きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「大根」__金曜俳句への投句一覧
(11月29日号掲載=10月31日締切)

「櫂未知子の金曜俳句」投句一覧です。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2019年11月29日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。

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予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。【大根】
押し車に大根積みけり十四五本
板場裏大根むきし坊去りぬ
荒畑の大根白し生きてあり
大根の背伸びしてゐる日向畑
陰影を付け大根を描きけり
大根の寄り道させぬ重さかな
全快の母に大根引くちから
大根愛しく冷たくたくましく
おでん鍋お大根様の御成り
藁縄で大根洗ふ夕の河原
軒下のへへへへのへへ大根干
応援の大根踊り勇ましき
大根がすきとほるまで歌あうか
大根煮る普通の日々とただの主婦
大根を切るや新たな水飛沫
大根の青くかがやく夜明けかな
白き花大根抜きし跡空し
大根煮て古風な家に嫁ぎけり
半島に暮れ残りたる大根畑
大根の斜めに置かれスィンクまで
土中より太き大根引き抜きぬ
やはらかき土からわっと白大根
大根を並べ大きさみな違ふ
大根の葉っぱ刈られて並びおる
燻(いぶ)り香のいぶりがっこの笑顔かな
大根や野菜の中の母の位置
凍(しみ)大根浅間颪の通り道
十日目の干大根のしなやかさ
大根のひげ一本の自己主張
大根の山とりのけし窪みかな
炊出しの琥珀色なる煮大根
櫛跡のひとつ残れる煮大根
岬まで起伏均して大根畑
大根煮く祖母の旨さに届かざる
大根のずんずん太る故郷かな
大根の元中先のいつも中
八つ当たりのごとおろさるる大根かな
千切りにされても大根泣きもせず
大根のすつぱり切られ潔よし
大根に鬆の入る頃と焚く夕べ
大根を干したままにて叔母逝きぬ
潮風を隠し味にて大根干す
大根の端っぽ辛し目に涙
縦にして切る大根の白きこと
やはらかき土からそっと大根抜く
大根に大根透くる朝かな
大根の白きを見れば食べたいな
大根煮の入れ忘れたる油揚げ
大根を両手に走る反抗期
大根や熱々染みる出汁の味
綺羅星を背負ひて父の引く大根
大根抜きふと軽くなりひょろつく吾
どれほどの世話をしたやら大根畑
漬大根妻の引き継ぐ母の味
大根を積みてふらつく一輪車
ミステリー二ページ残し滲み大根
大根引き子らの靴あと残る道
大根の隊伍整う八百屋かな
大根を擂らうか逢瀬果てしあと
さくさくと大根刻む赤ネイル
持て余す吾に一本の大根かな
大根引き終えて青空おりてくる
青空へ大根引き抜く二頭筋
青空の籠の大根買ふ日なり
洗いたる大根白く輝けり
大根のそれは立派な葉っぱかな
大根の根の穴たどるペルーまで
踏ん張って大根抜くや一家して
大根にも千数百年の歴史あり
真緑の大根の葉を刻む音
大根の隠れたる身の白さかな
大根をステーキにして輝かせ
大根を素手にて洗う流れかな
大根や真鍋呉夫の雪女
髭のある大根を引けば尻尾まで
真白(まっつろ)き大根を削ぐ黒き指
大根買ふたれにも屈したくない日
大根や歯固めといふ儀式あり
大根とがっぷり四つに人参が
身構えることなどなきや大根煮
旅役者かほあらふなり大根畠
どの道を曲がりてゆけど凍(しみ)大根
遠山はまぼろしのなか大根の葉
はばからず大根を干す移住の子
よく食ひし母の大根煮子の巣立つ
大根のはみだしてゐるスーツかな
