きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「夏帽子」__金曜俳句への投句一覧
(7月31日号掲載=6月30日締切)

麦わら帽やパナマ帽、カンカン帽などいろいろな夏帽子がありますね。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2020年7月31日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
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【夏帽子】
コロナ下は置かれたままの夏帽子
紅白の夏帽子手を繋ぎけり
夏帽子園児連なり汽車ぽっぽ
夏帽子中州にのって待ちぼうけ
遠ざかる列車に振れり夏帽子
夏帽子振って雲呼び小海線
夏帽子つばに隠れた白き顔
夏帽子首ひも重しにわか雨
夏帽を被らず婚をせざるまま
夏帽子なんだか妻に逢いたくて
母の手の温もり残る夏帽子
夏帽子さっきバスにいましたよね
夏帽子先生生徒列になり
夏帽子ましろなりけり海ひろく
快気炎吐いている男夏帽子
夏帽子心にポッカリ穴あけて
もう顔も忘れた人の夏帽子
ハンマーを打ち込む男夏帽子
夏帽子昭和平成令和越え
夏帽子古きセンスのダンディズム
夏帽子被れば景色が夏になる
夏帽子謝るやうに眠り入る
黒服と自転車のスタンド夏帽子
散歩には犬に甚平夏帽子
シトラスの香りのつきし夏帽子
どんな夏帽子かぶれどもうひとつ
夏帽子ルージュに覗く糸切歯
夏帽子も三陸沖を見つめてる
駆けてくる黄色いリボン夏帽子
夏帽を回し集むる御勘定
黄昏にくるくる回すパナマ帽
バス電車背に幼の夏帽子
マスクして夏帽子かぶる快男児
膝上の土産に被せ夏帽子
マスクしてソーシャルディスタンス夏帽子
解纜の船見上げたり夏帽子
浦の子の浜への道を夏帽子
稜線に駆け上がる風夏帽子
夏帽子いつも一人でゐる少女
追掛ける突掛けの手に夏帽子
夏帽子わしずかみして応援す
夏帽子ぬれし額に暑き風
岩登り谷間に消えし夏帽子
無理やりに用事作りて夏帽子
ケアハウスへ向かう緑道夏帽子
夏帽の父や棟梁半世紀
免許書の手配写真や夏帽子
車窓際西日遮る夏帽子
夏帽子小津監督を真似たれど
亡き父のつけし形の夏帽子
かずら橋川面に流るる夏帽子
夏帽子捕えてくれし少女かな
夏帽子子どもは仔犬追ひかける
青信号夏帽子の列燦然と
東京五輪の旗持ち夏帽子
美しき母さんなるや夏帽子
蝉時雨誰かが忘れた夏帽子
浜風は錆の匂ひや夏帽子
昼下がり保冷剤入れ夏帽子
釣り好きの父の遺愛の夏帽子
夏帽子風吹き抜けて海近し
夏帽の父一人の乗せ始発バス
碧い海カフェの窓辺に夏帽子
風止んで黒目漂う夏帽子
夏帽子隣人愛す心かな
ホルン吹くアルプス席の夏帽子
バラバラに地表を動く夏帽子
夏帽子長旅続きに草臥れて
送金は西側へ行く夏帽子
夏帽を脱いでまた見る我の影
水筒と双眼鏡と夏帽子
ふと匂ふ汗病室の夏帽子
夏帽子イヤホンのまま風を聴く
モノクロの街にとどまる夏帽子
夏帽子風より軽く空に舞い
農道の自転車飛ぶ夏帽子
佐渡航路カモメ嬉しや夏帽子
夏帽子わが古里は多島海
老に席譲りて笑める夏帽子
夏帽子草刈る香りのまん中に
夏帽子風に河原を転げ行く
ブレーキが会話して居る夏帽子
夏休み虫網持って麦わら帽
夏帽子風吹き抜けて海近し
まだ山を登れた母の夏帽子
起き抜けに呼鈴鳴りて夏帽子
夏帽や夕日崩るるコロッセオ
夏帽子潮の匂いをつけて脱ぎ
夏帽子猫の寝鍋となりにけり
