きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「梔子の花」__金曜俳句への投句一覧
(6月30日号掲載=5月31日締切)

梔子の花は6~7月に咲きます。強い芳香が印象的で、白色一重または八重ですね。梔子だけでは実のことになりますので、花とわかるように詠む必要があります。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか?

選句結果と選評は『週刊金曜日』2023年6月30日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【くちなしの花】
泣きなさい梔子の花褪する間に
くちなしの花教会を孕みけり
くちなしの花白く浮く夜道かな
梔子の花カップ麺箱で買ふ
くちなしの香よりおチビや書道塾
梔子の花の純白捧げけり
梔子の花台無しにして酒手
梔子の花をよぎりし鏡裏かな
くちなしの香や保育園の夜
黒まみれ鴉の口のくちなしの花
くちなしの香る薄暮の雨上がり
くちなしや新婦のマタニティドレス
くちなしの香のきつすぎて女どきかな
梔子のつぼみ解けて風通ふ
暮るるほど梔子の花白極む
くちなしの花雪白に下り闇
山梔子の花に近づきすぎる我
教卓にくちなしの花くらつとす
夜気潤むくちなしの花咲きにけり
くちなしの花に肌のぬめりかな
くちなしの花のコサージュ手作りと
無口な人は山梔子の花が好き
くちなしの花や三女の綿帽子
兜太亡き代にくちなしの花咲けり
梔子の花月光の香を放つ
梔子の花より夜の崩れゆく
あるじなきくちなしの花のさみしかり
病む人に梔子の香のあまりをり
銭湯やくちなしの香の袋道
疑惑事件くちなしの花が咲いている
くちなしの花香る日の墓仕舞
くちなしの香をうやむやとせし夜雨
気が付けばくちなしの花其処此処に
くちなしの花に錆ゆく我が身かな
最後はいつもいつもくちなしの花
梔子の花むらに飛び猫香る
旭日にくちなしの花白衣立つ
ひと訪ひきくちなしの香を訪ふごとく
梔子の花や厨のカレーの香
くちなしの花や見事な腕の筋
くちなしや香りもろとも雨滴落つ
宵迫るくちなしの花白々と
くちなしやきつときつとぞまた会へる
老残のくちなしの花ここにあり
梔子の花のにほひを見てをりぬ
くちなしの花や代わりの利かぬ人
くちなしの花や片恋胸を突く
土砂降りにくちなしの花透きとほる
手を掛けぬくちなしの花香り立つ
なかんずく梔子の花の静かかな
くぐる門くちなしの香に染めらるる
梔子の螺旋を解くより毀る
くちなしの花碁会所に石の音
くちなしの花目にとまる夜の道
くちなしや退職の朝に一礼
くちなしの花は黄色へ試験終ふ
公園のくちなしの花に鳩が寄る
白みたる夜やくちなしの花の香よ
月光の花梔子の白さかな
くちなしの花や日蔭のできぬ庭
くちなしの花思いをすべてまき散らし
梔子や寡黙なあなたとティータイム
鶏鳴にくちなしの花揺れにけり
くちなしの花の小さやミニ盆栽
梔子の花の香りや縊死の家
くちなしをつむりに被せ白頭巾
梔子の花それぞれの株安く
くちなしや平凡に生き高齢者
くちなしの花の真白きけふの朝
梔子の花の香まとい白帽子
橋の先までくちなしの花盛り
集団の遊戯くちなし色である
くちなしや人は嗅ぐとき上を向く
くちなしの花へ知らずに足が向く
今世にて梔子の花咲かせけり
くちなしや消したき過去を持つ女
透翅や梔子に口与へをり
くちなしの花かの人の思い出に
梔子の烏夜の奥より匂ひ立ち
抱かれてくちなしの花かほりけり
