きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「佐保姫」__金曜俳句への投句一覧
(2月23日号掲載=1月31日締切)

佐保姫とは、奈良の東にある佐保山を神格化した女神で、春の造化をつかさどると言われています。秋の竜田姫と対をなしていますね。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2024年2月23日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【佐保姫】
蕗の薹咲きて佐保姫来るを知る
佐保姫のやはらかくある遠嶺かな
南都来てああ佐保姫の薄衣
こつちだよこつちだよ佐保姫おいで
登山中挨拶交わす佐保姫よ
佐保姫の足音聞こえ萌え出づる
自転車の佐保姫の声探す径
佐保姫の来るを感ずる霞む山
佐保姫の衣装柔らかなる山野
佐保姫のあくまでも鈍行列車
佐保姫の柔らかき声雲に乗る
佐保姫の渡り来るよな凪の浦
佐保姫や川はさらさら音たてて
佐保姫の衣擦れ映すささら川
佐保姫に獣目覚め芽吹く木々
佐保姫に会えるとき来る人が待つ
佐保姫は何処に座す野か山か
吾の庭に緋色の佐保姫や降臨する
さりげなく佐保姫歩く通学路
佐保姫のお成り野山はうすみどり
佐保姫の衣のたなびき朝ぼらけ
佐保姫の吐息の如き浦の風
佐保姫のくしゃみや砂塵舞い上がる
佐保姫の欠伸やゆるき風は西
佐保姫の涙のしずく零れゆく
佐保姫や妊活の吾子合唱部
佐保姫の花芯散らす風もある
移り気なる佐保姫恋の道行も
佐保姫のオートクチュール仕上がりぬ
約束もへつたくれもなく佐保姫
佐保姫のきまぐれ色に咲きにけり
山を縫ひ野を繕いて佐保姫よ
佐保姫の裳裾や山の目覚めたる
佐保姫の寝転ぶや鴇色の風
佐保姫に誘われ下る羈旅二人
佐保姫やガラス窓磨いて待たむ
何はさておき佐保姫は能登へゆく
しばらくは佐保姫の髪ながれけり
佐保姫の来たる方から水の音
佐保姫の去るや湖渡るやに
佐保姫の手招きに子ら天を駆け
佐保姫のまなじりに似て風切羽
佐保姫が結ぶ二人の出会いかな
佐保姫の投げキスめきぬひとところ
佐保姫やパープルカラー身に纏う
佐保姫の駆けあがりたる男坂
佐保姫の衣とまごふ山かづら
初孫とともに佐保姫来たりけり
佐保姫の帯に縫われる恋心
佐保姫を知らせる鶯まだ未熟
佐保姫来る猫の見つめる青い空
待ち人は佐保姫でした待ち侘びる
佐保姫の衣の擦れ音や木々の風
佐保姫のひと息を待つ南都かな
佐保姫の裾より瀬音四万十よ
佐保姫や牛車の轍涙する
佐保姫の裾の内なる風やさし
佐保姫のふらりとかろき長衣
佐保姫の目覚むる杉の風ゆたか
佐保姫や鳩笛ぽぽと誘ひをり
佐保姫の乳房に花を隠しをり
微睡める佐保姫のよく動く眉
佐保姫のささめきことや保健室
佐保姫や永遠の別れの長き雨
佐保姫の手から漏れ出る清水かな
佐保姫を捜して渡る揺れる橋
佐保姫やふわり波打つショートボブ
隅田川佐保姫来りて水ぬるむ
佐保姫や本箱の前にゴミ箱が
佐保姫の山河来て寝転びてをり
佐保姫に託す伝言ありにけり
佐保姫や浮かぬ顔して舞ひ降りぬ
佐保姫も一差し舞ふや歌舞伎町
佐保姫や棚田に夕の通り雨
佐保姫や奥羽山脈ゆく列車
佐保姫の香は梅花桜花なり
佐保姫の蕾を撫づる指細し
佐保姫の扇の風と終活へ
佐保姫や山のこだまを返しをり
螺子巻いて佐保姫参る古時計
佐保姫の袖裾触れよ能登山野
佐保姫の到着待たず行く人よ
佐保姫や三輪に白蛇現れる
佐保姫や天女の舞ひを誘ひをり
公園に子供出始め佐保姫も
犬吠えて佐保姫瞬間渋面に
ゆゑもなく佐保姫ゆかし佐保山へ
佐保姫の笑ひ聲聞こゆる如く
佐保姫や腹の胎児に耳あてる
音すべて佐保姫笑ふ声なれや
佐保姫の機嫌窺ひ山の風
佐保姫の香りが増した家路かな
佐保姫が緊張ほぐす初出社
あかね空佐保姫の町夕がすみ
男装のあれは佐保姫銀座並木
佐保姫の今宵は街に夜更けまで
佐保姫が我が家の庭に舞い降りた
