きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「梅見」__金曜俳句への投句一覧
(2月23日号掲載=1月31日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2018年2月23日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【梅見】
梅見には似合わぬ話しつい口に
青空といふ余白背に梅見かな
観梅や母の歩みを追ふかほり
リハビリの試歩ぎこちなき梅見かな
コンビニの袋がさがさせし梅見
梅見客裏地に梅のチラリズム
しばらくはこのままでゐる梅見茶屋
参道に梅見岩有り腰掛けぬ
ウォーキングの続きいつもの梅見かな
観梅や人を待つ間のストレッチ
憂鬱をしばし忘れよ梅見して
声若き年寄りのいて梅見かな
深雪踏み公園の梅見に来たり
早起きの近所歩きも梅見待ち
梅見茶屋筑前琵琶の音合わせ
蘂一輪静かに落ちる梅見句座
梅見茶屋手作りらしき小座布団
露天湯のただ一本の梅見かな
まあるくて園児の笑顔梅見かな
退屈な梅見のあとのお楽しみ
この先は富士見える丘梅見坂
梅見して子供めく妻見つけたり
香る道母の手引いて梅見かな
雀荘のをとこ四人や梅見茶屋
藩公の愛で足る庭の梅見かな
頬撫づる風まだ硬き梅見かな
梅見んと一駅歩くできごころ
歩を止めて心ほのぼの梅見かな
梅見して犬の嗅覚地図あらた
東坡煮を二日煮込みぬ梅見かな
みちざねてふ女々しき仁と梅見かな
パエリアを取り分け梅見窓広き
近付きて香り確かむ梅見かな
雪降りて足跡残る梅見かな
洋々の海を眼下に梅見かな
梅見より戻りしあとの夜蒼し
観梅の時計廻りに寄る堂宇
梅見山どの碑も円に近付きぬ
香箱になりて梅見の窓の猫
梅見上ぐ甘酒膝に置きながら
揚々とちょっと早めの梅見かな
紅梅(べにうめ)とう白梅園丁胸張って
白川の小さき流れ梅見宿
梅見茶屋二時間ごとの救急車
澄む空に見慣れぬ鳥や梅見行
まだなのかそれとももうなのか梅見
雪晴れて紅梅強く匂いけり
後にする前にする揉め梅見茶屋
早々と茶店に入る梅見客
たまさかに人途切れたる梅見かな
薄ぺらな己恥つつ梅見行く
百段をゆつくりのぼる梅見かな
あれこれと悩むよりも梅見する
ミチザネを遠近に聞く梅見かな
日本酒ぞ佳きの友連れ梅見茶屋
田楽と酒飲みたさの梅見かな
家壊す前束の間の梅見かな
観梅や霏々たるなかを帰り来る
けふひとり明日もひとり梅見かな
独りきて雨のそぼ降る梅見かな
ビル群の端より香る梅見かな
相続の控除のはなし梅見茶屋
懐の具合確かめ梅見行く
梅園の香り吸い込む梅見かな
梅見酒酔ふこともまた区切りなし
ひとひらがワインにふれて梅見茶屋
ひとひらが梅見の靴と電車まで
香りのみ頼りに歩む梅見かな
時経りてみるかげもなし梅見坂
病棟の梅見の部屋の客の役
梅見など出来るものかと北の空
観梅や甘き嘘とも知らずして
ゆかしきは大家の庭の梅見かな
花も観ず香り肴に梅見酒
相寄れば香の降り懸かる梅見茶屋
できるなら違ふ相手と梅見かな
家族連れ孤独も居りて梅見かな
坂の下に凪の海見ゆ梅見の歩
梅園やおもひになつく梅見酒
台所拾い集めし梅見する
演歌よりJPOPとる梅見かな
梅見席わるいがそこは獣道
観梅や運座の客に触られて
