兼題「穴子」__金曜俳句への投句一覧
(6月24日号掲載=5月31日締切)
2022年6月21日5:28PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
穴子料理は関西が本場ですよね。夜釣りで獲るのが一般的です。
さて、どんな句が寄せられたでしょう。
選句結果と選評は『週刊金曜日』2022年6月24日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
【穴子】
江戸前の穴子すらりと裂かれたり
高砂の出張土産焼穴子
永かりし来し方捧げ穴子釣り
ぶつこみの重りの飛沫穴子釣
瀬戸内の漁港暮れたり穴子飯
大海の情報くれし穴子かな
父子ともてらてらの唇穴子鮨
港町うちわにあおぐ焼穴子
骨削がれ了へて平たき穴子かな
酔客に穴子の皮を刻みをり
江戸前の名に違はぬは先づ穴子
播州と羽田沖あり焼穴子
竹串も少し焦げたり焼穴子
訳ありの女焼きたる穴子かな
板前にまな板の穴子身をよぢる
串打ちは二代目の技焼穴子
潮風の潮騒となる穴子かな
老漁夫の仮寝三分穴子釣り
穴子めし外国人と相席す
有明の夜風をふくみ穴子鮨
まな板の端に沿はせる穴子の背
柔らかき稚児の頬めく穴子かな
引き笊へ江戸前謳歌せし穴子
俎の目打ちの跡に穴子の血
背か腹か穴子開くに迷ひけり
白飯を覆ふ天ぷら江戸穴子
穴子食べ走る力を付けて行く
水槽の穴子ギョロリと睨みけり
穴子飯トンネル続く予讃線
寿司飯の上に寝そべる穴子かな
大いなる穴子の穴に穴子かな
反る穴子均すごとくに捌きけり
白飯の隠るるほどの穴子かな
穴子焼く花紺色の相模灘
穴子焼きし海は満ちたり赤鳥居
穴子筒まだ隠れいる三匹め
煮穴子は良き夢導く予感あり
道あればここというごと穴子の香
沖の船明かり揺らげり穴子釣
江戸前の夜の底に置く穴子筒
子午線の風に香るや焼穴子
夕舟や穴子の海の蠢きぬ
通り過ぎ穴子の香りで引き返す
澄んだ目をしてをる夜の穴子かな
釣り針の残れり頭焼穴子
薬局の裏に路地あり穴子飯
地球釣るやうに穴子の強かに
捌かれしことを知らずや大穴子
遺言の掟破って穴子飯
裂かれた意識あらぬ間の裂き穴子かな
穴子鮨ちょいと小骨の残りたる
穴子鮨幟目指して裏通り
江戸前と云ふ触込みの穴子飯
あつさりと穴子天麩羅抹茶塩
穴子焼く継ぎ足す垂れに穴子の香
どちらかと言えば穴子の方が好き
散らし押し握りに迷ひ穴子買ふ
最後から二番目に食む穴子鮨
月光に烟り穴子の釣られたる
客船の索条太し穴子の夜
気分よく酔いし土産の穴子鮨
焼穴子食べて精力つきまくり
あの美味い店穴子は長く親父は丸く
どうなんそれ蛇は嫌いで穴子丼
うつ伏せの人の背めくや穴子鮨
携帯はOFF半夜の穴子釣
持て余す大穴子なり昼の酒
穴子めし産後の妻へほどく紐
大型の穴子入れたる手巻き寿司
焼あなご勝鬨橋の夕まぐれ
庭先の七輪で焼く穴子かな
うつくしき穴子のつゆの光かな
山積みの穴子はセールアジア店
正座せしあの日の父の穴子飯
家で食べ穴子の骨を感じ取り
暇なので泳ぐ穴子を見て居りぬ
たそがれの炭あかあかと穴子焼く
陸風や穴子ほどよく煮えし頃
さっぱりは関西好み焼穴子
穴子飯手に入れ独り列車旅
穴子にはタレが決め手と若大将
穴子食ふ夜がひるんでいるときに
自費出張今日もホテルで穴子飯
内々定貰ひて穴子食ひにけり
こんな日にひとり穴子を食べている
穴子釣一陣ぬるき風の闇
穴子鮨億ション族の遠眼鏡
蘊蓄を二三加へて穴子飯
捌かるる穴子の頤のかくかくす
海鳴りのごとき穴子に塩振りき
捨てられし穴子の頭に神宿る
A型の姫路の姉と穴子飯
俎板を斜めにつかふ穴子かな
穴子丼見る間に貪り吐息つく
煮るか焼くか釣れぬ穴子を算用す
穴子にて寿司の良し悪しわかるらし
ツン猫のデレとねだるは穴子飯
好きなもの真っ先に食べ穴子寿司
沖よりの雨に目覚める穴子かな
鈍行の窓枠狭し穴子飯
穴子釣り東京湾のひろきこと
かひなからこぼえていたりうみうなぎ
煮穴子の箸に崩るる甘さかな
愛犬も鼻近づける穴子かな
穴子割く明るきまでの手早さに
鰻より粋な白焼穴子かな
窓そとの闇は真四角穴子煮る
丼から半分はみ出し穴子天
指の腹垂れに濡れけり穴子鮨
煮穴子の残り汁ぶっかけ御飯
穴子めし新喜劇目にほほばりぬ
けばけばの穴子の艶にぐらと来る
生食えぬ連れはカッパと穴子鮨
吟醸の冷やが一番穴子焼く
捩れてはひかりにまみれ穴子釣
風が出て白き穴子に箸沈む
穴子あり銀座の路地の蕎麦屋さん
注文し穴子を待てば漫画読む
参道の秘伝のタレの穴子飯
真穴子の味を包んで天麩羅屋
相席で昼限定の穴子食ぶ
いきなりの出張穴子飯を買ひ
食卓の日に手を置いて穴子蒸す
海峡に待つ人ありて穴子めし
日本橋江戸前穴子専門店
朝遅きどぶ板路地の焼き穴子
太鼓橋わたつて食べる穴子鮨
カウンターに穴子天丼出で座せり
江戸湾の穴子天婦羅時をこえ
草刈りの長靴脱ぎて穴子鮨
楽しみだった全長の穴子鮨
この世をばいつまで生きる穴子飯
煮つめ塗るまろき背中や穴子寿司
亡き父の稀な笑顔よ穴子寿司
白飯を穴子天ぷら覆ひけり
先輩の奢りは江戸の穴子鮨
須磨沖に夜通し灯る穴子舟
なめらかに十指使ひて穴子割く