兼題「流星」__金曜俳句への投句一覧(10月30日号掲載=2015年9月30日締切)
2015年10月14日7:18PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。
選句結果と選評は『週刊金曜日』2015年10月30日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。
【流星】
星飛ぶや戦後百年祝いたし
流星や峠険しき県境
流星や誰とも口を利かずとも
流れ星暗き校庭ただ一人
星流れ娘の恋は終わりけり
流星は槍投げの槍の如とぶ
流星や天のむこうを垣間見る
流れ星消ゆ小便も終わらぬ間
望郷や見上げる空へ流れ星
空港の灯を遠景に星流る
流星やはてしも知らぬその先も
流星になりて闇夜を駆け抜ける
数多ある願いを一つ星流る
宮殿の丸屋根を突く流れ星
流れ星願い信じた時流れ
星流れ裏階段の猫の声
流星の流るる先はユートピア
幽谷の河童見あぐる流れ星
おほぞらに書きかけの文字星流る
屑鉄のアトムの眠り流れ星
星流れ胸騒ぎもし急ぎ足
でんと立つ大樹にさっと流れ星
流星や深さを知らぬ海に落つ
流星の曲がり落ちたるセロリ畑
流星や健康長寿祈るのみ
流星や大和三山一望す
キリン舎の主は不在星流る
流星の地球の裏に流れ行く
流星や願いはひとつ只ひとつ
流星の彼方に有らむユートピア
流星の消えし闇より犬の声
流星や幼き頃をなつかしむ
山小屋の屋根のとんがり星走る
流れ星三つ数えて無明なり
だれの幸あるや彼方に流れ星
流星のごとく不器男も子規居士も
流れ星待つ振りをして見つめゐし
最初から流星節を演じたり
初恋の人住む町へ星流る
やすやすと火を纏ふなり夜這星
流星をこぼす北斗の柄杓かな
流星や明日の試験は物理地理
星墜ちて聖書にある言葉きく
潮鳴の激しきに星走りけり
流星にエレキギターを子の鳴らす
乗せておくれあまたの願ひ流星よ
流星や寡黙な人の深き息
口笛の鋭き余韻流れ星
億年を煌きに変え流れ星
天翔る馬の尾として流れ星
流星に願ふことなし山暮らし
流星や吉原大門交差点
顔洗う見上げる空に流星
星星のそぼ降るアンモナイトの夢
新宿の墓標の上の流れ星
流星にもらふ生気の刺さる夜
流星の流るる先にユートピア
ドライブのバックミラーに星流る
真夜中の牛の出産星流る
流星やチェッカーズ歌へば内省し
流星やロックバンドを従へり
星流る地球の傷の重たさに
大熊の手から小熊へ星流る
流星の流星とあふことはなく
星流る島いくそたび血塗られし
海に眠るアトランテイスや流れ星
絢爛と闇にきえゆく流れ星
流れ星消えてしまえばそれつきり
流星の故郷に向かう後を追う
流星や飛石こんなところにも
星流る子に期することあるらしき
流れ星願い事して空仰ぎ
人の声鳥の声消え星流る
鍵盤を叩く指より流れ星
自転車をこいで観に行く流星群
星飛ぶや志いま違はぬか
流星や天の端から地の果てに
流星の叶へ私の王子様
勇ましくやがて儚く星流る
噴煙を上ぐる火口へ流れ星
流れ星追ひ漂白となりてあり
消えたとて命不滅の流れ星
追ひかけるやうに流星またひとつ
流星の群れなす宙は君が為
流星や眠らぬ街の次のまち
老いるとは生きていること流れ星
流星を飼って居るとふ男死ぬ
流星やささやかながらのふれあい
もう誰も喋らなくなり流れ星
星の尾も炒めアジアの夜市なる
流れ星会ひたきひとはみな遠し
流星が窓の角から角へ抜け
ながれ星地上にあれば芋の露
流れ星山際までは届かざり
流星や大きな窓の一戸建て
流星や何も書かざる日記帳
流星や若き瞳は若きまま
星流る疎開のころの話など
高原の闇に流星頻りなり
流星をこつそりと閉じ込めておく
旧道は山へと続き流れ星
流星を幾つ呑み込む頂上湖
叢に寝つ転がれば夜這星
アラビアンナイト流星にて栞る
海沿いの川縁の家星流る
流星や村人集ふ駐在所
流星の迅さアルトのパッセージ
流星と大地の草は相和せり
亡びゆくもののしたしさ星流る
流れ星あつといふ間の夜這い星
人の業夜空に見えぬ流れ星
星流れ行き着く先は石となり
山小屋は眠りの坩堝星流る
流星の欠片探しにいきませう
女の目流星と成る時怖し
寝転べば地球の温み流れ星
流れ星ねがい願った幼き日
流星や裸電球夜警小屋
さあ今だ本気出せよと星流れ
流星や突き立つごとく海に落ち