兼題「夏休」__金曜俳句への投句一覧
(8月25日号掲載=7月31日締切)
2023年8月2日5:31PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
学校は7月20前後から8月末までを夏休みとする地域が多いですね。期間は地域によって異なりますが。こうも暑い日が続くと、勤め人も夏休みがほしくなりますね。
さて、どんな句が寄せられたでしょうか?
選句結果と選評は『週刊金曜日』2023年8月25日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
『週刊金曜日』の購入方法はこちらです。
amazonなどネット書店でも購入できるようになりました。
予約もできます。「週刊金曜日」で検索してください。
※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
【夏休】
夏休避暑地の子らは五等身
夏休土を掘りかけ母の声
夏休み亡母と見た天の川
暮れてなほ砂浜にゐる夏休
病室の明るき窓や夏休み
しずかさや学生街の夏休み
二等車の窓の開け閉め夏休み
図書館に私服の君や夏休
自由研究まとまってやる夏休
白昼にゴッホを模写す夏休
着岸す島への一歩夏休み
夏休三連休のその後に
木の股をくぐりて空や夏休
夏休みちょつと近くの火星まで
灰色のノート我にも夏休
少年の指先ほそく夏休み
宝なき宝探しや夏休
宿題は夏休み終え始めとす
人生の夏休みまだ始まらむ
宿題の残りべそかく夏休み
車窓ながむ松葉杖の子や夏休み
ばあちゃんのトイレの係夏休み
悪友もじじばばも待つ夏休
青く濃く澄めば終った夏休
夏休宿題忘れて来ました
夏休昼の厨の麺料理
ここにきて人生一の夏休み
家に居る只それだけの夏休
日すがらに公園しづか夏休み
宿題の残りべそかく夏休み
夏休少し疲れし肥後守
行く末を案じ過ごした夏休み
虫取りと観察日記の夏休
画用紙も雲も真白や夏休み
夏休み目鼻わからぬ真っ黒に
夏休み満目の海晴れゐたる
夏休群青深き拉薩の空
夏休ギターの道を吾が子得し
夏休黒きものどもそこかしこ
研究班工作班や夏休
通学路急に静かや夏休
夏休どんどん細くなる眉毛
夏休み玄関先に蔓の鉢
学童保育に感謝感謝の夏休
夏休つと広島へ長崎へ
気疲れも家事も膨らむ夏休
子供部屋からの独立夏休
夏休み廃止間近のローカル線
まるひとひ釣り糸たらす夏休み
かはべりにいしつむぼくのなつやすみ
昇開橋で越えて帰った夏休
夏休学校の周囲を歩行して
自動ドア回るとひかり夏休
給食を恋しがるママ夏休
十冊まで借りられる本夏休
図書館の空調こはれ夏休
夏休遊ぶ事には真剣に
降伏し生きよと牧師夏休
読みかけのままの四、五冊夏休
夏休み有料老人ホーム『海』
夏休み私服を買ひにしまむらへ
夏休メッチャヤバイの子の嘆き
毎日が熱田神宮夏休
ピンク色派手なアメ車の夏休
初日から終はりをおもふ夏休
白地図を青く塗る子や夏休
夏休海に毎日逢ひにゆく
夏休一行残す日記帳
レコードをまわして遊ぶ夏休
夏休辿り着きたる青海湖
夏休み机整理の小半時
山彦の眠りを覚ます夏休み
夏休み日々数へけり残りし日
大学の合宿来たり夏休
山里の静けさ慣れて夏休
嬉しくも悲しくもある夏休み
夏休み夕暮れの吾をもて余す
弁当に梅干ふたつ夏休み
通学路はての青空夏休
恐竜の骨を見上ぐる夏休み
夏休み答え見ながら解くドリル
夏休み国境越えてホームステイ
絵日記に庭のひまわり夏休
白馬岳眺めて過ごす夏休
ランドセルすっからかんの夏休
ラインでの報告ばかり夏休
夏休み木の幹に日は綾なして
分度器を抱えた教師夏休み
図書館の満ちてざわざわ夏休み
