きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「冬至粥」__金曜俳句への投句一覧
(12月22日号掲載=11月30日締切)

冬至粥とは、冬至の日に食べる小豆粥のこと。冬至の日に柚子湯に入ったり、粥や南瓜を食べると病気にならないという言い伝えがあります。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2023年12月22日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【冬至粥】
匹如身に沁みわたりたる冬至粥
冬至粥入れ歯を孫に委ねけり
余命過ぎ家族と啜る冬至粥
母が出す冬至粥には神が居る
かさぶたになりかけの傷冬至粥
冬至粥あたたかき哉薄黄色
嗚呼父さん食べさせたかった冬至粥
明日からは早起きしよう冬至粥
冬至粥家庭教師のおかはりす
旅人の木に冬至粥注ぎをり
冬至粥二人揃ひてよろしゆうに
赴任地の訛り覚へて冬至粥
採り置し南瓜さておき冬至粥
冬至粥少し甘めに炊く祖母へ
冬至粥タマゴを溶かす宇宙かな
母となるひとの匂ひや冬至粥
朝の厨たんと仕込んだ冬至粥
スナックのママより貰ふ冬至粥
冬至粥腰痛持ちの胃を安め
冬至粥幼児スプーンで食しけり
冬至粥息災にとて舌焦がす
冬至粥前歯欠けたる君のため
我だけに食べさせる気の冬至粥
冬至粥曽祖母の代から受け継がれ
自在鉤吊す鉄鍋冬至粥
卓袱台にうさぎとび出す冬至粥
くちびるを曇らせ真夜の冬至粥
冬至粥利き手の方を患つて
冬至粥豆の濁りを匙に混ぜ
グーパーと開く手のひら冬至粥
教子は七十代や冬至粥
冷めるまで手を温める冬至粥
もう五年鬼と一緒の冬至粥
ベランダの緑あしらふ冬至粥
老犬は老人を待つ冬至粥
鈍色に鳥一羽浮く冬至粥
煮付よりスープが好きと冬至粥
冬至粥時差に合わせて啜る子ら
沸々と揺るる土鍋や冬至粥
冬至粥今年は独り片手鍋
少々の醤油決めての冬至粥
ひとすくい母に小皿の冬至粥
いつだつてあしたはけふに冬至粥
冬至粥半分残った午後三時
黒髪に装はれてゐる冬至粥
冬至粥AIロボの給仕かな
掬ふ手を止めて相槌冬至粥
冬至粥ゆつたりゆたりゆたりかな
母よりも長き手紙や冬至粥
海守る兵士の夜食冬至粥
ことことの色鮮やかな冬至粥
冬至粥けつねは出汁を甘くして
すれ違ふ飛行機と雲冬至粥
ひと匙を確かむるごと冬至粥
湯上がりにほつこり旨し冬至粥
さざなみに傷つく窓や冬至粥
一年が湯気に消えゆく冬至粥
仏の間集ひて香る冬至粥
椀に指温とくふれて冬至粥
もう少しがんばれたかな冬至粥
冬至粥天井を刺す椀の湯気
名湯に名女将なり冬至粥
冬至粥かつて強請りしルビーなど
重きもの皆沈ませて冬至粥
この仕事今日で終わるか冬至粥
ひとの世の夢と慈愛と冬至粥
熱はないただだるいだけ冬至粥
吹き上がる土鍋の熱き冬至粥
谷水の差し水のよき冬至粥
幼子のあーんの口へ冬至粥
はや暮れて喪服のままに冬至粥
閉ざされし長寿の村や冬至粥
無塩つらぬく妻に幸あれ冬至粥
訳もなく涙ぽろぽろ冬至粥
来年も鬼に笑われ冬至粥
会社員役を降ろされ冬至粥
病ひ持ち愛おしくなる冬至粥
高騰の小豆控えめ冬至粥
日が昇る前の作業や冬至粥
振る塩に思案あるらし冬至粥
絵葉書に南国の空冬至粥
毎朝の鶏卵入りの冬至粥
世話焼きの母たんと盛る冬至粥
今年また先立たれては冬至粥