風呂吹きの味噌でそろりと飲み始じむ
大根の震へるほどに透きとほる
大根葉のぞくバッグの主の腕
抜かるるを待つ大根の一列に
一本の大根買へば大臣となる
せり上がる青首大根日の恵み
ホルモンの異臭平らに大根足す
諸事情で明日は大根にするわ
妻も母も演目として大根切る
朝の道三束落ちたる大根(だいこ)の葉
俎板に大根の葉の揃ひけり
孫の抜く太き大根残す畑
大根の燻されてゆく小屋もあり
大根の穴固まりて待つ手紙
四合瓶空けて大根煮崩れり
大根の白と越後の白鳥と
がうがうと大根の葉の吹かれをり
煮大根透き通りゆく白さかな
寒風にやぐらに掛ける干し大根
何思ふことなかりけり大根擂る
日なたから土乾きたり大根畑
泥付きの大根を売る丸の内
大根を洗ふをんなのほつれ髪
味恋ひし大根を煮る母のもと
板前で大根おろす赤き爪
マンションに干す大根や母と住む
大根の泥を落として別嬪に
大根洗う勝手口より浪人生
軒下の白き暖簾や大根干し
千本の大根抜きし婆の腰
大根の打ち捨てられし荒野かな
性格が分かると言はれ大根干す
大根買ふかっての慣引きずりて
大根を洗ふ農婦のパーマして
大根や苦沙弥先生胃の薬
大根葉落として刻み始めけり
中腰の手首を撫ぜる大根の葉
大根抜く救急ヘリの轟々と
大根の濃き味好きとタレントが
長男に大根おろさせ鍋煮ゆる
黄ばみそむる葉や大根の太りゆく
大根一本買ひたき未練無くはなし
デパ地下の沢庵買って三回忌
独り鍋太き大根持て余す
翌朝の鍋の大根のうまきかな
大根のみ横たはる部屋妻はゐず
葉を結び軒に並びし大根かな
雑寝して触らるるまま店大根
青首をずらり並べて市の立つ
大根の輪切に繊維断つる音
日が照れば大根地下に突き進み
大根剥く嫁の手つきの危かる
大根炊き幸せ程度中くらい
忘られぬ恨みと大根引っこ抜け
大根のごと純白の嫁来たる
刺さる箸しんと待ちたる大根(だいこ)かな
妻の機嫌知る大根の卸金
大根は土に白さを育まれ
踊り子の紅き唇煮大根
面取りの角より透ける煮大根
主婦われにおほね一本頼もしき
地のオーラ付きし大根引き抜きぬ
大根の泥を払ひて今日も晴れ
いつ帰ると聞く祖母大根(だいこ)手にもちて
物干しに大根吊るし旅仕度
大根の先に灯台立つてをり
鰤大根因数分解できませぬ
大根や税込価格暗算す
大根のを凌げる葉っぱかな
さくさくと大根刻む赤き爪
大胆に面取り厚き煮大根
なにもかも忘れてしまひ大根抜く
見比べて籠から戻す大根かな
大根や揺れ動くなよペダル踏み
気苦労でちょっとほっそりした大根
どこまでも生暖かき大根擂る
大根をおろし瘧をおさめけり
大根(だいこ)切りやがて忘れし喧嘩かな
大根といへばあら煮や明日も生く
人参がお大根様にもの申す
川ひから千切大根よく乾く
大根やゾーリンゲルの試切り
大根剥く右手の可憐高瀬川
大根に魚が混じる料理かな
大根の皮剥くやうに妻は問ふ
疾風受くなお磐石の大根等
被りものバンダナに替へ大根引く
大根を煮しめ眦決しをり
海風に大根洗ふやぐら干し
もう隠すこともなき沢庵大根
大根畑抜けて身体の軽くなる
大根の先が未来を暗示する
大根の白さ越後の母の肌
大根でチャンバラをする子供かな
大根の鼻駆け抜ける辛さかな
大根と鰤の出会いって奇跡
大根を摺る特急の通過音
大根白し古代に大根売(おほねめ)なる名前
大根の青首ぽんと飛び出して
おでん屋で先ずは大根燗二合
大根の辛さ吐く息なお清め
妹好む味噌汁の実の大根葉
大根の角の煮崩れ雨やまず
銃声は大根の白をふるはせる
逃げましょう今日は大根ではないわ
道沿ひの無人販売太大根
辞して今我と向き合ふ土大根
大根切る意のままに添ふ指狂喜
大根やしぼり汁かけ震えつつ
大根畑ぽつねんとして一軒家
王様は諸説ありますが大根
やはらかに大根透けて鍋の中