きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「伊勢海老」__金曜俳句への投句一覧
(1月26日号掲載=12月31日締切)

伊勢海老は新年の季語になります。昔から祝膳を飾る海の幸として珍重されてきました。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2024年1月26日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【伊勢海老】
伊勢海老や差し歯がひとつはみ出せり
伊勢海老をむんずとつかみ湯に入れて
伊勢海老で揉めたまるちゃん昭和だね
伊勢海老はやはり真ん中指定席
伊勢海老や曾祖の髭も跳ねてゐる
伊勢海老や埋没費用てふ美談
伊勢海老の重さエコバッグの軽さ
伊勢海老を折りて母に身を渡し
箱あけて伊勢海老足を伸ばしけり
トロ箱の傾ぎ伊勢海老さんざめく
伊勢海老や中華訛りの三代目
伊勢海老や青龍刀の如き反り
伊勢海老のこちら見てゐるお味噌汁
重箱に真っ赤な伊勢海老鎮座する
伊勢海老や千波万波にしなだれて
伊勢海老の背に一突き出刃包丁
伊勢海老の声桐箱に響きけり
伊勢海老や小橋よりみる船溜まり
伊勢海老や生き埋めされて届けられ
伊勢海老を運ぶ車の賑々し
伊勢海老の髭と鋏の重なりぬ
「伊勢海老千円」浜の漁師の目の小さし
返礼の伊勢海老大鋸屑まみれなり
伊勢海老のふたつに分かれまだ動く
伊勢海老や生簀に残る髭一本
伊勢海老や王たる者の冷たい眼
伊勢海老や熱湯潜りて赤濃ゆし
伊勢海老の色も控えめ懐石膳
伊勢海老や逞しき吾子母親似
伊勢海老も生簀覗いて選びたし
伊勢海老の髭ぴんとして威風あり
伊勢海老の殻ごと食めば塩辛し
伊勢海老に粗塩パーティーは序盤
伊勢海老を手招きしてる招き猫
伊勢海老の死しても髭の固さかな
伊勢海老を料理せむと真二つに
伊勢海老のそりくり返る紅き髭
伊勢海老やなれそめとなる食事会
伊勢海老の蒸されても棘密なりし
伊勢海老の異星人めく赤目玉
伊勢海老の焦げて真紅や網のうへ
正月の赤き伊勢海老見事なり
大鋸屑を飛ばし伊勢海老あらわれぬ
伊勢海老や寿の字の形して
伊勢海老が鎮座財布を開く我
伊勢海老の活きてる音ごと宅配便
ピンと跳ねまだ死ねぬと云う伊勢海老や
伊勢海老の天丼たるや組体操
伊勢海老の腰の丸みに指添えて
伊勢海老とロブスターの違い判らぬ子
伊勢海老や蓋の閉まらぬ一の重
伊勢海老の朱に金箔を鏤むる
脚のみの蛸に伊勢海老震えたり
雄渾の伊勢海老重き門出より
伊勢海老は主張す上の段にゐて
志摩半島はでつかい伊勢海老かな
伊勢海老と言いくるめられ小海老食べ
伊勢海老の髭をむんずとつかむ妻
首はねる伊勢海老のせる祝膳
恒例の婿の家から伊勢海老よ
伊勢海老やおが屑の中蠢ける
伊勢海老や目交ぜしてゐる若夫婦
ドップラー効果伊勢エビ鳴くやうに
伊勢海老の逆走したる流し台
おがくずの伊勢海老威嚇はさみ上げ
伊勢海老の夢はいったいなんだろう
伊勢海老の夜を醒めゆく紅さかな
祝ホームラン伊勢海老の活造り
伊勢海老に踵を返す二人連れ
初孫は明けの伊勢海老今年から
伊勢海老など無縁で他界我が祖父母
伊勢海老の造りで祝う門出かな
伊勢海老は自分の名知らずすまし顔
海女小屋の炭に伊勢海老踊り焼き
おひとりで伊勢海老を剥く夕げかな
伊勢海老の行列はいま鳥羽二見
伊勢海老が式の主役を奪い去る
伊勢海老のオブジェが置かれここは三重
伊勢海老や岡部の黒に井伊の赤
伊勢海老や赤子泣かせし旅の宿
海風に伊勢海老炙る火の赤さ
伊勢海老に海の青さを尋ねけり
伊勢海老と目が合う妙の午後三時
伊勢海老の皮の堅さを言祝げり
伊勢海老の不運は海女の糧の手に
伊勢海老の腰の曲がりの潔さ
伊勢海老や少し無理して食はせけり
伊勢海老は走らぬ赤き装甲車
甲冑を脱ぎし伊勢海老愛ほしむ
伊勢海老や筆で書かれし家族の名