観梅やすこしちぢめて門くぐる
梅見して移ろいゆくを感じけり
観梅や五分未満まだあるといふ
逆巻ける波を眼下に梅見かな
ウォーキングいささか疲れああ梅見
普段着の夫とふたりの梅見かな
この紅梅低温注意にもう咲いて
梅見坂あはき空気の満ちてをり
観梅や二礼二拍手道真公
体内に水の満ちくる梅見かな
弁当は焼きそばにして梅見かな
同期生茣蓙にビールで梅見会
老人の老人らしい梅見かな
ひだまりを選る猫梅を見上ぐ人
来た道の蕎麦屋気になる梅見かな
ホツホツと写真の梅見恋しくて
日当たりと濃き空気吸う梅見かな
水車小屋光りを散らす梅見風
日当たりの縁台に座す梅見茶屋
寄席を出て梅見の場所へ身を運ぶ
梅見せし脚の疲れや熱海の湯
梅見酒かつて散骨ありし村
帯の色激しく赤し梅見客
まだ浅き仲にて梅見終へにけり
観梅の誘い待っての美容院
まずカメラ次にしやつぽを脱ぐ梅見
ずつと傍にいてもいいよといふ梅見
観梅の誰も無名の詩人たり
見上げたる枝に二輪の梅の花
子の鼻を枝へ持ち上げ梅見かな
惡しき間の惡しき誘ひや梅見たり
払暁や梅見の客は噺好き
渓を行く梅見の人ら枝越しに
連れ合ひのなき客多き梅見かな
味の濃きものを所望し梅見茶屋
線香を少なく焚きて梅見かな
あいまいの心濁して梅見かな
先客と梅見しており奥之院
三分から四分へと目眩梅見かな
いつしかに寄り添ふてゐる梅見かな
中折れ帽目深く被り梅見かな
再建の天守閣より梅見かな
老いもまたかくありたしと梅見する
耳は喪に目は雲にある梅見かな
梅見茶屋蕾のごとき娘おり
梅園に琵琶の語りも始まりぬ
地湧菩薩百の赤白梅見する
指折りて紅を数ゆる梅見かな
妻の顔色やけに気になる梅見
薬研ひく慈姑頭や梅見つつ
観梅の帰り道へと抜ける風
迷ひ子であるを忘るる梅見かな
雨に門ぢりぢり濡れて梅見かな
雨天でも少雨決行梅見かな
梅見して空の青さを褒めており
長靴の女性宮司と梅見かな
梅屋敷下宿の傍に在りにけり
梅見茶屋ここそこ抹茶啜りをる
芳しき香りの中を梅見行く
今年またひと踏ん張りかオイ梅よ
松籟の竹屋町筋梅見かな
いくつもの人影うごく梅見かな
唇を梅の形にして梅見
目瞑りて行き先決める梅見かな
抱き上げて不思議顔なる梅見かな
信者らが多く集まる梅見かな
嫁ぐ娘と何も語らぬ梅見かな
観梅に粧ひのほがらかな母
観梅に日本語の看板ばかり
いずかたか賛美歌流る梅見かな
観梅や絹の道果つ寺の茶屋
用意する鋏梅見を延期する
嗅覚を研ぎ澄ませたる梅見かな
太宰府でどつと降りたる梅見かな
香り清し梅見の春待て白い空
そのむかし下宿に集い梅見酒
大手門くぐり梅見の波斯人
時経たる深淵見たり梅見して
大虚子の背中追ひたる梅見かな
石段を上り下りして梅見かな
見まく欲りし人を遠くに梅見かな
梅見など出来ぬ真白き大地かな
ふるさとに甘えてみたし梅見かな
秘仏拝む往きも帰りも梅見かな
梅見茶屋楊枝に残る餡少し
根岸へと耳欹てぬ梅見かな
襟元をかき合せつつ梅見かな
徒で行くやまの梅見はいま哀れ
梅見茶屋水琴窟を設えて
晴れやかに茶会始まる梅見かな
竹林のくらきもかをる梅見かな
荒行の読経響く梅見かな
ちちははの出逢い梅見と聞きにけり
梅見坂余生はすべて暇つぶし
観梅や緑青の吹く井戸の蓋
観梅や曲がる目安の乾物屋

【締切後到着分】

路地裏や迷路迷路の梅見かな
裏町の迷路辿りて梅見かな