きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「ボート」__金曜俳句への投句一覧
(5月27日号掲載=4月30日締切)

ボートは郷愁を誘う季語ですね。みなさんも想い出があるでしょうか?一方、ボートレースと言えば各大学や企業などの対抗レースで、多くは4月に行なわれるため、春の季語となります。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2022年5月27日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【ボート】
湖と空の間をボート漕ぐ
貸ボート時間超過に水飛沫
陽のあたるボートの水脈と怖い幸
恋ボート漕がずささやき合ふばかり
ボート漕ぐ水脈美しく美しく
白鳥ボート白鳥の棲む堀にうく
ふくらはぎ硬しボート部女子二名
ソバカスは水玉模様ボート漕ぐ
レガッタや青春といふ人もあり
ボート浴ぶ神のしぶきや高千穂峡
舳先ふらつくカップルのボートかな
ボート漕ぐ沖にパナマの貨物船
二人乗りボート唐橋色褪せて
ひとりきりスワンボートを漕ぎいだす
ボート乗る喫水線を気にかけて
競漕の櫂は鋭く水削る
着岸を巡る駆け引き貸ボート
青い湖(うみ)ボートの青春胸の中
ボート降る余裕の櫂の先赤し
うかうかとスワンボートに老ひにけり
舫われてボートに風の名残かな
いつかうに進まぬスワンボートの恋
レガッタの風を切り裂くオールかな
白鳥のボート足掻きを隠せざる
土曜日の公園ひとりボート漕ぐ
八本のオールの揃ふシェルボート
一人ずつ飛び込む優勝ボートかな
その型の空間連れて行くボート
デート近し少年ひとり漕ぐボート
引退の話などしてボート漕ぐ
ボート積む艇庫に水のしずくの香
膝小僧並べてボート漕ぎにけり
適当に流されてゆくボートかな
ボート漕ぐボートの底の真砂かな
貸ボート鎖を鉄色のしづく
花嫁を乗せてボートに祝唄
水流の激しくボートは怒りだす
掻い掘りのボート顕わに腹見せて
ボート漕ぐ背中の風に押し進み
ひたすらにボート漕ぎけり岸目指し
カフェの客に見つめられてるボートかな
暁の湖畔にボート裏返し
ボート揺れ口げんかしてそのまんま
乗るときに最も揺るるボートかな
浜名湖を切り刻みゆくボートかな
夜のボート湖に浮かぶは空に浮く
昨晩の雨の溜まれりボートかな
東かと思えばたちまち西へボート行く
ボート漕ぐ膝裏にひかりの滾り
鉤の手で岸に引き寄すボート番
競漕の鋼のかひな揃へたる
待ち侘びて一人漕ぎ出すボートかな
逆風のボート漕げども漕げどもよ
スカール載せ水の張力均衡す
肩越しに臨む未来や貸ボート
水の上に陰なかりけり貸ボート
ボート漕ぐ水の碧さを畏れつつ
ボート数ふ間もなく渡る瀬田の橋
ボートゆく水の牙城を壊しつつ
舳手(バウ)の娘のボート蹴り出す晴れ姿
ボートから渚ではなく城下町
足漕ぎに飽いてボートの小休止
ボートかろし艫にセーラー服の乗る
白き波ととのひボートの舳先かな
二周目に子らのボートとすれ違ふ
ボート漕ぐ車椅子よりゆつくりと
手の皮が剥けてしまへりボート漕ぐ
ボート見て筋肉質の男かな
武将乗るボートと思ふボートかな
あたらしい夕日のやってくるボート
一羽翔つのちしづかなるボートかな
沈黙はボートにこもり可燃性
櫂立てて栄冠誇るボートかな
モノクロの写真にボートを漕いだ友
爆裂の音や飛沫やボートレース
ボート漕ぐ背中を風に撫でられて
この浜の家々ボートある暮らし