くちなしの花白映ゆる寛解期
喪服脱ぐときくちなしの仄かな香
虫が付く少女もくちなしの花も
梔子の花の門より郵便夫
くちなしの花の香りに迎へられ
梔子の花の香庭を蹂躙す
雨色に白足せるくちなしの花
くちなしの花のつぼみの清々し
陽が落ちていつものところ梔子の花
くちなしの花漂ひて火の時間
くちなしの花の姿の白頭
濡れそぼつ梔子の花ありにけり
梔子の花や薄暮は足の先
くちなしや土に還れぬ指環あり
くちなしの花へ訛りのないひかり
リハビリやくちなしの花甘やかで
梔子の花や帝国こはれゆく
くちなしの花の匂ひや訃報来し
誘はれて路地に入ればくちなしの花
演歌のやうな雨にくちなしの花
梔子や錆びてかほりのなほ深し
白磁似たくちなしの花今朝散りぬ
くちなしの香を付けそっと戻りけり
以心伝心の香やくちなしの花
大江逝き滂沱の涙くちなしの花
くちなしの花の香りやヴァンパイヤ
くちなしの香やら錆やら賑はしき
くちなしの花や夫は初婚なり
くちなしの花姦しき井戸の端
犬までも避けてくちなし花盛り
木登りの子をくちなしの香が追へり
くちなしやそこは立ち入り禁止地区
梔子の花に夜会のさそひあり
くちなしの汗ばむ白の香り立ち
くちなしの花のごとくのしたり顔
くちなしの花くちあればどうなるの
くちなしの花の香りか彼の君か
くちなしや防災会議雨続く
手水舎に浮く梔子の花の反り
梔子の花の沈める夜のとばり
くちなしの花刈り残し作業終ふ
酔ふほどに梔子の花白くなり
くちなしの花びら褪せて雨に濡れ
黒髪にくちなしの花秘めた恋
くちなしの花を青磁の水盤に
梔子の花や耳鼻科の休診日
白き香を乗せ梔子の花の夕
梔子の花は雄弁桂馬跳ぶ
綻びてくちなしの花夜を待ち
くちなしの花いい夢をきつと見る
空巣の足跡山梔子の側にも
梔子の花と聴きをる夜の静寂
少年にくちなしの香の老いやすし
くちなしの花の香りに錆すこし
くちなしの香をつきぬけて杖の音
頭下げ合い梔子の花笑う
梔子の夜にまぎれて錆ぶる花
夜明けから頭痛くちなし香る部屋
国後は梔子の花より遠く
くちなしの花が靴裏に附いて来る
くちなしの白き純潔熟女の香
純白にくちなしの花咲きにけり
梔子の白巡り来て外湯かな
くちなしの花開きにけり今朝の雨
くちなしの花やがしゃりと連結機
降るものを受けとめてくちなしの花
くちなしの花香る朝電話鳴る
くちなしの香は籬垣の向こうから
くちなしのきつぱり咲いて呉れなさる
くちなしの花錆びゐたり寂光院
くちなしの香と色さらに育む夜
草刈機くちなしの花震わせて
くちなしの己の香にて色づきぬ
山梔子の色香に酔いた夕まぐれ
くちなしの花より早き返し歌
山梔子の花につつまれしづかなり
くちなしの香よ精霊になれそうな
板塀の路地くちなしの香の軽く
気が付けばくちなしの花いつまでも
うつうつと花梔子の夜を過ごす
何も言わず寄り添うやうな花梔子
言い残す言葉まだありくちなし咲く
梔子や恋の終はりの香りかな
花壇にはくちなしの花が過半数
食はず嫌ひ梔子の花見ず嫌ひ
くちなしの花だれだって無口かな
ピースデモ背に香るやくちなしの花
くちなしの花頬寄せる白き首
くちなしの花を翳して遷都かな
父死して十二年くちなしの花
梔子の香をまぜこぜに谷(やと)の風
くちなしや重要事項を開示する
梔子の花ガラパゴスめく職場
くちなしの花迷い道振り返り
雲白くくちなしの花なほ白く
梔子の花清貧に生きし妻
まどろむ母へくちなしの花香る
くちなしの花を見たあと寄る喫茶
清楚なるくちなしの花咲く売家
くちなしの花のあたりに妻がゐる