる門出の一歩シャワー浴ぶ
アラビア字読めず冷たきシャワー浴ぶ
シャワー終へ子供太鼓の聞こへ来る
まどろみの雨音とほきシャワーかな
洗車機のやうだと笑ひ介護シャワー
シャワー浴ぶ花の如くに生き返り
砂流る敦煌の夜のシャワーかな
暗室やシャワーを浴びて輪廻する
腕細り腹膨らめりシャワー検診
冷水が普通のシャワージンバブエ
シャワー浴ぶ腕の拳の水しぶき
心眼を開きてシャワー浴びる我
一日の苦闘を終へてシャワー浴ぶ
彼の国は人目気にしてシャワー浴ぶ
太腿てふ二本の川やシャワー浴ぶ
勢いが我に似てくるシャワーです
朝シャワーやや熱くして鬱明ける
シャワー浴ぶヒッチコックの映画観て
土砂降りの雨をシャワーと浴びし日々
シャワー室の隅に砂寄す海の家
驟雨てふ罰に濡れ来てシャワー浴ぶ
シャワー浴ぶシャワーの音を聴くために
シャワー浴ぶ空を流るる夜の鳥
シャワー浴ぶ古りしペニスの在り処
絆創膏萎れてきたるシャワーかな
目瞑れば新たな闇のシャワーかな
畑仕事終えてシャワーの至福かな
一万歩あるけず帰りシャワーかな
シャワー浴びだんだん脱皮してをりぬ
シャワー浴ぶ京の町屋の旅の宿
もて余す黒髪の砂鋤くシャワー
忘れたき事思い出すシャワーかな
シャワー浴び白きタオルに包まるる
服を着てシャワーを浴びる修行かな
人間に大小の穴シャワー浴ぶ
短足がやはり気になるシャワーかな
妻怒るシャワー浴びれど憂さ晴れず
休日の午後のはじまるシャワーかな
草野球終え若き等のシャワー浴ぶ
シャワー浴ぶ不意に赤面したりけり
突然の叫び聞こゆるシャワーかな
一欲の残り滓かなシャワー浴ぶ
潮風の火照りを冷ますシャワー室
シャワー最強舌出して全否定せり
シャワー有り無き物多し貸物件
手をはなれおほいにあそぶシャワーかな
シャワー浴ぶあのこと言へず悔少し
一日の都市の埃やシャワー浴ぶ
我が家の新しきことシャワー浴ぶ
侮辱の身シャワー全開まだ浴びる
心臓の縮むがごときシャワーかな
いつでもどこでも妻が先のシャワー
少年の白きメッシュやシャワー浴ぶ
シャワー浴ぶ別れの刻ぞ迫り来る
家族こそ秘密あるなりシャワー浴ぶ
新しき傷に沁み入るシャワーかな
鼻唄の十八番かき消すシャワーかな
足鰭を日向に立ててシャワー浴ぶ
あれ以来便りもあらずシャワー浴ぶ
シャワー浴ぶ夜の浜辺の砂の跡
まず先つぽ肛門で〆シャワーかな
大胆に放尿しつつシャワー浴ぶ
勝ち歌の合唱となるシャワーかな
シャワー浴び黄泉より戻る斬られ役
滝攀(よ)ぢてシャワーここに極まれる
終電や姉のシャワーのつよきまま
時としてシャワーヘッドの外方向く
拙速な仮設シャワーの鍵の音
シャワー浴ぶ大小のさまざまな穴
ひと息に影脱ぎ棄ててシャワーへと
シャワーする一つ約束反古にして
行水と違ふシャワーの心地好さ
野を往きて雨のシャワーに逢いにけり
シャワー浴びプール飛び込みし熱き日よ
どこからの出でし噂やシャワー浴ぶ
シナプスの繋がる響きシャワー浴ぶ
喜雨のごとシャワーの水を顔に受く
逆境をシャワーに消して終ひたき
なまなかな言葉かき消すシャワーかな
湯気の中あるとき妖しシャワー室
あの人の高さにシャワー合はせをく
全開のシャワー痛恨消してゆく
シャワー浴ぶ不在証明整へて
潜りゆく光のシャワー森小径
頼りなきシャワーに落とす海の塩
昼のシャワー電話が鳴ってゐるらしく
試合果つシャワー浴びたる敵味方
シャワー室窓から見ゆる海の果
水音に嗚咽の交じるシャワー室
シャワー中過ぎたることが滲み出て
お忍びで黄門様はシャワー浴ぶ
シャワー浴ぶ妻若かりし裸体かな
シャワーから逃げて子どもの戻りくる
手術跡テープで庇ひシャワー浴ぶ
パクパクと溺れさうなりシャワーの子
シャワー浴ぶ流るる先に塩サウナ
一揆衆シャワーでも浴び気を静めよ
シャワーから日曜の朝はじまりぬ
慣れぬ香を纏ひてをるやシャワー浴ぶ
今日の事シャワーに流しよしとする
急く心抑え抑えてシャワー浴び
ジュラ紀とは雨の時代やシャワー浴ぶ
シャワー浴ぶひとりの夕餉こしらへて
よーいどん息ととのへてシャワー浴ぶ
女生徒の大地踏みしめシャワー浴ぶ
音高を自在に替へてシャワー浴ぶ
まだ芯は夢にゐる身にシャワーかな
一日の罪の軽きにシャワーかな
星砂の身より零るるシャワーかな
シャワーの中秘めて唱ふる御経かな
猿舞座シャワーを浴びて旅立ちぬ
シャワー浴ぶ熱さめやらぬオートバイ
決勝打反芻しつつシャワーかな
悔し泣きシャワーで流し取り繕う
主将まだシャワー終はらず敗戦後
ベディキュアの赤鮮やかやシャワー浴ぶ
死んだつていいやとしやがみこむシャワー
シャワー浴び行くスナックのママ老ひる
気がかりがちかごろ多くシャワー浴ぶ
シャワーする急に伸びたる子の背丈