少し斜にモンマルトルの夏帽子
夏帽子うなじの汗に砂混じり
夏帽子掛けてお見合い始めけり
夏帽子白さまぶしき乙女たち
夏帽子ふわり吹かるる白き浜
パリの旅往くかに母の夏帽子
人疎らゼロ番線の夏帽子
夏帽子目深失投痛打さる
木陰でのまどろみ顔に夏帽子
コロナなき昨夏を被る夏帽子
いま釣りし魚の血にじむ夏帽子
ナフタリンの香の抜けきらぬ夏帽子
塩味のしみた夏帽イルカショー
我が家には似合わぬものか夏帽子
はてしなき夜空に一人夏帽子
攫われて三千尺を夏帽子
夏帽子出会いは初の同期会
パナマ帽ほほえみだけを持つてをり
学童の街を学ぶや夏帽子
夏帽かぶり涼宮ハルヒを訪いに
麦わら帽子をかぶるきれいな人
朔北の過客となりて夏帽子
遠ざかるバイカル湖岸夏帽子
宴席の椅子にかけられ夏帽子
夏帽子行きたいとこへ行く今日は
夏帽の影やわらかに石段下る
夢に居た若き日の父夏帽子
夏帽子かぶれば靴を脱ぎ水辺
夏帽子さげて一礼太平洋
日曜の廃品回収夏帽子
夏帽子揃ってターフひと巡り
散歩して空に愛ある夏帽子
夏帽子列車乗り継ぎ故郷かな
夏帽子ブラスバンドの音合わせ
断捨離を終へ残りたる夏帽子
降車して駆け寄るきみや夏帽子
飛行隊仰ぐ園児の夏帽子
夏帽子バス待つ人の赤き爪
夏帽子波にさらわれ泣きしこと
夏帽子去年失くして又今年
夏帽子青ひと刷毛の雲間かな
鍬の柄に麦藁帽子掛けて昼
谷底へ舞ひ降りてゆく夏帽子
目つむりて湾を見おろす夏帽子
夏帽子置けば渚の伸びにけり
草むらに見え隠れする夏帽子
海までの道の広がり夏帽子
現場には夏帽子だけ残されて
夏帽子娘のお古をどうしよう
待ち合わせ阿弥陀に被る夏帽子
夏帽子姉のおさがり匂ひ嗅ぐ
夏帽子落ちてシンバル響きけり
鏡みて目深にかぶる夏帽子
地平線より駆けてくる夏帽子
少年の目が輝ひて夏帽子
砂浜へ寄せ来る波や夏帽子
逃げて行く笑顔追いかけ夏帽子
夏帽の転がる他に何もなし
夏帽子かぶり微笑む遺影かな
絵葉書の丘に風知る夏帽子
振り返る気配も見せず夏帽子
海と空の薄きあはひや夏帽子
夏帽子まぶか眼を見ぬ逢瀬かな
現世の定位置に置く夏帽子
今までの帽子を夏帽子と呼んで見る
青空に放り投げたる夏帽子
プラカード夏帽子より高く上げ
歩き方そっくり揺れし夏帽子
背中にて答へてをりぬ夏帽子
坊主刈り額に痛し夏帽子
宙返りひとつ夏帽子は海へ
わたくしの背骨にとまる夏帽子
夏帽子風にあおられ渓谷へ
サイコロで決める乗り換え夏帽子
空の青見上げて選ぶ夏帽子
夏帽を地に駅前の弾き語り
飛びそうで飛ばぬ夏帽パリジェンヌ
夏帽子辺野古の浜を埋め尽す
似顔絵の客となりけり夏帽子
ていねいに生きる男や夏帽子
夏帽子洗つて干してまた被る
グランドに溢れし子らの夏帽子
駅ごとに江ノ電放つ夏帽子
那須の旅ハワイで買った夏帽子
潮騒へ向かふまぶしき夏帽子
財布の底ぬけてもかぶる夏帽子
笑ひつつ君に追いつく夏帽子
老健な画伯の伴の夏帽子
麦わら帽脱ぎて一服野良の父
次々発に伸ばす見送り夏帽子
夏帽子脱ぎて額を拭う妻
夏帽子上手に老いる秘訣らし
夏帽子川の中州に独りきり
取り出せば旅の薫りの夏帽子
パナマ帽地球儀にかぶせカリブ海
砂浜へ寄せ来る波や夏帽子
夏帽子ターナー島を眺めけり
色褪せた緑のリボン夏帽子
いつも買ふ似合はぬままの夏帽子
夏帽子薄荷畑に紫の風
ステッキを間違へ夏帽子忘れ
外で会う少女美し夏帽子
地平線にきえたる白き夏帽子
夏帽子橋の袂の樹で停まる
夏帽子遺品としてはそれ一つ
前日に宮崎アニメ夏帽子
峠茶屋誰(た)が忘れおり夏帽子
リボンとく麦わら帽子白い指