佐保姫の衣擦れの音懐かしく
佐保姫の少し機嫌を損ねし日
佐保姫へ春日山よりフリスビー
佐保姫の嘆くや鉄軌廃さるる
佐保姫や噛んでもどもつても教師
佐保姫のいびきのごとく昼の風
佐保姫におくすり手帳見せてやる
花々は皆佐保姫の髪飾り
佐保姫の遅参に空の泣き出しぬ
佐保姫の予約間違ふ美容院
佐保姫の少し汗ばむやうな雨
佐保姫や二十五代目チアリード
佐保姫や遠き山々まだ白し
佐保姫の袖のあたりの雪模様
佐保姫に今朝剥かれたる蕾かな
恋する子だれぞと問えば佐保姫と
佐保姫に訊く故郷の母のこと
海峡を遠く見てゐる佐保姫よ
この部屋に佐保姫一人我一人
佐保姫のふところ広しかくれんぼ
佐保姫の衣らしきが遠山に
南から北へ佐保姫忙しや
佐保姫の生れしはやはり藍の海
佐保姫や白き衣裳の超美人
佐保姫の手を取るように花を摘む
辛うして佐保姫来たる能登の奥
鳥も魚も揺らし佐保姫笑みたまふ
佐保姫の涙の後に雲は晴れ
佐保姫のまさかまさかと思ふ妻
佐保姫に体の皮が緩る緩ると
佐保姫の溜息に花ほころびぬ
佐保姫の後姿や三笠山
佐保姫や歌舞伎座辺りから晴れて
佐保姫を思えばベンチに座りたり
佐保姫やうすべに色の若き肌
佐保姫に負けず劣らぬ孫娘
迂回して佐保姫の地へまみえけり
佐保姫は笑ひ上戸か水跳ねる
佐保姫に抱かれ列島横たわる
法華寺のあたり佐保姫かおり立つ
土手降りて何故か探すは佐保姫で
佐保姫や微笑と共に野辺に花
佐保姫や大和路線に乗りて奈良
佐保姫の裾踏みつけてゆくは誰
佐保姫や着付けの仕事始めけり
佐保姫の裾の広がり純白に
軽やかに佐保姫の後風が吹く
佐保姫やタロットカード開けてゆく
佐保姫が来たるかそれは幻か
川道は佐保姫ぼやと目に映り
佐保姫の地を這ふやうな歩みかな
佐保姫の途中下車せし富士の雲
佐保姫の裳裾揺れるや山の端
ひばり鳴く平城京の佐保姫よ
雨やさし佐保姫けふは眠からむ
佐保姫や饅頭本を並べたり
佐保姫を待つ農夫土塊虫けら等
佐保姫のちつとも妻に似てゐない
佐保姫のねぎらひ受くる練行衆
佐保姫や庭掃く音の軽くなる
佐保姫の女人高野に立ち寄りぬ
ロープウェイにて佐保姫とすれ違ふ
佐保姫を追いかけていく里の子や
佐保姫や膨らみそめし古畳
佐保姫にほどよき伴侶見つけたる
ゆれゆれて佐保姫やっと出立ぞ
佐保姫が播州平野向かって来
佐保姫の供はひばりかうぐいすか
佐保姫のうすくれなゐの朝日かな
佐保姫のゆくりと山を上りゆく
佐保姫のメゾソプラノの谺して
佐保姫の白き鎖骨が淡く光る
佐保姫はとほくに居りて咲くを待つ
佐保姫の町に季節のめぐり来ぬ
佐保姫を迎える列島揺れ止まず
あわてるな佐保姫側に都合あり
物干に香り佐保姫通るらむ
佐保姫や週末ごとの山の香(かざ)
佐保姫や紅白揃へ上棟式
佐保姫や戯れ遊ぶ野に緑
佐保姫は蕾がお嫌ひなのでせう
佐保姫の機織るやうな風の音
佐保姫の祁門の香を孕みたり
佐保姫の足に仔犬のまとはりぬ
佐保姫は進むダメ男は捨てる
佐保姫と一緒に乗らむ遊覧船
花輪線に乗り佐保姫やってくる
佐保姫の隠れ賜ひぬ土佐の山
佐保姫の風寅さんの旅の背に
佐保姫の裳裾か音もなきそよぎ
佐保姫やそろばん塾の窓明かり
佐保姫のピンク吐息やショッキング
佐保姫も忘れるらしい庭の隅
土いじり趣味の母親佐保姫か
佐保姫や湖面に浮かぶ笹の舟
佐保姫かふすまの文字をすらすらと
佐保姫や狭き庭にも舞い降りて
佐保姫の目覚めたる日の瀬音かな
佐保姫やどんな美人になることか
佐保姫の冠として雲巻けり
佐保姫や百年待つて奥信濃
佐保姫の道生命の音に沸く
佐保姫の遠回りして登る嶺
ペディキュアの土産佐保姫待つてゐる
佐保姫は二人の距離を近づけて
佐保姫や一人住いに訪ね来む
佐保姫やまだカーテンは無いけれど
佐保姫の踏み分けて行く野道かな
佐保姫のファッションセンス野に光る
佐保姫に逢はむ浅黄のスニーカー
徐行する叡電佐保姫の車窓
佐保姫に逢ふ旅先の港にて
佐保姫や固定電話にまだ慣れぬ
佐保姫や鼻腔くすぐる磯の風