薔薇の芽の色は花の色によって違いますよね。３月になると芽が出始めます。

さて、どんな句が寄せられたでしょう。

選句結果と選評は『週刊金曜日』２０２３年２月２４日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部（伊田）までご連絡ください。

【薔薇の芽】
薔薇の芽の裂けて密やかなるひかり
薔薇の芽ややつと新車のおろされて
薔薇の芽やまだ朝焼けの五分前
薔薇の芽のことなど午後の紅茶かな
薔薇の芽や風の愛撫を受けながら
苔を踏み薔薇の芽を見て触れて見る
薔薇の芽や今ひっそりと修行中
ショッピングモールに薔薇の芽の静か
薔薇の芽を棘と間違へぬ様に触れ
薔薇の芽の英国訛めく喃語
薔薇の芽や会釈の美しき令夫人
金星へ薔薇の芽二尺近づきぬ
薔薇の芽やまれなる香を隠しおり
新しきネクタイ薔薇の芽の淡さ
薔薇の芽の薄紅にとがりをり
薔薇の芽や昼に乾きし天使像
薔薇の芽や被爆マリアの笑み静か
薔薇の芽や港の見える丘の椅子
薔薇の芽や病棟勤務一年目
薔薇の芽の未だ開かぬ固き芯
薔薇の芽に驚き笑みし朝かな
薔薇の芽の火色ふるびず雨夜かな
湯けむりに薔薇の芽吹くを見え隠れ
薔薇の芽や選句のペンの滞る
しめやかに両目を涸らす薔薇の芽よ
これほども剪られてなほも薔薇芽吹く
薔薇の芽や坂の洋館までの距離
薔薇の芽やこんな時こそ一雨を
薔薇の芽や色とりどりのランドセル
一枝の薔薇の芽に名を付けてをり
薔薇の芽や紙ひこうきは雨に濡れ
薔薇の芽の脇に控える騎士の棘
薔薇の芽のプロテスタントめく一派
葉をつけず恥ずかしからん茨の芽
薔薇の芽や翳りの強きあまた棘
薔薇の芽や今日の占い信じない
村雲のこじれて薔薇の芽と棘と
校門のマリアの像や薔薇芽吹く
薔薇の芽や自律神経やや乱る
薔薇の芽も試練の日々に立ち向かふ
薔薇の芽やことのは選び打ち明ける
主なき薔薇の芽紅くやはらかく
薔薇の芽やさまざまな色秘めてをり
石狩へ赴任せし朝薔薇芽ぐむ
薔薇の芽や信号渡る園児の手
薔薇の芽をふくめば淀みなき御空
薔薇の芽に囁きかける微風かな
薔薇の芽や棘の痕消え子は二十歳
水吸うて薔薇の芽育つテスの家
薔薇の芽や湿り気の無き祖母の指
意地っ張り薔薇の芽のごとまっすぐに
雨粒に狙はれている茨の芽
薔薇の芽を触れない様に抒情する
血の色で薔薇の芽すでに甲高し
薔薇の芽や海馬の奥の砂時計
薔薇の芽は深紅シェルターは教室
旅立ちの君を見送る茨の芽
薔薇の芽の膨らみ重し きのふけふ
薔薇の芽の固さたしかむ人差し指
終活は百超へてから薔薇芽吹く
薔薇の芽やカッカッカッと軍靴の音
薔薇の芽の朝焼けほどに色づきぬ
妻は妻われにはわれの薔薇の芽や
旅に出てつい薔薇の芽を見てしまふ
薔薇の芽のやがて全き紅の色
薔薇の芽の棘に守られて柔らかし
行く末は図り難かり薔薇芽吹く
薔薇の芽や若き剣士に囲まれて
薔薇の芽の棘よりも鋭く尖りをり
薔薇の芽に明日の戦の気配問う
指先に血の濡れてゐる野薔薇の芽
夜すべて夢をしたがへ野薔薇の芽
趣きのある空地なり薔薇の芽と
薔薇の芽や君刺す言葉探してる
植物園薔薇の芽あまた蠢けり
保育士になる吾が娘薔薇芽立つ
薔薇の芽のくれなゐ深き夕に透け
薔薇の芽の悪魔に見ゆる地上かな
薔薇の芽や君の意地悪嬉しくて
薔薇の芽の旅人の我取り囲む
早暁の清き矛盾よ薔薇芽ぶく
少年の額の傷よ薔薇芽吹く
薔薇の芽や庭に信楽焼の椅子
牧水の失恋の歌碑茨の芽
薔薇の芽や老人俄かに動き出す
薔薇の芽や小筆の先の紅に似て
薔薇の芽や採血痕のにじみけり
薔薇の芽の紅色古き茎の先
薔薇の芽の三鷹の空を支えたる
尖る薔薇の芽に傘さしかけてやらむ
薔薇の芽の小雨に濡れて光帯び
薔薇の芽と同じ色してリスカ痕
薔薇の芽をつぶしたくなる午後三時
薔薇の芽や画像は赤と青い空
薔薇の芽の小雨に濡れて柔らかき
薔薇の芽の小さきを小さく詫びて摘む
終活を終えてひと息茨の芽
薔薇の芽に触りたきとも棘阻む
病む友へ画像に赤き薔薇の芽を
薔薇芽立つ大事なことは遅れけり
小説は薔薇の芽添へて始まりぬ
薔薇の芽や入試結果の時刻を待つ
薔薇の芽を冷たき滴零れをり
薔薇の芽のつんと上向く小雨ふる
薔薇の芽の赤に秘めたる未来かな
薔薇がこの貧しき国へ発芽せり
薔薇の芽に低き浦上天主堂
新しき季節すぐそこ薔薇芽吹く
薔薇の芽や隣りは黄色うちは赤
ばらの芽は陽を夢見ながらまどろめり
薔薇の芽や日向のベンチわかちあう
薔薇の芽の先に修験者赤く行く
薔薇の芽やまっすぐ擦れたハイヒール
薔薇の芽やジャムおじさんの作る顔
薔薇の芽や漫画売る人絵売る人
赤子の乳まるで薔薇の芽タオル巻く
言葉待つ姿で薔薇の芽の並ぶ
お日様に透かした薔薇の芽に血潮
薔薇の芽や容赦なく捨つ悪き子は
ウィリアム・モリス薔薇の芽描かず
夕風のつと薔薇の芽を触れ返す
薔薇の芽や新居に白き家具揃ふ
芽吹くより深紅の薔薇の芽の紅き
薔薇の芽や子象の鼻の好奇心
薔薇の芽は風を煮詰めて家出の子
薔薇の芽に海の微熱のまとはりぬ
薔薇の芽やほんのりほんのり紅のいろ
洋館の野面積なり茨の芽
幸福の王子の絵本薔薇芽吹く
薔薇の芽のそのやさしさは嘘つぽい
薔薇の芽と程よき距離に薔薇の棘
薔薇の芽やしんと飛び散る鳥の群
フェンス古りいよよ新しき薔薇の芽だ
薔薇の芽や古い映画に今の人
薔薇の芽や古き教科書括りけり
薔薇芽吹く手に掛くほどに愛しけれ
薔薇の芽の日差し待ちかねいたるごと
薔薇の芽やふくらみそめし真紅
薔薇の芽や石ころさへも柔らかく
團十郎の襲名や薔薇芽ぐむ
薔薇の芽や庭に温泉調査員
幾百の薔薇の芽を雲覆ひけり
雨脚の森に果てたり茨の芽
薔薇の芽に似る合掌や聖歌隊