水やりのホースげんなり夏休み
永遠のト書のように夏休
校門の二分ほど開き夏休
夏休み学生増ゆる地区掃除
押し花は母と合作夏休
この地から出られぬままに夏休
夏休にしか会わない友のいて
気楽なるおおきな顔の夏休
登下校の姿の消えた夏休み
夏休かんかん照りはいつのこと
東京の緑からから夏休
夏休きれいな水を飲み干せる
夏休み吾子の課題は四字熟語
室内に籠りスマホや夏休
ぽっかりと予定なき日や夏休み
遠縁の子と飲むジュース夏休み
原宿に口紅を買ふ夏休み
少年の人中に髭夏休
椰子の木の海岸線や夏休
ローマ人の物語買ひ夏休
絵日記はブログに書いて夏休み
キャンバスに描きかけの絵が夏休み
まだ抜けぬぐらぐらの歯や夏休み
黒板に登校日書き夏休み
おふくろと始めて呼んだ夏休み
旅プラン立ててまだ来ぬ夏休
締め切りの仕事のありや夏休み
胸張りて開けるトランク夏休
夏休廃駅廃路回る旅
水耕栽培二日目夏休
川の魚尾鰭が黒い夏休
消しゴムはぱつかり割れる夏休
単線のトンネル抜けて夏休み
夏休み子に導かれ草むらへ
またここへ来たいと思ふ夏休み
六週間ギプスのままの夏休み
夏休み早くも語尾はダラとズラ
夏休み計画だけが先をゆく
校庭は広く眩しき夏休
屋根裏に鳥の足跡夏休み
宿題をやらせることも夏休み
筆算のしどろもどろに夏休
日給の稼ぎの減るや夏休
トルネル長し故郷の夏休み
体操に校長も来て夏休
夏休み多忙きはまる母は寡婦
真つ白な年金暮らしの夏休み
夏休み全七冊の魔法の書
パパママの仕事増えます夏休
夏休み集合場所は秘密基地
奥能登をヒッチハイクの夏休
山道を蟹の横切る夏休
夏休み今思い出す滑稽な日々
「ひと夏の経験」こだま夏休
夏休み非行少年にはなれず
紙製の東京タワー夏休み
朝寝していつしかひとり夏休
夏休み日々数へけり残日数
新しき吾になる潮目夏休
夏休ラジオ体操花カボチャ
いもうとと作る焼そば夏休
子の昼を日ごと料して夏休み
夏休終われば遊びまだ残し
夏休拾いし貝をそばに置く
良きことの無かりし町へ夏休み
初日には既にぐったり夏休
子と同じ休みのあれば夏休
あの頃はみんな鍵つ子夏休
夏休みといえばラジオ体操や
五冊目の夏目漱石夏休み
原爆も敗戦も夏休だった
夏休み終はれば友は恋敵
目が覚めて今日から長き夏休
日々メール開く大人の夏休
夏休み工作以来大工職
日時計と腹時計とや夏休み
母親の五役をこなす夏休み
夏休み義歯に保険が効きにけり
夏休薄目がちなる座禅の子
セピア色の写真のおかっぱ夏休み
白杖が二拍子きざむ夏休み
南国の夏は長かよ夏休
夏休キャンセル待ちの列長し
夏休ワライカワセミ真似てみる
夏休み髭の似合はぬ顔と知る
日記書く夏休みには増額が
寝技無き柔道場の夏休み
夏休朝昼晩の孫づくし
犬と姪と同じ呼び名の夏休
煌めいてひかりこぼるる夏休
貸出しは一人三冊夏休
鍋底を焦がして子らの夏休み
真つ白なジグソーパズル夏休
満天の星になるまで夏休
折り紙の手裏剣あまた夏休み
いちにちのまったり過ぎる夏休み
皆何かと闘つている夏休
コロナ禍のガラス細工の夏休
夏休みFのコードのタブラチュア
真っ新な原稿用紙夏休み
ふるさとにゐて望郷の夏休
家を出て上京決めた夏休み
少年は未知なる森へ夏休
半睡のラジオ体操夏休
手廂で探すペンパル夏休
夏休み目鼻はいずこ真っ黒に
初日より祖母の家なり夏休み
夏休み脱け殻あちこち庭探検
計画が一度目の旅夏休
夏休み地球儀まはす手の弛ぶ
晴れの日のつづく絵日記夏休
清流に流されてみる夏休
夏休鳴き砂鳴かず海の泣く
夏休もう五冊目の漂流記
甲子園来年行くぞ夏休み
夏休遊び尽くせし吾が子よし
コロナ禍を封じて集ふ夏休
眼帯のとれて夏休みとなれり