伊勢海老のひげの先までめでたけれ
伊勢海老の由来を三重の人に聞く
慎ましく伊勢海老飾る祝膳
髭欠けし伊勢海老海へ戻しやる
伊勢海老を娘逃がした叔母自慢
伊勢海老がいつものおせちに入ってる
伊勢海老や百寿の人の数多ゐて
大群の伊勢海老襲ひ海女あがる
伊勢海老盛るや赴任地の祝い膳
伊勢海老の髭ピンピンと祝膳
伊勢海老や柏手打ちて澄める海
御重の真中に太陽伊勢海老よ
伊勢海老や明日のその身を嘆き鳴く
伊勢海老に遠慮してゐる壱の重
伊勢海老の値に目をむきて小海老買う
伊勢海老を鷲づかみする漁港朝
伊勢海老を捌く板長米寿なり
伊勢海老の里で伊勢海老食べにけり
伊勢海老を知らずやんちゃの箸止まる
伊勢海老や鎧兜の高祖をり
伊勢海老や真ッ赤になりてガン飛ばす
伊勢海老の最後のあがき特売日
伊勢海老や自慢話のはじまりき
がさごそと伊勢海老動く箱の中
伊勢海老や見事に體を屈曲す
伊勢海老の脱皮の数だけ偉くなり
伊勢海老のひげが動きて箸長し
伊勢海老は飾るばかりで口にせず
伊勢海老のやさしく網に捕はるる
伊勢海老のここまでと決めたる丸さ
木くず付け伊勢海老歩きはじめけり
生きゐたる伊勢海老鳴きぬ皿の上
伊勢海老やまっ赤になって丸裸
伊勢海老も校長もひげ立派なり
伊勢海老の大鋸屑守る髭の艶
伊勢海老の決死の命反り返る
伊勢海老を黙々と喰ふ同級会
伊勢海老を受話器のごとく耳にあて
伊勢海老を値切る山田のオカンかな
伊勢海老の壽ぐ如き朱となり
蠍座の伊勢海老になるあしたかな
重箱に盛る伊勢海老に手を叩く
伊勢海老が鎮座している今年もよ
食えぬ身に描いた伊勢海老画いた餅
伊勢海老を掴みてぎいと鳴かれたり
めでたさも髭があっての伊勢海老かな
伊勢海老や矜持のひげをびくつかせ
伊勢海老の半身乗り出し大名椀
伊勢海老に祖父の白鬚ふれてをり
礼服を笑まふ伊勢海老禄の席
伊勢海老を供す宴の世辞多し
スーパーに詣で伊勢海老拝みけり
伊勢海老も気にせや異常な腰曲がり
とん走の海老に伊勢湾はるかなり
伊勢海老をテレビで見ながらひとり酒
中ぐらい伊勢海老これで満足す
伊勢海老や鳴いてゐるわと怖がる子
伊勢海老や鯛従へて神の島
給食の伊勢海老に沸く志摩の子ら
伊勢海老やそれぞれ幼児抱いてゐる
伊勢海老や鍋の蓋まで跳ね飛ばし
伊勢海老の背に流して長き髭
看板のように伊勢海老飾りけり
取り立ての伊勢海老甘しなほうまし
伊勢海老の腹かっさばき目を見張る
伊勢海老やドライブウェイの急カーブ
真中に座る伊勢海老得意そう
横たわる伊勢海老買い手なかりけり
伊勢海老を生き埋めしたる木屑かな
伊勢海老やひやひやと背に肉咲かせ
伊勢海老やどれもわれこそはの鎧
天下布武伊勢海老のひげ動きたり
伊勢海老や祝ふ心の備はりぬ
玄関の靴の増ゆるや伊勢海老よ
伊勢海老の髭だけ大事に包まれて
春を待ち背中の曲がるその日まで
同居二日目生きてゐる伊勢海老と
重箱を伊勢海老のひげはみ出せる
伊勢海老の髭よりふわりことほぎかな
伊勢海老や壁に鮮鮮大漁旗
伊勢海老に会ふためだけの二人旅
伊勢海老の髭の先から風生る
水すくうように伊勢海老摘み上げ
伊勢海老の真つ赤になつて大宴
伊勢海老の労をねぎらう母は喜寿
伊勢海老の脚の揃ひに目出たさが
怒りたる伊勢エビ朝が重苦し
伊勢海老を茹でて両手に折りにけり
伊勢海老の襟に刃を入れ伸びきりぬ
伊勢海老の頭を立たせ潮汁
故郷の伊勢海遠くザリガニか
海水を注がれて伊勢海老の髭
伊勢海老の刺身を食べてみたいかな
浜焼の伊勢海老の髭尖る赤
伊勢海老の髭のまさぐる暗夜かな
伊勢海老の無言の手にめでたかれ
伊勢海老や朱色鮮やか椀の中
伊勢海老の甲殻類は苦手なり
子供らの飾り伊勢海老持ち燥ぐ
雲形の伊勢海老虚し月初め
伊勢海老や海の近くの婿の家
伊勢海老のあしたはきつとばらいろに
新しき妻と伊勢海老賜りぬ
伊勢海老の跳ねしちからの生命(いのち)かな
Jの字に育ち伊勢海老戻りけり
伊勢海老の上半身が皿に立つ
伊勢海老の喰ひ放題の旅路かな