冬至粥箸を止めれば曇り出す
冬至粥最も寒き夜ならず
冬至粥ささげで十分やんかいな
あとすこし親子の時間冬至粥
んの付く食材探し冬至粥
枝ぶりの自慢二時間冬至粥
冬至粥少しは早く起きられた
冬至粥風に吹かるるものの音
朝練の言葉少なに冬至粥
緊張の糸のほぐれて冬至粥
電卓を0に戻して冬至粥
別荘は海浜に良し冬至粥
冬至粥お腹が火照り眠くなり
吾のなかの我をいたはり冬至粥
揺れ動く気持ちの峠冬至粥
冬至粥食べたき歳となりにけり
健啖の椀は大きめ冬至粥
宿坊の最後のディナー冬至粥
いつだつて妻は妻です冬至粥
あの人も毎年食べた冬至粥
初めての冬至粥食ふ季語体験
冬至粥合掌し合ふ老夫婦
ひだまりの受胎の妻へ冬至粥
冬至粥塩を振っても味しねえ
兵士らよ冬至粥でも食べようよ
冬至粥仇のごとく南瓜割る
一匙の冬至粥さへ懐かしき
末つ子も独りぼつちに冬至粥
戦場の子に届けんや冬至粥
風強し揺れる枝見て冬至粥
定宿のそつと出さるる冬至粥
また一つレジメを増やす冬至粥
赤提灯なじみの席の冬至粥
冬至粥手に取る笑顔湯気の中
作文にケコと書かれて冬至粥
まだ動く五臓六腑へ冬至粥
仏前に酒となみなみ冬至粥
力なく笑ふ舅や冬至粥
建てつけの悪しき戸を閉て冬至粥
厨よりあたたかき香や冬至粥
沖縄の塩を仕上げに冬至粥
冬至粥これに限ると老夫婦
電子的決済まぶし冬至粥
ゴミを詰め捨てられぬまま冬至粥
貧しきを笑ふのもよし冬至粥
縮む身を解し広ぐる冬至粥
地蔵には赤い帽子と冬至粥
冬至粥友の命日近づきぬ
もの足りぬねむりのあとの冬至粥
無塩でも妻がつくれば冬至粥
厄年や鍋ごと抱え冬至粥
遠ざかるほど星の綺羅冬至粥
冬至粥塩の加減の小言言い
冬至粥掬つては語り合ふ二人
冬至粥とろとろ炊いてさっと食ふ
欲はなく身のほどけゆく冬至粥
スーパーの袋温め冬至粥
団地には団地の暮らし冬至粥
匙に突く母のくちびる冬至粥
冬至粥父母に供えて妹と食ぶ
一人づつ蓋開けてゆく冬至粥
美食家の選りに選つたる冬至粥
水平に匙を差し入れ冬至粥
転院の話ひそひそ冬至粥
戦乱の卯の年の冬至粥
昼食は冬至粥です日記書く
冬至粥父の帰りを待つばかり
初めてのお薬手帳冬至粥
新入りの消防団の冬至粥
里はまだ五右衛門風呂や冬至粥
冬至粥ビーンスウプとトムは言ひ
取り分ける信楽焼の冬至粥
宴会に解放されて冬至粥
十日目の湯治の夕餉冬至粥
冬至粥紫檀の匙に掬う朝
冬至粥白さに手元明るくて
冬至粥先ずは小豆を二つ三つ
片肘をつき冬至粥啜りをり
冬至粥いつもの四人今日も暇
駐在所向き合ふ二人冬至粥
長生きを願いて冬至粥を煮る
掬ふより語りの多き冬至粥
見習うや母の生き方冬至粥
さまざまの事思い出す冬至粥
庫裡の奥ふつふつ煮えて冬至粥
懐かしき椀や母子の冬至粥
大病を授かりし身に冬至粥
墓じまい終へ冬至粥啜りけり
順番に入る湯舟や冬至粥
百年の太き梁鳴り冬至粥
いちにちのたつぷりあつて冬至粥
朝食は冬至粥なり仏様
冬至粥胃の腑に熱の落ちゆけり
繰り返す母の話や冬至粥
冬至粥母は卒寿で息災で
冬至粥むらさき映ゆる大納言
居間の窓昏くかすんで冬至粥
冬至粥小旗の守るつうがくろ
異国にも配給したし冬至粥
諦めることを許して冬至粥
国立のノーサイド後に冬至粥
冬至粥煮る火のしるき日暮かな
明日からの胃の腑を洗う冬至粥
夕間暮れ微熱なだめる冬至粥
冬至粥にはかに暮の押し寄せる
大納言入りて尊き冬至粥