きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「柏餅」__金曜俳句への投句一覧
(4月30日号掲載=3月31日締切)

端午の節句と言えば柏餅ですよね。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2021年4月30日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂さんの選と比べてみてください。
『週刊金曜日』の購入方法はこちらです

電子版も発行しています

amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。

【柏餅】
仏壇の母が遠くに柏餅
柏餅割っておおきなほうを取る
十五歳父の背超えたり柏餅
往診のあとに招ばれて柏餅
黒猫の眼にふたつ柏餅
晴れきらぬ空を見上ぐ子柏餅
穴一つ弛めるベルト柏餅
柏餅妻に隠れて買つて食ふ
八十路には祝われるごと柏餅
男子たる食べ方健在柏餅
暫くは居間に置かれて柏餅
柏餅五十回忌の供物とす
よき夜の風を戴く柏餅
戦争のない夢を見て柏餅
青空のまん中にいて柏餅
破綻せし肩叩き券柏餅
家系図のあみだくじめき柏餅
柏餅食へばグローブ臭き手や
手に余る志野の大皿柏餅
裏山の香りでつつむ柏餅
柏餅おのが家紋を噛みほぐす
かぶりつくしかすべのない柏餅
黙礼の父の手窪へ柏餅
エラーせし子から配りぬ柏餅
五十路にもまだまだ艶の柏餅
億千の歩きたき道柏餅
味噌餡の裏葉包みの柏餅
千代田区の真つ只中の柏餅
テイタイム男の手延びる柏餅
柏餅ほぼ同じ歯で噛んでいる
青き葉に包む真白の柏餅
ほんのりと紅い生地なり柏餅
ほろ酔いに騙され柏餅開けて
柏餅遥か遠くの葉の匂い
柏餅もの云ふやうに供へられ
ウオーキングの消費カロリー柏餅
柏餅久留里の城は安普請
おめでとう社会人だね柏餅
柏餅ながれる水の澄むところ
木の皿の余白しらしら柏餅
仏壇にじんわり乾く柏餅
組合で終はる定年柏餅
柏餅一個足らざるとてさわぐ
柏餅つぶ餡求む三軒め
柏餅終生俺は反抗期
五代目の南京錠や柏餅
柏餅柱の傷は重なりて
後家さんの饅頭屋さんの柏餅
王手なりぴしと勝鬨柏餅
なき母の面影忍ぶ柏餅
柏餅葉っぱを剥がして半分こ
今はまだ秘める闘志や柏餅
馴染み客ひとつおまけの柏餅
両党の酒のつまみや柏餅
柏餅喧嘩買ひたる舌冷やす
五つ子のブーム懐かし柏餅
平安の童子の額かしは餅
休憩の棟梁に出す柏餅
どちらかを選ぶとしたら柏餅
医者に止められし柏餅を匂ふ
あを空を映し込んだる柏餅
柏餅びたんと力士はたき込み
触れたきは嬰児の肌柏餅
柏餅食べたと記す父のメモ
ちんどん屋のうしろが好きで柏餅
くちびるにつめたし柏餅の皮
タピオカは世間に任せ柏餅
日の落ちて残りひとつの柏餅
同性と遊ぶの楽し柏餅
海みえてボックス席の柏餅
単線に揺られ山見る柏餅
柏餅見て見ぬふりの男の子
電車好き今も変はらず柏餅
酒呑んで甘味ひとつに柏餅
胸張ってラジオ体操柏餅
潮風を包むかのやう柏餅
屁理屈は兄のお下がり柏餅
野仏に静かに置かれ柏餅
ひねた葉のへらへら笑ふ柏餅
甲斐なまりの女将手作り柏餅
大物や葉から食ひつく柏餅
柏餅せいろの湯気も香りをり
たくさんの鳥の鳴き声柏餅
山帰来丸い葉つかう柏餅
少年はよく領きて柏餅
甲子園の外野スタンド柏餅
柏餅孫が食わねば墓土産
野良仕事休憩中の柏餅
連休もあと二日なり柏餅
柏餅蛇の抜け殻棒で突く
柏餅葉の乾くまで喋り居り
いつまでも温帯であれ柏餅
肩車子にされかけて柏餅
弟は兄を抜きたき柏餅
親離れしたき十五や柏餅
居ながらに青の季節へ柏餅
柏餅すけて見へたる腹の黒
柏餅食べてたつぷり午後余る
白味噌を野趣にくるんで柏餅
妹の子は男の子柏餅
窓そとに自転車ひかる柏餅
今はまだ傷ひとつなき柏餅
年取れば柏餅さへ禁じられ
産土のちからを貰う柏餅
子を生さぬ静けし暮し柏餅
古き槍飾る長押や柏餅
手習いの文鎮代わり柏餅
柏餅まだ余裕ある受験生
大波も小波もありて柏餅
なによりも彩り愛す柏餅
自転車は兄のお下がり柏餅
磨かれし古ショーウィンドウ柏餅
なにくれとよく喋る子の柏餅
手のひらにずしりと重き柏餅
自転車にやっと乗れた午後柏餅
初恋は木登り坊主柏餅
向学心密かに燃ゆる柏餅
職人の腕に火傷の柏餅
柏餅持ちて家族の如き客
山下りて里の雑貨屋柏餅
柏餅武士の情けを説いた父
柏餅分けし弟に背丈負け
柏餅をこっそり口へ養老院
柏もち小兵力士の技あまた
ビニールの葉もよしとせし柏餅
柏餅応援のため9個買い
在りし日の畳の匂ひ柏餅
手包みの嵩の程よき柏餅
求人欄に包まれ母の柏餅
柏餅惑星の名を唱えつつ
柏餅はちきれそうにふくれおり
柏餅Tokyoの人すぐ並ぶ
赤坂の夜に名代の柏餅
多彩なる柏餅売る城下町
機関紙に勝利の文字も柏餅
食べ終へし葉の大きさよ柏餅
餅と餡分けて喰うくせ柏餅
また一つ目指す頂き柏餅
かしわもち子は大きさを競べおり
柏の葉不揃いの餅手で包み
甥つ子の照れ屋で無口柏餅
姉妹みな長寿の家系柏餅
爺婆の手作り古葉柏餅
死にぎはの父のくちへと柏餅
力瘤のまだでぬ腕柏餅
柏餅未だ食めぬ子二人をり
つぶあんの柏餅好き左党なり
主菓子に風も香るや柏餅
子らの顔思い浮かべり柏餅

【不明】
彼方から葉桜眺めるだけにして
信仰は葉桜教と言ふべきか
葉桜や分派活動いましむべし
風呂場でのラムネの飲みつこ今も猶
ラムネ飲み風呂場の音が聞こえ来る
ラムネから何の匂ひを嗅ぐ私
歩き行き落書きに逢ふ葉桜裡
葉桜を一枚ちぎり持ち歩く
幸ひはラムネを飲むとき眠る時
仲間と飲む部活の後のラムネかな