ボート漕ぐ反り身無防備なるや午後
ぎこちなき会話のあはひボート漕ぐ
競技するボートは神事で祓えられ
すこしづつ水の入つてくるボート
笹ボート蛙をのせてどこへやら
ボート漕ぐ恋のボートをかはすべく
大橋をはるかに見上げボート漕ぐ
スパートのボートの舳先水を分く
風の押すボートに吾の無力かな
ボート漕ぐ小型ラジオは鳴らさずに
己が影乗せ真つ青へボート出す
告白のチャンスは過ぎて貸ボート
ボート漕く若き笑顔と共白髪(ともしらが)
浜にあるボート傾き日向の香
艇庫よりボート出す腕逞しき
ボート部の小屋はアジトのやうに牌
捨てボート夜通し軋む山の宿
水影が衒ふボートの頬白し
お濠端白いボートで初デート
ボート漕ぐ君の笑顔は陽となりて
水満々ボートの縁にひたひたと
君の漕ぐボートきりきり回るのみ
水底にしずみゆく舟櫂もなし
掻い掘りのボートの腹に見る苦労
君のためだけにボートを漕ぎにけり
ボート乗る湖上に二人だけの風
半分は伏せられてゐる貸ボート
愛妻の指示は細やかボート漕ぐ
独り漕ぐボート流され霧に紛れ
トラックでボート運ばれ曇り空
まつすぐに湖心へ向かふボートかな
すれ違うボートの荒き呼吸かな
君と漕ぐボート湖水の真ん中に
ボート漕ぐ大海原の片隅で
さざなみを浴びてボートに影ふたつ
すれ違ふ恋のボートの寡黙なる
帝大の誇りを継ぐや漕艇部
ひと漕ぎで瀬田を切り裂くボートかな
後ろ向きでガッツポーズの勝ちボート
艇庫より運ぶボートへ湖の風
ピースボート何処へ向かうこれからは
ボート寄せみたらし団子買ふ日和
息合はぬまま貸しボート進みけり
ボート部の眩しき背中三角筋
日輪へボートの進路定めたり
七色のしぶきを立たせボート漕ぐ
囚人のごとくボートのつながるる
岸に着けば別離ボート逡巡す
しゃくりあげてボートわづかに傾ぎけり
難破したボート繋げておく小指
ボートへと誘わぬ男さようなら
白きボート眼下にのびゆく然別湖(しかりべつこ)
教会の南眩しきボートかな
紺碧(こんぺき)に白きボート歌乗せて
ボート漕ぐ汽水湖の青空の青
すれちがふボートまどかに尾を重ね
競漕の水面の舞台風磨く
雑魚ばかり釣れるボートを借りたらし
白鳥のボート散らばる湖水かな
ボート漕ぎ雫の光り君が笑み
戻るボートも沖に夕日の一艘も
ボート漕げば翅音の岸のよぎりけり
数挺のボート真下に瀬田の橋
蒼穹へボート漕ぎだす聖少女
オーレの掛け声揃ひボート漕ぐ
魚の群ボートの軌跡擦りゆく
月曜の噂の種のボートかな
群れをなさざる白鳥のボートかな
救急車遠く聞こゆる貸ボート
ボート番空の青さを持てあます
老妻を誘うてみたるボートかな
よく見えるボートの澪や観覧車
裏干しの如きボートや明けの風
オールあげ寝そべるボート碧い空
信号はみな青湖をゆくボート
ボート漕ぐ赤銅色の裸体かな
高波にやられしボートうらがえし
若き日の父頼もしきボートかな
ピアス揺れスワンボートいざ出航
向かい合うボートの君はより遠く
初めてのボート漕ぐ子ら右往左往
ボートゆく梢を滑り雲分けて
木陰よりボート静かに滑り出づ
貸しボート十三号の見当たらず
たらい舟やっぱりボートが漕ぎやすい
ダムカレー大盛もあるボート小屋
泳げぬとボートの彼女言い出しぬ
ボート漕ぐ水面の富士をゆらめかせ
増水の湖水のボート君と我
不忍の池のボートへ初デート
凪ぎたるやボート向かひし島に墓
男乗せ女すましてボート漕ぐ
失速のボートに光みだれだす
さようならアッシャーさんの貸ボート
諍いの二人でボート波高し
玉響のボートの揺れの無礼講
ボート漕ぐ信ずるに足る太き腕